
泰安のパクソク・ナクチタン
泰安のパクソク・ナクチタン:ユウガオのスープでさっと煮るテナガダコ
忠清南道・泰安を代表する料理とされるパクソク・ミルグク・ナクチタンは、ユウガオの中身を切って煮た澄んだスープに生きたテナガダコをさっとくぐらせて食べ、最後にカルグクスやスジェビを入れて締める料理です。名前の意味、全羅道のヨンポタンとの違い、おいしい食べ方の順番、どこで食べるかをまとめました。
パクソク、ミルグク、ナクチ:名前の意味
この料理の名前は、材料を並べたものです。「パクソク」は丸いユウガオの白い中身、「ナクチ」は干潟でとれたテナガダコ。ユウガオの中身を大根のように四角く切って煮たスープで生きたタコをさっと煮て食べ、最後にカルグクスやスジェビを入れて締めます。 呼び名は「パクソク・ナクチ」「ミルグク・ナクチ」「パクソク・ミルグク・ナクチタン」などいろいろです。「ミルグク・ナクチ」について、2004年のソウル新聞は6〜7月にとれる小さなタコで作るパクソク・ナクチのことだと説明しています。2003年の週刊京郷に登場した遠北面の食堂の主人は、「ミルグク・ナクチ」より「パクソク・ナクチ」のほうが正確な呼び方だと強調していました。メニューで似た名前を見かけたら、同じ系統の料理だと思って大丈夫です。
藁ぶき屋根のユウガオと加露林湾のタコ
パクソク・ナクチがいつから食べられてきたのか、正確な記録は見当たりません。2026年のプレシアンの記事は、瑞山・泰安の漁村で、干潟のタコと茅葺き屋根の上で採れたユウガオの中身を一緒に煮て食べたことに由来する郷土料理だと紹介しています。確かな歴史というより、「身近な材料でこしらえた海辺の食卓」の話として受け止めるのがよいでしょう。 タコを育てるのは泰安の沖の干潟です。2003年の週刊京郷は加露林湾の干潟でとれた新鮮なテナガダコを使うと紹介し、2004年のソウル新聞は、泰安半島では梨園面の沖と亭山浦口でタコが多くとれると伝えています。週刊京郷は、ユウガオの中身は胃腸にやさしいという話も添えていました。泰安の人々にとってこの料理は、おいしさとともにおなかにやさしい一杯でもあるのです。
全羅道のヨンポタンとは何が違う?
澄んだスープにタコを入れて食べる料理といえば、全羅道のヨンポタンを思い浮かべるかもしれません。2004年のソウル新聞は「タコを入れて煮た全羅道式の料理がヨンポタンなら、泰安にはパクソク・ナクチがある」と、二つを並べて紹介しています。 いちばんの違いはスープのベースです。同じ記事によると、パクソク・ナクチはユウガオや大根などを入れて煮たスープで生きたタコを煮て食べ、店によっては昆布を加えます。ユウガオのみずみずしい青い香りとタコの淡白な味がともに生きているのが特徴だそうです。記者は、味はヨンポタンに似ているが香りはこちらが上だと評していますが、個人の感想なので、両方食べて比べてみてください。最後に麺や生地を入れて一食に仕上げるのも、泰安流の楽しみです。
おいしく食べる順番
パクソク・ナクチタンは、順番どおりに食べる楽しさがあります。ユウガオの中身と野菜を入れた鍋が煮立ったら、生きたタコを入れて火を通します。2004年のソウル新聞は、泰安の干潟のタコは煮ても硬くならないとして、煮えたタコの足を3本ほど箸に巻きつけ、醤油ダレにつけて食べる方法を紹介しています。酢コチュジャンは香りが強くてタコの味を隠してしまう、という店主の言葉も伝えていますが、もちろん好きならそちらでも構いません。 タコを食べ終えたら、ユウガオとタコのうまみが出たスープにカルグクスやスジェビを入れて、もうひと煮立ちさせます。2003年の週刊京郷はその味を「たまらない」と表現しました。みんなで囲む鍋料理なので、人数に合わせてタコの量を決めて注文することが多いようです。
いつ、どこで食べる?
パクソク・ナクチタンは、泰安の北、加露林湾に面した遠北面・梨園面一帯がよく知られています。2003年の週刊京郷は、梨園半島への入り口にあたる遠北面の中心部に、この料理の元祖として知られる食堂があると紹介しました。特定の店より「遠北面・梨園面一帯」で探せば、何軒も見つかります。梨園半島の北端、萬垈浦口まで続くドライブと組み合わせるのもおすすめです。 2004年のソウル新聞は6〜7月にとれる小さなタコで作るものをミルグク・ナクチと呼ぶとしていましたが、いまは季節を問わず出す店が多くなっています。タコの値段は相場で大きく変わるので、注文前に確認しましょう。生ものが苦手な旅行者でも、さっと煮て食べるパクソク・ナクチなら生きたタコの味を気軽に体験できます。