
鎌倉・関谷の野菜畑 · 写真: 妖精書士 / CC0 (Wikimedia Commons)
鎌倉野菜とレンバイ:農家が直接売る、100年近い歴史の直売所
鎌倉駅から歩いて数分、若宮大路沿いに、農家が自ら野菜を売る昔ながらの市場があります。地元では「レンバイ」と呼ばれています。鎌倉野菜が特別だといわれる理由、市場の歴史と使い方、旅行者の楽しみ方をまとめました。
「鎌倉野菜」とは
鎌倉野菜は特定の品種名ではなく、鎌倉市内の農家が育てるさまざまな野菜をまとめて呼ぶ言葉です。神奈川県の観光公式サイトによると、主な産地は鎌倉中心部を囲む山の外側に広がる平地や台地の関谷、長尾台、手広の地域。関谷は晴れた日に富士山が見える広い農地として紹介されています。 同じ資料は、鎌倉野菜が海と山からのミネラルを豊富に含んだ土で育つため味が濃いと説明しています。また一つの畑で多くの種類を少しずつ育てる農家が多く、「七色畑」という呼び名もあります。西洋野菜を含め、色とりどりの野菜が一か所に混ざっているのが鎌倉野菜の魅力とされます。
レンバイ、正式名称は「鎌倉市農協連即売所」
鎌倉野菜にいちばん手軽に出会える場所は、鎌倉駅東口から歩いて数分、鶴岡八幡宮へ続く若宮大路沿いにある「鎌倉市農協連即売所」です。地元の人は「農協連」の「連」と「即売所」の「売」をとって「レンバイ」と呼んでいます。 神奈川県の観光公式サイトはこの市場を「100年近い歴史」を持つ場所と紹介しています。複数のメディアが1928年(昭和3年)に始まったと伝え、日本初の欧州式マルシェと紹介することもあります。ただ「日本初」はメディアの紹介文句なので、参考程度に受け止めるとよいでしょう。市場は、素朴な屋根の下に売り台が並ぶつくりです。
仲卸を通さない市場
レンバイの最大の特徴は、農家が直接売ることです。神奈川県の観光サイトによると、鎌倉野菜の多くは仲卸を通さずに直接販売されるため新鮮で、買う人と育てる人の距離が近いといいます。複数のメディアは、農家がいくつかのグループに分かれ、日替わりで交代しながら売り場に立っていると紹介しています。 そのため、その日に売り場に立つ農家によって並ぶ野菜が変わり、同じ市場でも行くたびに景色が違います。客層もさまざまで、地元の主婦や観光客に交じって横浜や東京のレストランのシェフも買い出しに来るそうです。農家さんから直接野菜の説明や食べ方を聞けるのが、スーパーといちばん違う体験です。
旅行者が鎌倉野菜を「食べる」には
旅行者がレンバイで野菜を買っても、宿で料理するのは難しいもの。そこでいちばん現実的なのは、鎌倉野菜を使う飲食店やカフェを探すことです。鎌倉駅周辺や小町通り、海辺のカフェでは、「鎌倉野菜」をうたったサラダ、焼き野菜のプレート、カレー、パスタなどのメニューをよく見かけます。メニューで「鎌倉野菜」の文字を探してみてください。 レンバイでは、きゅうりやトマトのようにすぐ食べられる野菜を少し買って散歩の途中に味わったり、ピクルスやジャムなどの加工品をおみやげに選んだりする方法もあります。並ぶ品は農家や季節によって変わるので、現地で何があるか見て回ること自体が楽しみです。
訪問のコツと持ち帰りの注意
レンバイは朝から夕方まで開いていると紹介されていますが、人気の野菜は早く売り切れることが多いので、午前中に立ち寄るのがおすすめです。鶴岡八幡宮への参道沿いなので、神社への行き帰りに寄りやすい場所です。少量売りが多く、現金のみの売り場もあるかもしれないので、小銭を用意しておくと安心です。 いちばん大事なのは帰国時のルールです。韓国をはじめ多くの国は植物検疫のため、生の野菜や果物の持ち込みを原則禁止または厳しく制限しています。旅行中に食べる分だけ買い、おみやげは加工品を中心に選び、それも各国の持ち込み基準を事前に確認しましょう。鎌倉野菜は現地で食べるのがいちばんおいしいのです。