
江華カブ
江華カブ:からしのようにピリッとする紫の根、島を出ると味が変わるという江華島の野菜
仁川の江華島に行くと、上が紫で下が白い丸いカブと、それで漬けたカブキムチをあちこちで見かけます。江華カブの由来、なぜ江華でしかその味が出ないと言われるのか、カブキムチやカブ料理をどこで味わえばよいかをまとめました。
大根でも白菜でもないような紫の根
江華カブは独楽のように丸く、上部は濃い紫、下部は白です。葉は濃い緑色でカラシナに似ています。韓国観光公社の「大韓民国くまなく」の紹介によると、味はからしのようにピリッとしながら爽やかで、大根と白菜の根の香りが一緒にします。そのため「からしの香りに高麗人参の味」と表現されることもあります。 韓国語名スンムには「ム(大根)」が入っていますが、植物学的には大根より白菜に近く、同じ記事によるとカブは白菜と染色体数が同じだそうです。江華島には花紋席(ござ)や中が黄色いサツマイモ、ヨモギなどの特産物が多いですが、秋になると何といってもカブが島の代表作物。島のあちこちの畑や市場で紫のカブを見かけます。
地中海から江華へ、そしてイギリス人教官の種
カブの原産地はヨーロッパの地中海沿岸とされています。中国を経て朝鮮半島に伝わり、三国時代から栽培されてきたといわれ、朝鮮中期からは江華島でカブを栽培して王に献上したという記録があると紹介されています。 今の江華カブには近代の物語も絡んでいます。1893年、高宗が近代的な海軍を育てるため江華に設けた海軍学校にイギリス海軍の教官コールウェルが派遣され、彼が持ち込んだ紫色のカブの種が江華に広まって、もともと栽培されていた在来のカブと交わり、今の江華カブになったという説明です。ただしこうした由来は多くの資料で繰り返されるものの原典を直接確かめるのは難しく、「そう伝えられている」程度に受け止めるのがよいでしょう。
なぜ江華で育たないとこの味にならないのか
江華の人々の間では、カブを橋の向こうのほかの地域に植えると根が細長く育ち、江華カブ特有の味が出ないといわれます。「大韓民国くまなく」はその理由として、江華島の質のよい土壌と強い海風といった環境の影響を挙げています。そのため江華カブは「江華で育ってこそ江華カブ」という認識が強いのです。 露地のカブは年に2回栽培します。春に種をまいて6月頃に一度収穫し、7月にまたまいて10〜11月に収穫します。ビニールハウスのカブはそれより遅く収穫し、露地ものより大きいものの味は少し落ちるそうです。カブの葉は硬いので大根葉のように干して使うことはなく、柔らかい葉だけを選んでキムチに入れます。秋の江華旅行なら、とれたてのカブに出会える時期です。
江華式カブキムチの漬け方と食べ方
江華カブを味わういちばん身近な方法はカブキムチ、またはスンムソッパクチです。島のどこでも見かける郷土料理で、粉唐辛子・ニンニク・生姜・アミの塩辛といった基本の薬味に、玉ねぎ、ワケギ、カラシナ、カブの若葉など、ざっと8種類ほどの材料が入ります。特徴は生エビ、干しスケトウダラ、昆布、煮干しでとったスープを加えること。カブは水分が少ないので、スープなしで漬けると味気なく、うまく発酵しないからです。 漬けたてはシャキシャキしてカブ特有のピリッとした味が強く、十分に発酵すると本来の味になります。季節ごとの変化もあり、5月にはパンデンイという小魚を入れたカブキムチを、10月には若いカブでチョンガクキムチに似たキムチを漬けます。よく漬かったカブキムチはラーメンによく合い、キムチの汁でご飯を混ぜて食べてもおいしいと紹介されています。
どこで味わい、買うか:江華風物市場とカブ料理
カブやカブキムチを買うなら、江華邑の江華風物市場が便利です。商人ごとにヤンニョムやレシピが違って味もさまざまなので、何軒かで少しずつ味見して気に入った店を選びましょう。市場ではパンデンイやアミの塩辛などの塩辛類や乾物も売っていて、2階の食堂街ではパンデンイの和え物のような江華の名物が食べられます。市場の周りでは、末尾が2と7の日に江華五日市も開かれます。 カブはキムチ以外にもいろいろな料理に変身します。薄切りにして焼いたスンムジョン、カブの汁とでんぷんで作るスンムムク(カブのゼリー)があり、カブキムチ・スンムムク・豚肉を一緒に食べる「江華サムハプ」も紹介されています。許浚の『東医宝鑑』には、カブは性質が温かく味が甘く、五臓によく消化を助けるという記録があります。カブキムチはにおいが強いことがあるので、旅行中に持ち歩くときはしっかり包みましょう。