
鎮川・草坪のフナ蒸し
鎮川・草坪のフナ蒸し:忠清北道最大の貯水池のほとりで
海のない忠清北道の鎮川には、川魚でつくる郷土の食卓があります。道内最大の草坪貯水池とそばの「フナ村」、干した大根の葉をたっぷり敷いて蒸し煮にするフナ蒸しの味、一緒に食べる魚スープ麺と鎮川のご飯、農橋や吊り橋と合わせた楽しみ方をまとめました。
生きては鎮川、海の代わりに川魚
鎮川には「生居鎮川、死後龍仁」という古い言葉が伝わっています。生きている間は鎮川、死んだ後は龍仁がよいという意味で、鎮川は野が広く暮らしやすい土地だと解釈されるのが一般的です。鎮川郡は今も「生居鎮川」を地域ブランドとして使い、地元の米も「生居鎮川米」の名で売られています。 海のない忠清北道では、川や貯水池が食卓の魚の倉庫の役割を果たしてきました。2019年のソウル新聞の報道は「内陸にある忠清北道は川魚の天国」とし、コウライケツギョ、コイ、フナ、カムルチー、ギギ、ナマズなど20種近い川魚がすむと紹介しています。鎮川でその川魚の食卓の主役となるのがフナです。
忠清北道最大の貯水池、草坪湖
鎮川のフナ蒸しの舞台は、草坪面の草坪貯水池(草坪湖)です。美湖川の上流をせき止めてつくった農業用の貯水池で、2026年の報道によると1942年に着工して1958年に完成し、1982年から堤防を積み直して1986年に今の姿になりました。2017年の世界日報は、貯水量1,378万トンに達する忠清北道最大の貯水池で、鎮川と旧清原郡一帯に農業用水を送るためにつくられたと紹介しています。 水面が広く深いため、釣り人にもよく知られています。草坪貯水池は「中部圏最大の釣り場」として知られ、水上に浮かべた釣り台での釣りが一年中楽しめるそうです。これほど大きな湖があれば、フナ料理がこの一帯の名物になったのも自然なことです。
貯水池のそばの「フナ村」
草坪貯水池の周辺には「フナ村」と呼ばれる郷土料理の通りがあります。2008年の報道は、貯水池そばの花山里のフナ村でフナ蒸しを出す食堂が10軒ほど営業していると伝え、2019年と2026年の報道も同じフナ村を草坪湖のグルメとして紹介しています。中には鎮川郡が指定した郷土料理店もあります。 2017年の世界日報は「草坪貯水池の周辺でつくられる料理ではフナ蒸しとフナの煮付けが有名だ」と書いています。川魚料理になじみのない旅行者にも、ここのフナ蒸しは鎮川を代表する名物としてよく勧められます。 フナ村がいつから今のような食堂街になったのか正確な記録は見当たりませんが、大きな貯水池と釣り人、そして川魚をよく食べてきた内陸の食文化が出会って、自然に生まれた食の村だといえるでしょう。
シレギと一緒に蒸し煮にする味
鎮川のフナ蒸しの相棒はシレギ(干した大根の葉)です。2026年の報道は、草坪のフナ蒸しを「新鮮なフナにシレギとたっぷりの薬味を入れてじっくり蒸し煮にした、あっさりしながらもピリッとした味」と紹介しています。2017年の報道によると、大きなフナに切れ目を入れて薬味を詰めてから蒸すため、身の奥まで味がしみます。大根の葉を干したシレギは魚の生臭さを抑えて煮汁を吸い込み、フナと同じくらい人気があります。 フナは小骨が多い魚なので、ゆっくりほぐして食べるのがコツです。身を少しずつ取り、味のしみたシレギと一緒にご飯にのせて食べるとおいしいです。この一帯の食堂では、川魚をじっくり煮込んだ魚スープ麺「オタンククス」や、小魚をカリッと揚げてタレを絡めた「トリベンベンイ」なども一緒に楽しめるそうです。ご飯は地元の生居鎮川米で炊くという紹介もあります。
草坪湖めぐりと一緒に
フナ蒸しを食べて帰るだけではもったいないほど、草坪湖の周りには見どころが多くあります。湖の近くには高麗時代に架けられたと伝わる石橋「農橋(ノンダリ)」があり、報道では「東洋最古の石橋」と紹介されることもあります。2024年4月には長さ309mの吊り橋「ミル309」が開通し、主塔のない吊り橋としては国内最長と紹介され、新たな名所になりました。 春には湖に浮かぶ「フナ島」が桜に覆われ、4月上旬から中旬が一番華やかだそうです。草坪湖は入場料なしで誰でも散策できます。 午前中に農橋と吊り橋を歩き、昼はフナ村でフナ蒸しを一鍋分け合うコースがおすすめです。食堂の営業状況やメニューは変わることがあるので、出発前に確認してください。