豆知識
1 / 3
ゆでて口の開いたコマク · 写真: 국립국어원 / CC BY-SA 2.0 kr (Wikimedia Commons)

ゆでて口の開いたコマク · 写真: 국립국어원 / CC BY-SA 2.0 kr (Wikimedia Commons)

韓国全羅南道

筏橋のコマク(ハイガイ)入門:泥板で採るチャムコマクとセコマクの違い

冷たい風が吹き始めると、全羅南道・宝城郡筏橋(ポルギョ)のコマク(ハイガイ)が旬を迎えます。世界遺産の干潟と泥板(ポルベ)漁、希少になったチャムコマクと身近なセコマクの違い、ゆで方と和え物、コマク祭りまで、旅の前に知っておきたい話を集めました。

5分で読める3

なぜ筏橋がコマクの代名詞なのか

コマクは干潟の泥の中にすむ小さな貝で、殻に扇の骨のような溝がびっしり刻まれ、身に赤い血が通っているのが特徴です。全羅南道宝城郡筏橋邑の前に広がる汝自湾一帯は、コマクが育ちやすい広い干潟に恵まれ、昔からコマクの里と呼ばれてきました。 2021年には、この一帯を含む「宝城・順天干潟」が高敞・新安・舒川の干潟とともに「韓国の干潟」としてユネスコ世界自然遺産に登録されました。「筏橋コマク」は韓国の水産物地理的表示の第1号でもあります。趙廷来の大河小説『太白山脈』の舞台が筏橋で、作中にコマクが登場することも、この料理を有名にした理由の一つです。

泥の上を滑る舟「ポルベ」

筏橋の干潟は、足を踏み入れると膝までずぶずぶ沈むほど深く柔らかいです。そのため地元の人々は「ポルベ」という板のそりで干潟を行き来しながらコマクを採ってきました。片膝を板にのせ、もう片方の足で泥を蹴って滑るように進む方法で、深く沈む干潟では事実上唯一の移動手段でした。 この「宝城ポルベ漁業」は2015年、済州の海女漁業、南海の竹防簾漁業とともに初めて国家重要漁業遺産に指定され、その第2号です。コマクを採って子どもを育てた母親たちの苦労を象徴する道具でもあります。いまでは干潟体験プログラムや祭りのポルベレースなど、旅行者が実際に乗ってみられる遊びにもなっています。

チャムコマクとセコマクの違い

店で「コマク」と言えば、大きくチャムコマクとセコマクの2種類を思い浮かべればよいでしょう。チャムコマクはポルベに乗って人が手で採るもので、身がもちもちして甘みが濃く、味では一番とされます。セコマクは船から網で揚げるため値段が安く、全国に広く出回ります。2025年にはセコマクが筏橋・高興・麗水など汝自湾一帯で年間4千トン近く生産されました。 問題はチャムコマクが急激に減ったことです。2026年の報道では、筏橋産チャムコマクの採取量は2010年の8,500トンから最近は26トンほどにまで落ち込み、宝城郡は稚貝の放流や生息地の管理で資源を回復させる事業を進めています。そのためチャムコマクは貴重で高価です。メニューにどちらのコマクか書かれているか確かめ、分からなければ注文前に聞いてみましょう。

ゆでるか、和えるか

コマクの食べ方は大きく二つあります。一つはさっとゆでて殻ごと出す方法で、殻の後ろのつなぎ目に親指の爪を差し込んでひねって開け、中にたまった塩気のある汁と一緒に食べます。ゆですぎると身が硬くなり汁も抜けてしまうので、殻が開きかけたところで引き上げるのがコツだといいます。 もう一つは、殻が少し開いたところで引き上げて身を外すか片殻にのせ、醤油・唐辛子粉・ねぎ・にんにくで作ったタレをかけるコマクムチムです。筏橋のコマク料理店では、ゆでコマクや和え物、チヂミなどコマク料理をいくつも一度に並べるコマク定食をよく見かけます。コマクが最もおいしいのは、一般に11月から翌年3月ごろとされています。

筏橋コマク祭りと旅のヒント

コマクの季節が始まる晩秋には、筏橋川一帯で筏橋コマク祭りが開かれます。2025年の第21回は11月21日から23日までの3日間で、コマク料理のブースやポルベ体験、公演、コマクおにぎり作りなどが行われました。2026年の日程はまだ確認できていないので、旅行前に宝城郡の告知を確かめましょう。 コマク料理店は筏橋駅から遠くない町なかのコマク通り一帯に集まっていて、鉄道旅でも立ち寄りやすいです。小説『太白山脈』の文学館や古い街並みと合わせて巡るプランも人気です。同じ汝自湾に面した順天湾湿地とセットで日帰りする旅行者も多くいます。

#コマク#ハイガイ#筏橋#宝城#干潟グルメ
筏橋のコマク(ハイガイ)入門:泥板で採るチャムコマクとセコマクの違い | TastyLog