豆知識
かき氷(参考写真) · 写真: yoppy (Flickr) / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)

かき氷(参考写真) · 写真: yoppy (Flickr) / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)

日本日光

日光の天然氷かき氷:冬の池から切り出した氷が夏のかき氷になるまで

全国に数軒しか残っていない天然氷の蔵元のうち、3軒が日光にあります。山の湧き水を冬の池でゆっくり凍らせて切り出し、夏まで氷室で保存して、かき氷に削ります。天然氷ができるまでの工程、ふわふわ食感の理由、楽しみ方をまとめました。

6分で読める6

機械製氷の時代に生き残った天然氷

天然氷は、冷凍機を使わず冬の寒さで自然に凍らせた氷です。日本で氷を楽しんできた歴史は古く、平安時代の随筆『枕草子』にも氷を食べる話が登場するといいます。冬に凍らせた氷を「氷室」という氷の蔵に保存し、夏に取り出して使うやり方が長く続いてきました。 しかし明治初期に海外から機械製氷が入ってくると、天然氷の蔵元は大正時代をピークに急速に減っていきました。旅行情報メディアによると、現在全国に残る天然氷の業者は約7軒で、そのうち3軒が日光市にあり、ほかは長野県軽井沢町、埼玉県長瀞町、山梨県北杜市や河口湖町などにあります。業者の数は資料によって少しずつ違いますが、日光に3軒という点は一致しています。

冬の池で2週間、厚さ13〜15cmで切り出す

日光の天然氷ができるまでを、ある蔵元の例で見るとこうなります。縦約54m、横約22mの氷池に山の湧き水を引き入れると、冬の寒さのなか2週間ほどで氷が育ちます。厚さが13〜15cmほどになれば切り出しどき。紹介された例では、2月初めに採氷作業が行われていました。 氷の上に碁盤の目のように線を引いて電動カッターで切ると、一枚の重さは約40kgにもなります。切り出した氷は竹のレールの上を滑らせ、鉤のついた竿で氷室まで運びます。この蔵元では年に約5500枚、約220トンの氷を切り出すそうです。天候に左右される、手間のかかる仕事です。

ヒノキのおがくずの中で夏まで眠る氷

切り出した氷は、氷室で夏を待ちます。紹介された蔵元の氷室は戦前に建てられた平屋の木造建築で、ヒノキの柱と栗材の内壁でできています。氷を積み上げたあと周りをヒノキのおがくずですき間なく覆うと、おがくずが断熱材の役割を果たし、氷は夏まで溶けずに残るといいます。 電気を使わないこの保存方法は、昔の氷室の知恵をそのまま受け継いだものです。手作業なので生産量に限りがあり、この蔵元はネット販売をせず対面販売のみだそうです。日光で食べる天然氷のかき氷一杯には、真冬の労働と数か月の待ち時間が詰まっているのです。

天然氷のかき氷はなぜふわふわなのか

天然氷のかき氷の魅力は、綿のようにふわふわで口の中でさっと溶ける食感です。紹介資料によると、その理由は氷のでき方にあります。厳しい寒さのなかで長い時間をかけてゆっくり凍るので不純物の少ない固い氷になり、固くて純度の高い氷ほど削ったときに溶けにくく、とても薄く細かい氷にできるという説明です。 また、天然氷のかき氷は口の中が冷たくなりすぎないと紹介するところもあります。感じ方には個人差がありますが、一般的なかき氷のシャリシャリした氷とははっきり違うやわらかさを感じられるはずです。上にかけるシロップもいちご、抹茶、果物など店ごとに個性があり、氷そのものの味を楽しむならシンプルなシロップを選ぶのも手です。

日光で天然氷のかき氷を楽しむ

天然氷のかき氷は、日光市内や今市周辺のかき氷店やカフェで味わえます。夏の7〜8月を中心に営業する店が多く、通年営業の店もあるので、訪れる前に営業期間を確認するのがおすすめです。夏の繁忙期や週末は長い行列ができることも多いので、早めの時間に行くか平日をねらうとよいでしょう。 店によっては量がたっぷりなので、何人かで分けるのもいいでしょう。氷が溶けないうちに上から少しずつすくって食べるのがおいしく食べるコツです。東照宮の参拝で汗をかいた夏の日に、日光の冬の寒さが生んだ氷で涼をとるのは、この地域ならではの特別な体験。日光の冬と夏を一杯に閉じ込めたデザートといえます。

#天然氷#かき氷#氷室#日光#夏のスイーツ
日光の天然氷かき氷:冬の池から切り出した氷が夏のかき氷になるまで | TastyLog