
麗水のソデフェムチム · 写真: Mar del Este / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
麗水の食卓の二大主役:マッコリ酢で和えるソデフェとトルケジャン定食
麗水で必ず食べたい料理といえば、ソデフェ(シタビラメの刺身和え)とケジャン定食が欠かせません。1年寝かせたマッコリ酢で味をつけるソデフェ、小さく硬い石ガニで漬けるケジャン定食の特徴と食べ方、注文時の注意点をまとめました。
海がととのえる麗水の食卓
全羅南道の麗水(ヨス)は南海岸の港町で、突山島などの島々や汝自湾(ヨジャマン)のような内湾に囲まれ、季節ごとにさまざまな海産物が揚がります。そのため麗水の料理といえばほとんどが海の幸です。突山(トルサン)のカラシナで漬けるカッキムチ、ウナギの焼き物とウナギ汁、夏のスタミナ食とされるハモ(5〜11月に多く獲れる)の刺身やしゃぶしゃぶも有名です。 なかでも旅行者がまず探すのがソデフェムチムとケジャンペッパン(ケジャン定食)の二つ。ソデフェは麗水以外ではなかなか出会えない料理で、ケジャン定食はご飯一杯にケジャンをたっぷり添える南道の食卓の気前よさを感じさせます。どちらも店が多く値段も手ごろなので、麗水の旧市街を巡るあいだに一食ずつ分けて味わうのにぴったりです。
ソデフェ:1年寝かせたマッコリ酢の味
ソデは舌のように平たく細長い海の魚(シタビラメの仲間)で、麗水の沖や汝自湾一帯でおもに獲れます。一年中獲れますが、5〜6月に最も多く揚がるそうです。ソデフェムチムはソデの身を切って甘酸っぱく辛いヤンニョムで和えた料理で、大切な客をもてなす料理であり、王の御膳にも上ったと伝えられます。 味の決め手は酢です。ソデフェで名の知れた店はマッコリ酢を自家製しており、マッコリを沈殿させて上澄みの澄んだ酒を1年かけて発酵させ、翌年に酢として使う方法が紹介されています。こうして作る天然の酢が生臭さを消し、味をまろやかにするといいます。ヤンニョムにはこの酢とともにコチュジャン、水あめ(チョチョン)、大根、ニラ、にんにく、しょうがなどが入ります。
ソデフェはご飯に混ぜてこそ
ソデフェムチムはそのままつまんでもよいのですが、麗水ではご飯に混ぜて食べるのが普通とされます。大きな器が一緒に出てきたら、ご飯を入れてソデフェをたっぷりのせ、刻み海苔とごま油を加えて混ぜましょう。付け合わせのナムルを加えてビビンバのように食べる人も多くいます。 酸味が先に立ち、コチュジャンの甘みと辛みが後から追いかけてくるので、刺身が苦手な人でも比較的食べやすい味です。ソデの身は淡白で歯ごたえがあり、ヤンニョムとよく合います。ソデフェを出す店はタチウオの煮付けや塩焼きを扱っていることもあるので、二人以上ならソデフェに魚料理を一品足して分け合うのもおすすめ。酢の味が強めなので、最初はヤンニョムを少し減らして混ぜてみるのもよいでしょう。
ケジャン定食:小さく硬い石ガニの味
麗水のケジャン定食の主役はワタリガニではなく、トルケ(石ガニ)です。ワタリガニより小さく甲羅が硬いため身は少なめですが、香ばしい味が濃厚です。 ケジャン定食を頼むと、ふつう醤油に漬けたカンジャンケジャンと、コチュジャンのタレで和えたヤンニョムケジャンが一緒に出て、テンジャンの汁物やチゲ、南道式のおかずが添えられます。麗水のケジャンは甘すぎず塩辛すぎず、うま味が深いと評判です。おかずの内容は店ごとに少しずつ違います。ケジャン定食の店は旧市街の鳳山洞(ポンサンドン)一帯に特に多く集まり、「鳳山洞ケジャン通り」と呼ばれています。
注文のコツとどこで食べるか
ケジャン定食はふつう人数分を1人前ずつ注文します。ケジャンのおかわりができる店が多いものの、何回までか、カンジャンケジャンとヤンニョムケジャンのどちらが対象かは店によって違うので、先に確認しましょう。トルケは殻が硬いので無理にかみ砕かず、身と卵をちゅっと吸って食べ、残った醤油ダレにご飯を混ぜて食べるのが麗水流の締めです。 ソデフェは1人前単位で売る店と皿単位で売る店があるのでメニューを確認してください。ソデフェとケジャン定食の店は、李舜臣広場周辺や鳳山洞など麗水の旧市街に集まっているので、海辺の散歩や夜の海の見物と合わせて立ち寄るのに便利です。ソデがたくさん獲れる晩春から初夏、ハモが出回る夏に行けば、麗水の旬の海の味をより幅広く楽しめます。