
石鍋のカキご飯と生ガキ · 写真: wizdata / CC0 (Wikimedia Commons)
統営のカキ:韓国の生ガキのふるさと、ロープで吊るして育てる冬の味
冬のキムジャンの季節になると、全国に出回る新物のカキの多くが統営から届きます。穏やかな南海岸の湾でロープに吊るして育てる垂下式養殖、夜明け前からカキをむく作業場、そして統営でのカキのおいしい食べ方をまとめました。
韓国のカキのふるさと、南海岸の穏やかな海
韓国は中国に次ぐ世界第2位のカキ生産国とされ、その大半が南海岸で採れます。2024年の報道によると、南海岸の生ガキは統営、固城(コソン)、巨済、馬山、麗水の一帯で主に生産され、全国の生ガキ生産量の80〜90%を占め、キムジャンの季節に出回る新物の約70%が統営産です。これらのカキは統営にあるカキ垂下式水協を通じて全国へ出荷されます。 南海岸でカキ養殖が発達した理由は海の形にあります。島が多く海岸線が入り組んでいるため、波や潮の流れが穏やかな内湾がたくさんあるのです。統営では道山面の沖をはじめ海のあちこちに養殖場があり、毎年の初競りも龍南面にあるカキ垂下式水協の競り場で行われます。
ロープに吊るして育てる垂下式養殖
統営のカキは垂下式で育てます。海に浮かべたブイや支柱から、カキの付いたロープを長く垂らし、カキが海底に触れず水中に吊られたまま育つようにする方法です。報道によると垂下式のカキ養殖は1960年ごろに始まり、その後、韓国のカキの主産地は西海岸から南海岸へ移りました。 流れはこうです。カキが産卵する6〜8月に、カキ殻をロープに通して海に下ろすと、水中を漂うカキの幼生が殻に付着します。これを採苗といいます。種の付いたロープを養殖場に吊るして育てると、採苗したカキは2度目の冬に収穫されます。湾に並ぶ白いブイの列が、まさにカキ畑です。
むき身作業場、夜明け前にカキをむく手
海から引き上げたカキは「パクシンジャン(剥身場)」へ運ばれます。カキの殻をむく作業場のことです。カキのシーズンになると、多くの村人が早朝から作業場に出て、カキナイフ一本で一日中カキをむきます。報道によると、作業する人たちはカキを殻に留めている筋肉、現場で「目」と呼ぶ部分を切ってむき身を取り出します。 手間賃は時間ではなく、むいたカキの重さで計算することが多いそうです。むき身は何度も洗ってから競りに出されます。2004年の報道では、統営だけで作業場が270か所あまりあると伝えています。冬の統営の海辺に積まれた白いカキ殻の山は、この仕事の跡です。
いつ食べる?秋の初競りから翌年の春まで
統営の生ガキは、毎年秋の初競り(初売り式)でシーズンが始まります。報道によると出荷はふつう10月から、遅いと翌年4月末まで続き、作業場もこの時期に主に稼働します。寒くなるほど身がふっくらすると言われ、真冬をいちばんおいしい時期に挙げる人が多く、キムジャンの材料としてもよく使われます。 夏はカキの産卵期なので生ガキの出荷は止まります。夏に統営を訪れるなら、生ガキの代わりにカキの加工品やほかの海産物を楽しむほうがいいでしょう。水温など海の状況によって年ごとに出来が変わり、カキの大量死で生産が大きく減った年もありました。冬の旅なら、出発前にその年のカキの情報を調べておくと安心です。
統営でのカキの食べ方
いちばんシンプルなのは生ガキです。酢コチュジャンや醤油だれを少しつけると、海の香りがそのまま広がります。火を通した料理では、カキを入れて炊いたカキご飯(クルパプ)が代表格で、1999年の番組ではクルパン、忠武キンパとともに統営の代表料理として紹介されました。薬味だれを入れて混ぜて食べることが多く、カキのチヂミ、カキのスープ、焼きガキも冬の食卓によく上ります。 地元のおかずには「ムルクルジョッ」があります。カキを塩で和えて軽く発酵させ大根を加えたもので、統営式は大根をすりおろすように削って入れ、隣の巨済は千切りにするという違いがあると紹介されています。生が心配なら加熱料理を選べば大丈夫。中央市場の周辺では、シーズンになるとむき身のカキを売る様子も見られます。