
長興三合
長興三合:韓牛・タイラギの貝柱・シイタケを一緒に焼く正南津の味
長興(チャンフン)に行くなら、韓牛とタイラギの貝柱、シイタケを一緒に焼いて食べる「長興三合」をぜひ、と言われます。三つの食材がなぜ長興のものなのか、精肉店で肉を買って食堂で焼く土曜市場のしくみ、おいしい焼き方をまとめました。
山と野と海をひとつの鉄板に
全羅南道の長興郡は、ソウルの光化門から真南にあることから「正南津(チョンナムジン)」を名乗る土地です。ここを代表する料理が長興三合、別名・韓牛三合。野で育てた韓牛、得粮湾(トゥンニャンマン)の干潟で育ったタイラギ(キジョゲ)の貝柱、ナラの原木で育てたシイタケの三つを一緒に焼いて食べる料理です。 三つの食材がすべて長興の特産物だというのが長興三合の核心です。それぞれ単独でもおいしい食材ですが、韓牛のうま味にタイラギの柔らかさとシイタケの歯ごたえが合わさり、韓牛だけでは感じがちな脂っこさを貝柱とキノコがさっぱりと抑えてくれるといわれます。ひとつの鉄板に長興の山と野と海がそろうわけです。
人より牛が多い土地の韓牛
長興は名の知れた韓牛の産地です。2024年のある報道によると、長興の人口は約3万5000人ですが、約1800の農家が5万8000頭あまりの牛を飼っています。人より牛が多いわけです。畑で育てたイタリアンライグラスを牛の飼料に使い、一年中温暖な気候のおかげで牛を育てるのに良い条件がそろっていると紹介されています。1等級以上の韓牛の割合が全国平均を大きく上回るという説明もあります。 長興三合の韓牛は、精肉店で焼き用の部位を選び、タレに漬けずに焼くことが多いので、肉そのものの味がそのまま表れます。だから長興の人は、三合を食べるなら何よりも肉選びが大事だと言います。
得粮湾のタイラギと長興のシイタケ
タイラギ(キジョゲ)は長さがひと手幅を超える大きな貝で、長興の沖・得粮湾の干潟で育ちます。三合に使うのは殻を開け閉めする筋肉である貝柱で、大きく柔らかく甘みがあります。5月には、長興の安養面・水門港一帯のタイラギ村でタイラギ祭りが開かれてきました。 シイタケは長興のもう一つの自慢です。長興は国内有数のシイタケ産地ですが、全国生産量に占める割合は、2004年の報道では約12%(単一地域で最大)、2024年の報道では半分近くと、資料によって大きく異なります。『世宗実録地理志』に長興のシイタケが貢物として納められた記録があるほど歴史も古いものです。シイタケは油で焼くと香ばしく濃い香りが立ち、肉のような歯ごたえがあるので、三合のつなぎ役を果たします。
土曜市場の「チョジャンチプ」方式
長興三合をきちんと味わうなら、耽津江(タムジンガン)のほとりにある正南津長興土曜市場へ行け、とよく言われます。この市場の内外には、精肉店や精肉食堂が30軒近く集まっています。 食べ方が独特です。まず精肉店で好きな部位と量の韓牛を買い、それを食堂に持ち込んで「お膳代」を払って焼いて食べます。タイラギの貝柱とシイタケは食堂で別に注文します。刺身を買って「チョジャンチプ」(タレと付け合わせだけ出す店)で食べる方式に似ていることから、チョジャンチプ方式とも呼ばれます。2024年の報道時点で、肉代を除いて2人分のタイラギとシイタケが1万5000ウォン前後、お膳代が8000〜1万ウォンほどでした。値段は店や時期によって変わるので、入る前に確認しましょう。精肉店に併設された食堂なら、肉を買ってすぐ隣で焼けるので便利です。
おいしい焼き方と一緒に食べたいもの
長興三合は、食材を一度に鉄板に並べるより、数切れずつ焼いてすぐ食べるほうがおいしくいただけます。食材が新鮮なので焼きすぎないのがコツで、特にタイラギの貝柱は長く焼くと硬くなるので、表面の色が変わったらすぐに取りましょう。焼いた韓牛ひと切れに貝柱とシイタケをのせて一口で食べたり、葉野菜で包んでサムジャンと一緒に食べたりします。 食材を替えたアレンジもあります。タイラギの代わりにテナガダコやイイダコを入れた三合もあります。長興の海の味としては、冬から早春にかけて殻ごと焼き、軍手をはめてむいて食べる焼きガキや、メセンイ(カプサアオノリの一種)のスープも有名です。