歴史
もやしあんをのせたサンマーメン · 写真: Ocdp / CC0 (Wikimedia Commons)

もやしあんをのせたサンマーメン · 写真: Ocdp / CC0 (Wikimedia Commons)

日本横浜

サンマーメン:秋刀魚とは無関係、横浜の港が育てたもやしあんかけ麺

横浜や神奈川県の中華料理店のメニューでよく見かけるサンマーメン。名前から秋刀魚のラーメンと誤解されがちですが、実はもやしたっぷりのとろみあんをのせた麺です。名前の意味、誕生の物語、神奈川の外ではなかなか見かけない理由をまとめました。

6分で読める6

名前の意味:生馬麺・生碼麺

サンマーメンは漢字で「生馬麺」「生碼麺」と書きます。秋刀魚(さんま)のラーメンと誤解されがちですが、秋刀魚とは何の関係もありません。名前は広東語の読みから来ているというのが、文化庁「100年フード」の説明です。 意味については諸説あります。「生」は新鮮でシャキッとした具材を、「碼」は麺の上にのせる具を指すという説が代表的で、もやし・豚肉・青菜の三つの具を意味する「三碼」から来たという説もあります。「馬」は音を借りただけの字とみる意見が多く、波止場を意味する中国語「碼頭」と結びつけて、港町・横浜らしい名前だとする人もいます。

中華街の厨房から港湾労働者の一杯へ

サンマーメンは広東料理にルーツを持ち、横浜・中区の中華街周辺で中国人と日本人の交流の中から生まれたと紹介されています。戦前は中華料理店の従業員が食べるとろみのある麺でしたが、1930年ごろに中華街の老舗の料理長がこれを「生碼麺」として作り出したと伝えられ、その店の昭和初期のメニューに名前が残っているといいます。 広まったのは戦後です。1947〜1948年ごろ、横浜港で働く労働者向けに安く売られるようになり、普通のラーメンより腹持ちがよく、あんがふたの役目をして寒い冬でも冷めにくいことが喜ばれたといいます。港町の厳しい日常が、この麺を育てたわけです。

見た目:もやし抜きはサンマーメンにあらず

サンマーメンは、炒めた野菜や肉を片栗粉でとろみをつけたあんにして、醤油または塩味のスープに入れた中細のストレート麺の上にたっぷりかけた麺料理です。具のなかでももやしは欠かせない必須の存在とされ、ほかに豚肉、キャベツや青菜、にんじん、玉ねぎ、きくらげ、かまぼこなどが店ごとに入ります。 長崎の皿うどんのあんに近い印象で、同じあんをご飯にかけて「サンマー丼」として出す店もあります。あんはとても熱いので、最初のひと口は気をつけて。もやしのシャキシャキ感とつるんとしたスープが合わさる味で、派手さはなくてもまた食べたくなる町の麺として愛されています。

神奈川の中だけで通じる名前

サンマーメンは21世紀に入って横浜周辺から関東のほかの地域へも少しずつ広がりましたが、今も神奈川県の味という印象が強い料理です。2024年5月時点で、横浜・川崎・横須賀などを含む神奈川県の中華料理組合に属する24店が、普及団体「かながわサンマー麺の会」に加盟しています。一方で、同じ県内でも小田原や相模原方面ではあまり食べられていないといい、神奈川のなかでも東側の港寄りの味といえます。 2009年には全国の中華料理組合の大会で麺部門の最優秀賞を受賞し、世代を超えて受け継がれてきた地域の食を文化庁が認定する「100年フード」に、令和3年度(2022年3月発表)に選ばれました。

どこで、どう食べる?

サンマーメンは、中華街の高級広東料理店よりも、町のあちこちにある素朴な町中華のメニューで出会うことの多い料理です。横浜市内だけでなく、川崎、横須賀、鎌倉方面の大船など、神奈川東部の駅前の中華料理店のメニューで「サンマーメン」「生馬麺」の文字を探してみてください。店ごとにスープが醤油味か塩味か、野菜の組み合わせがどうかが違い、食べ比べる楽しみがあります。 注文は「サンマーメンください」で十分。メニューに名前だけで写真がないことも多いので、上の漢字表記を覚えておくと便利です。餃子を一皿添えれば、横浜の町中華の典型的な一食になります。

#サンマーメン#横浜中華街#神奈川の郷土料理#あんかけ#100年フード
サンマーメン:秋刀魚とは無関係、横浜の港が育てたもやしあんかけ麺 | TastyLog