
豊基の市場に並ぶ生人参 · 写真: Eugene Kim / CC BY 2.5 (Wikimedia Commons)
豊基人参:韓国の栽培人参が始まった小白山のふもとの物語
慶尚北道栄州の豊基邑は、記録上、韓国で初めて人参が栽培された場所として知られています。1541年の豊基郡守・周世鵬の話、豊基人参が締まっていると言われる理由、良い生人参の選び方、秋の人参祭りと人参グルメをまとめました。
1541年、山人参の種を畑にまいた郡守
栄州市豊基邑は小白山の南麓にある小さな町です。ここは記録上、韓国で初めて人参が栽培された場所として知られています。 地元紙や栄州市側の説明によると、朝鮮中宗36年の1541年に豊基郡守として赴任した周世鵬が、山で採れる山人参の種を採って畑で育てる栽培人参を始めたといいます。周世鵬は、韓国初の書院である白雲洞書院(現在の紹修書院)を建てた人物としてもよく知られています。豊基には彼が初めて人参を植えた場所をたたえる「開参址(ケサムト)」があり、毎年の人参祭りではここで祭礼が行われます。
なぜ豊基人参は締まっていると言われる?
豊基人参には「身が締まっている」という説明がよく付きます。栄州市側が挙げる根拠は自然環境です。栄州は北緯36.5度付近にあり、平均日照時間が7時間を超え、寒暖差が11.9度と大きいそうです。こうした環境で育った人参は組織が緻密で保存性がよく、紅参などの加工にも向いているという説明です。 地元紙には、豊基人参の有効サポニンが36種で、アメリカ産(19種)や中国産(15種)より多いという数字もよく登場します。ただしこうした比較は自治体や地元関係者の説明を伝えたものなので、科学的な比較結果と決めつけるより「地元の自慢」くらいに受け止めるのがよいでしょう。確かなのは、500年近い栽培の歴史が豊基を韓国を代表する人参の町にしたということです。
生人参(スサム)の選び方と使い分け
豊基では畑から掘ったままの生の人参「スサム(水参)」がたくさん売られています。農村振興庁が案内する選び方はこうです。頭の部分とその周りに茎を切った跡がはっきりしていれば新鮮で、ひげ根が多いものがよい。胴を押したときに硬く弾力があるもので、皮がむけたり割れたりしたものは避けたほうがよいとのこと。 農村振興庁は、9〜11月に掘った人参はそれ以前のものよりサポニン総量が10%以上多いとも紹介しています。秋の豊基が人参の買い時といわれるゆえんです。スサムは水分が多く日持ちしにくいので、旅行中に買ったら新聞紙に包んで冷蔵し、なるべく早く食べましょう。はちみつ漬けやお茶にするなど、家庭での使い方もいろいろあります。
秋の豊基人参祭り
人参を掘る秋になると、豊基はお祭りムードに包まれます。豊基人参祭りは毎年10月に豊基邑一帯で開かれ、2017年に20周年を迎えました。開幕時には開参址での祭礼と、周世鵬郡守の行列を再現するパレードが行われ、人参掘り体験、優良人参選抜大会、人参むき競争、人参の競りなどが続きます。 会場の人参にはユニークな品質保証の仕組みがあります。2016年から、豊基産の人参を公開で掘り出して通し番号を付けて封印し、祭り当日に人々の前で開封して販売しているそうです。産地への疑念を減らすための工夫です。報道によると、2026年は10月3日から11日まで豊基邑の南院川と豊基人参公園一帯で開かれました。日程は毎年変わるので、栄州市の案内を確認してください。
豊基で味わう人参グルメ
人参を買わなくても、豊基には手軽に人参を味わう方法がたくさんあります。祭りの期間中は、人参の天ぷら、人参入りドーナツ、はちみつや砂糖で煮詰めた人参正果(チョングァ)、人参茶などを試食できると紹介されています。特に丸ごと揚げた人参の天ぷらは、ほろ苦い香りとサクサクの衣がよく合い、初めての人でも気軽に楽しめます。 豊基駅周辺の人参市場一帯には、生人参や紅参、乾燥させた白参、人参加工品を売る店が集まっています。近くには浮石寺、紹修書院、小白山があり、人参市場めぐりと合わせて日帰りコースにしやすい場所です。人参を選ぶときは前述のコツどおり硬さとひげ根を見て、用途を伝えれば店の人が何年根がよいか選んでくれることもあります。