
統営で水飴をからめるクルパン · 写真: KOREA.NET / CC BY-SA 2.0 (Wikimedia Commons)
統営のクルパン:蜂蜜を使わないのになぜ「蜜パン」?戦後の港町で生まれた甘さ
統営の江口岸(カングアン)を歩くと、つやつやの丸いパンが入った箱を手にした旅行者をよく見かけます。あんこ入りのパンを揚げて水飴をからめた統営クルパンの由来と作り方、買うときのコツをまとめました。
蜂蜜のないクルパン、名前の秘密
クルパン(蜜パン)は、名前に反して蜂蜜を塗ったパンではありません。あんこを包んだ生地を油で揚げた丸いパンに水飴をたっぷりからめ、ごまをふったものが基本の姿です。本物の蜂蜜ではなく水飴なのに蜂蜜のように甘いことから「蜜パン」と呼ばれるようになったと伝えられています。 かじると外側はねっとりつやつや、中にはずっしりしたあんこがぎっしり。ドーナツとあん餅の中間のような味を想像するとわかりやすいでしょう。今では統営を代表する食べ物のひとつに数えられ、お土産に箱ごと買って帰る人がたくさんいます。
朝鮮戦争後、ひもじい港町で生まれる
クルパンは古い宮廷料理でも伝統餅でもありません。韓国の報道によると、朝鮮戦争の直後に統営のパン屋で作られ始めて広まった統営式のパンで、食べ物が乏しかった時代に甘いものを恋しがる人々が楽しんだおやつでした。 今「元祖」とされる店の始まりも、その時代につながっています。統営のパン屋で職人をしていた人が1963年ごろ、生活費の足しにと当時配給されていた小麦粉でパンを作り、妻の果物の露店の片隅で売り始めたと伝えられています。最初は看板もない屋台でした。暖かい南の気候でも傷みにくく、船乗りたちが好んで食べたおやつだったと紹介する資料もあります。
揚げて、水飴をからめて、ごまをふる
作り方はシンプルです。小豆を煮て甘くしたあんを丸め、薄い小麦粉の生地で包んで油で揚げます。揚げたパンを温かい水飴の中で転がしてコーティングし、ごまをふれば完成。水飴の膜が表面を包むのでつやが出て、時間がたっても表面が乾きにくくなります。 店ごとの違いは、生地の厚さや油っぽさ、水飴の濃さに出ます。生地に油を吸わせないように揚げてあっさり仕上げるのが秘訣だという店もあります。最近は定番のあんこのほか、さつまいもや豆を入れたクルパンも並び、いろいろな味を詰め合わせた箱を選ぶ人も多いです。
テレビと宅配便が育てた統営名物
長い間、クルパンは統営の人々、とくに学生に親しまれた地元のおやつでした。全国に名前が知られたのは比較的最近のことです。2013年の報道によると、1999年にあるテレビ番組でクルパンが忠武キンパ、カキご飯とともに統営の代表的な食べ物として紹介され、その後インターネットと宅配便の広がりで人気が大きく伸びました。 名前が知られると、統営港の奥にある江口岸文化広場の周辺にクルパンの店が次々と増え、旅行者がクルパンの袋を提げて歩くのがひとつの流行になりました。類似品が増えて元祖とは味が違うという地元の声もありましたが、おかげで今は店ごとの味を食べ比べる楽しみがあります。
江口岸でクルパンを買うコツ
クルパンの店は統営港の江口岸から中央市場へ続く一帯に集まっているので、東ピラン壁画村や江口岸の亀甲船見物と一緒に立ち寄るのに便利です。ほとんどの店はばら売りより数個入りの箱単位で売っていて、あんこだけにするか、いろいろな味を詰め合わせるかを選べます。 水飴のコーティングで手がべたつきやすいので、歩きながら食べるならウェットティッシュがあると便利。一つが見た目よりずっしり甘いので、濃いコーヒーやお茶とよく合います。お土産に買うときは、保存方法と賞味の目安を必ず店で確認しましょう。店ごとに材料も作り方も違うので期間も異なります。味も少しずつ違うので、二、三軒で少しずつ買って食べ比べるのも統営旅行の楽しみです。