
全州のカメク
全州のカメク:町のスーパーで飲むビールと練炭焼きの干しダラ、全州の夜の文化
全州には「カメク」という独特の飲み文化があります。町のスーパーのテーブルで冷たいビールに練炭で焼いた干しダラやコウイカを合わせるのです。カメクとは何か、何を頼みどんなタレにつけるのか、夏のカメク祭りまでまとめました。
カメクとは「店のビール」の略
カメクは「カゲ・メクチュ(店のビール)」を縮めた言葉で、全州を代表する飲み文化です。町のスーパーの片隅に置かれた簡易テーブルで、冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、簡単なつまみと一緒に飲むのです。会社員や庶民が仕事帰りに気軽に一杯やったのが始まりだといわれます。 今も全州市内のスーパーやコンビニの前でこうした光景をよく見かけ、2024年の報道ではこうしたカメクの店は300軒ほどあります。店で手作りのつまみを出すところが増え、看板は「○○スーパー」なのに実際はカメクしか売っていない店も現れました。居酒屋と駄菓子屋の間にあるような、全州ならではの空間です。
いつから始まったのか
カメクが正確にいつ始まったのかを示す公式な記録は見つけにくいのが実情です。あるグルメコラムによると、今も営業している最も古いカメクの店は1984年の開業で、その1年前に開業し今はなき店が最初だったそうです。「カメクの聖地」と呼ばれこの文化を広めた別の店は、1989〜1990年ごろの開業と記憶されています。確かなのは、昔から全州の人々の日常にあった文化が、テレビやSNSを通じて全国に知られるようになったことです。 カメクに練炭の火は欠かせません。今も店の外の練炭でファンテを焼く店があり、金づちでたたいてふくらませたファンテが「綿あめのように」とろけると表現されるほどです。そのためカメクといえば練炭の火の匂いが思い浮かびます。華やかな料理より、素朴なつまみと安さ、気楽な雰囲気がカメクの核心です。
何を頼む? 干しダラとコウイカが基本
カメクの店の代表的なつまみは、練炭で焼いた干しダラ(ファンテ)とコウイカです。ファンテは冬の冷たい風の中で凍っては解けるのを繰り返して黄色く乾いたスケトウダラで、たたいて柔らかくしてから火で焼き、繊維に沿って裂いて食べます。コウイカは身が厚く歯ごたえがあり、ビールのつまみとして人気です。 ほかにも分厚い卵焼き、ツナのチヂミ、豆腐キムチ、豚肉の辛味炒め、フライドチキンなど、店ごとに手作りのつまみがあります。初めてならファンテかコウイカのどちらかに卵焼きを加える組み合わせが無難です。カメクの店はたいていメニューが少なく値段も安めなので、2〜3人でつまみ2品ほどから始め、足りなければ追加するのが気楽です。
店ごとに違う秘伝のタレ
カメクのつまみの味を左右するのは、つけて食べるタレです。よく知られているのは、醤油に水あめや刻んだ青陽唐辛子などを加え、マヨネーズをたっぷりのせたものです。しょっぱさと辛さ、まろやかな甘みが一度に広がり、淡白なファンテのうま味を引き立てます。あるコラムは、このタレこそが全州のカメクをみんなのやみつきにしたと書いています。 もとは一人の客が混ぜて食べていた組み合わせが定着したという話もあり、今では店ごとに独自の割合で作っています。マヨネーズを混ぜて食べるか別につけるかも好みが分かれます。家でまねする人も多いですが、練炭の香りが移ったファンテと一緒に味わうあの味は、やはり現地で楽しむのがいちばんです。
夏の夜の全州カメク祭りと楽しみ方のコツ
カメク文化を祭りに育てたのが全州カメク祭りです。毎年夏に開かれ、2024年は第10回として7月25日から27日まで全州総合競技場一帯で、2026年は8月6日から8日まで全北大学校で開催されました。全州市内のカメクの店20〜30軒が参加してつまみを売り、「今日造ったビールを今日飲む」という文句どおり、当日に造ったビールを出すのが特徴です。 普段カメクを楽しむときは、いくつか覚えておきましょう。カメクの店はたいてい夜遅くに混み、席も狭いので、大人数なら少し早めに行くのがおすすめです。店の事情で休みや営業時間がよく変わるので、特定の店を訪ねるなら出発前に営業しているか確認しましょう。