
唐津・長古港のシルチ
唐津・長古港のシルチ:春の二か月だけ味わえる糸のような小魚
忠清南道唐津市石門面の長古港(チャンゴハン)は、春になると糸のように細く透き通った「シルチ」を食べに来る人でにぎわいます。シルチの正体、3〜5月の短い旬、産地でなければ刺身で食べにくい理由、シルチの和え物と味噌汁、干して「ペンオポ」になる過程、長古港シルチ祭りをまとめました。
シルチとはどんな魚?
シルチは名前のとおり、糸のように細く体が透き通った魚です。2014年のソウル新聞によると、シルチはギンポの仲間ベドラチの稚魚で、よく「ペンオ(シラウオ)」とも呼ばれますが、唐津(タンジン)ではシルチと呼びます。つまり成魚ではなく、生まれたばかりの稚魚を食べるわけです。 同じ記事は石門面の長古港をシルチの主産地に挙げています。2018年の京郷新聞は、シルチは長古港の村で食べ始められ、10年ほど前から食通の間で知られるようになり、いまでは「唐津9味」のひとつに数えられると伝えました。ソウル新聞は、シルチはカルシウムやリンが多く健康食とも見られていると付け加えています。透き通ったシルチが集まった姿は白い糸の束のようで、春の西海岸の味として親しまれています。
3月末から5月中旬までの短い旬
シルチを味わえる期間は短いものです。2018年の京郷新聞は、西海で3月末ごろからとれ始め、5月中旬までの約2か月食べられるとし、2014年のソウル新聞は3月中旬から5月中旬までと書いていて、始まりの時期は資料によって少し違います。年ごとの海の状況で変わると考えておけばよいでしょう。 時期によって食べ方も変わります。唐津市の担当者は京郷新聞に、3月に最初にとれるシルチは身が柔らかすぎて刺身にしにくく、4月初めからとれるものが刺身にちょうどよいと説明しました。2015年のソウル新聞によると、5月中旬を過ぎると骨が太くなって刺身では食べられないため干物「ペンオポ」の原料にし、月末には漁そのものが終わります。シルチの刺身が目当てなら、4月から5月初めがいちばんです。
なぜ長古港でしか刺身で食べられない?
シルチの刺身を都会の刺身店で見かけにくいのには理由があります。2014年のソウル新聞も2018年の京郷新聞も、シルチは網にかかると1時間以内に死んでしまうため、産地でなければ刺身で味わうのは難しいと説明しています。だからシルチの刺身は「食べに行く料理」になったのです。 長古港では、村の漁船がその日にとったシルチをすぐ港の食堂へ届けます。2015年のソウル新聞は、20隻あまりの漁船が毎日シルチをとって40軒ほどの刺身店に供給していると伝え、週末には観光客が数千人も訪れるという祭りの委員長の話も載せています。鮮度が命なので、港でその日に揚がったシルチをすぐ食べるのがいちばんおいしい方法です。
シルチの和え物、シルチ汁、そしてペンオポ
長古港でいちばんよく食べられているのが、シルチの和え物(シルチフェムチム)です。2014年のソウル新聞が伝える作り方では、とれたてのシルチにキュウリ、ニンジン、梨、エゴマの葉、セリなどの野菜とごま油、酢コチュジャンを加えて和えます。甘酸っぱいタレの中でシルチのやわらかな食感が引き立ち、ご飯のおかずにも酒の肴にもよく合います。 もうひとつの名物がシルチのスープ。同じ記事は、ホウレンソウやフユアオイを入れて煮たシルチのテンジャンクク(味噌汁)が二日酔いの朝に最高だと紹介しています。 5月中旬を過ぎて骨が太くなったシルチは、干して「ペンオポ」にします。薄く広げて干したもので、タレを塗って焼いたり蒸したりして食べます。旬を逃したら、ペンオポをおみやげにするのも手です。
長古港シルチ祭りと周辺の旅
シルチが最盛期を迎える春には、石門面の長古港一帯でシルチ祭りが開かれます。主催は長古港シルチ祭り委員会で、2018年は4月28〜29日、2015年は5月2〜3日に開かれ、シルチの無料試食やペンオポ作り体験、水産物の競りなどが行われました。日程はシルチの状況によって毎年変わるので、出発前に唐津市や委員会のお知らせを確認しましょう。祭りの時期でなくても、旬なら港の食堂でシルチを味わえます。値段はその日の水揚げ量で変わるので、注文前に聞いてみてください。 近くの倭木(ウェモク)村は、西海岸で「日が昇り日が沈む村」として知られ、2014年のソウル新聞は毎年大みそかと元日に10万人ほどが訪れると伝えています。春の海風に吹かれながらシルチを一皿味わえば、唐津の春を存分に感じられます。