歴史
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こんがり焼いたクルビ · 写真: SOSEONHONG / CC0 (Wikimedia Commons)

こんがり焼いたクルビ · 写真: SOSEONHONG / CC0 (Wikimedia Commons)

韓国全羅南道 · 霊光

霊光クルビ物語:法聖浦のイシモチはなぜ「クルビ」になり、今どう作られているのか

霊光の法聖浦は、クルビ(干しイシモチ)ひとつで名を知られた港町です。「屈しない」という意味の「屈非」から来たという名前の由来、一尾ずつ塩をする伝統製法、ポリクルビの食べ方、本物の見分け方までまとめました。

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クルビとは何か、なぜ霊光・法聖浦なのか

クルビは、イシモチの仲間であるキグチ(韓国語でチャムジョギ)を塩漬けにして干したものです。韓国では「白いご飯にクルビがひと切れあれば、ほかのおかずはいらない」と言われるほどのご馳走で、名節の贈り物の定番でもあります。そのクルビの代名詞が、全羅南道霊光郡法聖面の港、法聖浦(ポプソンポ)です。 法聖浦の沖に広がる七山(チルサン)の海は、昔から知られたイシモチの漁場でした。春になると産卵のために北上する群れがこの海を通り、15世紀の『世宗実録地理志』にもこの海が「波市坪」と記され、イシモチの季節には船の上に魚市場「波市(パシ)」が立ちました。法聖浦には朝鮮時代末まで、税の穀物や特産物を都へ送る漕倉があり「湖南第一の港」と呼ばれました。

「屈しない」という名前:李資謙の伝説

クルビという名前には有名な伝説があります。高麗の外戚として権勢をふるった李資謙(イ・ジャギョム)が反乱を企てて失敗し、今の霊光・法聖浦へ流されました。潮風で干したイシモチの味に感心した彼は王に献上する際、へつらいと受け取られないよう「志を曲げない」という意味の「屈非(クルビ)」の二文字を書き添えたといいます。 観光案内では高麗・睿宗の時代の話とされることが多いものの、李資謙が失脚して流されたのは1126年の「李資謙の乱」の後、仁宗の時代なので、資料によって時期が異なります。名前には別の説もあり、わらで編んだイシモチが乾くにつれて曲がる姿から「クビ(曲がったもの)」と呼んでいたのがクルビになったというものです。いずれにせよ、干しイシモチが古くからこの土地の名産だったことに変わりはありません。

一尾ずつ塩をする「ソプカン」

霊光クルビをほかと分けるのは「ソプカン」と呼ばれる伝統の塩漬け法です。にがりを抜いた霊光の天日塩で一尾ずつ手で塩をして寝かせ、塩分の薄い塩水で洗ってから編んで干します。塩水に漬けてまとめて味付けしたものを、ここでは「ムルクルビ(水クルビ)」と一段低く呼ぶほど、ソプカンが誇りにされています。霊光は新安と並ぶ天日塩の産地で、塩もすぐそばで採れます。 塩をしたイシモチは法聖浦の風と日差しで干します。わらで20尾ずつ編んだものを「1トゥルム」といい、今もクルビはトゥルム単位でよく売られています。昔から穀雨(4月20日ごろ)の前後に獲れ、卵がぎっしり詰まって身の乗ったものを「穀雨サル・クルビ」「オサリ・クルビ」と呼んで最上としたといいます。

今の霊光クルビと本物の選び方

海は大きく変わりました。イシモチの回遊ルートが変わり、今では七山の海で昔のようには獲れず、楸子島(チュジャド)周辺などほかの海で獲れたキグチを運んできます。それでも塩をして干す作業は今もほとんどが法聖浦で行われ、2009年には法聖浦一帯が「霊光クルビ産業特区」に指定されました。 名が知られているぶん、似た魚で作った偽物も少なくありません。フウセイ(プセ)やシログチなどよく似た魚や輸入物を使うケースで、頭のひし形模様で見分けるという俗説は似た魚にも当てはまるため当てにならないそうです。贈り物用に買うなら、生産情報の入った真正品認証タグが付いているかを確かめるのが確実です。

食べ方と法聖浦のクルビ通り

基本は焼き網やフライパンでこんがり焼き、白いご飯と食べることです。食堂では焼いたクルビに多くのおかずが付く「クルビ定食」「クルビ白飯」がよく出され、コチュジャンに漬け込んだコチュジャンクルビや、イシモチの辛い鍋(チョギメウンタン)も味わえます。 夏に特に好まれるのがポリクルビ(麦クルビ)です。冷蔵庫のない時代に、クルビを麦の壺に入れて長く保存したことが名の由来とよく説明されます。カチカチに干したクルビを蒸して身をほぐし、氷を浮かべた緑茶にご飯を入れて、その上にのせて食べる方法がよく知られています。本場で味わうなら法聖面の「法聖浦クルビ通り」へ。干し場や売り場、クルビ定食の店が集まり、クルビを編む体験ができるところもあります。

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