歴史
1 / 2
青陽唐辛子 · 写真: Y-h Kim / CC0 (Wikimedia Commons)

青陽唐辛子 · 写真: Y-h Kim / CC0 (Wikimedia Commons)

韓国忠清南道 · 青陽

青陽唐辛子と青陽クコ:名前の論争から町の二つの特産まで

韓国人にとって辛さの代名詞といえば「青陽(チョンヤン)唐辛子」。ところが、この品種の名前が忠清南道の青陽郡から来たのかどうかをめぐっては長い論争があります。1983年に品種が生まれた経緯、青松・英陽説と青陽説、青陽の実際の唐辛子づくり、そして青陽が誇るもう一つの特産・クコまでまとめました。

6分で読める2

1983年、辛い唐辛子の一品種が誕生

青陽唐辛子は昔からの在来種ではなく、人の手で交配して作られた品種です。ウィキペディアによると、1983年に種苗会社の中央種苗が開発し、国立種子院に開発者として登録されている兪一雄博士は、済州産とタイ産の唐辛子を交配して作ったとインタビューで語っています。 最初の目的も意外です。ウィキペディアが引く農村振興庁の報告によると、この品種は食品会社の依頼でカプサイシン抽出用の唐辛子として開発されましたが、試験栽培した農家の手で青唐辛子として使われるようになり定着しました。辛さは4,000〜12,000スコヴィルとされます。その後「青陽唐辛子」は品種名を超えて「とても辛い唐辛子」を指す言葉のように使われるようになりました。テンジャンチゲに1、2本刻んで入れるあの唐辛子は、この品種から始まったわけです。

青松・英陽から?それとも青陽から?

名前の由来には二つの説明があります。ウィキペディアによると、試験栽培を担った慶尚北道の青松郡と英陽郡の農家の求めで、二つの地名から一字ずつ取って「青陽」と名づけたという説があります。この説は国立種子院の記録、開発者のインタビュー、ソウル大学出版部の研究書と一致し、中央種苗もかつて自社の掲示で青陽郡とは関係がないという趣旨を示していたそうです。 一方、忠清南道の青陽郡は地名から来た名前だと主張し、2009年には郡の予算で委託した研究で原産地は青陽だという結果が出たと発表しました。2015年のソウル新聞の記事で青陽郡の担当者は「種苗業者が栽培面積の大きい青松・英陽を後押ししただけで、元祖はうちの地域だ」と話しています。資料によって説明が食い違うので、旅行者としては両方の話を知っておけば十分です。

青陽の実際の唐辛子づくり

名前の論争とは別に、青陽は実際に唐辛子づくりが盛んな土地です。2015年のソウル新聞によると、青陽では約4,000の農家が毎年3,000トンあまりの唐辛子を生産しています。全国の生産量の2.5%ほどですが、青陽郡の担当者は、毎年開かれる唐辛子祭りでついた値段が全国の唐辛子相場に大きく影響すると胸を張っていました。 地元の農協の加工工場ではこの唐辛子で粉唐辛子を作って地域ブランドとして出しており、青陽邑の唐辛子市場でも売られています。知っておきたいのは、「青陽の粉唐辛子」は青陽で育てた唐辛子で作ったという意味で、必ずしも青陽唐辛子という品種ほど辛いとは限らないことです。辛さはお店に尋ねるのが確実です。キムチ漬けを控えた秋には、粉唐辛子を買いに来る人でにぎわいます。

青陽のもう一つの自慢、クコ

青陽の人々が唐辛子と同じくらい自慢する特産品がクコです。クコはクコの木の赤い実で、韓国では昔からお茶や薬材に使われてきました。2004年のソウル新聞は、青陽に行くと唐辛子よりクコのほうが有名だとし、全国のクコ生産量の40%以上が青陽でとれると伝えています。 2015年の亜洲経済によると、青陽クコは2007年に山林庁の地理的表示第11号に登録され、2015年には国家ブランド大賞のクコ部門で大賞を受けました。干したクコの実のほか、クコのエキスやティーバッグのお茶、クコ酒、韓菓などの加工品としても売られています。同じ2004年の記事は、クコと薬材を入れて醸す青陽の伝統的なクコ酒も紹介していました。軽くて日持ちするので、おみやげにもぴったりです。

青陽での楽しみ方

青陽の二つの特産をまとめて楽しむなら、晩夏から初秋に開かれる「青陽唐辛子・クコ文化祭り」を狙いましょう。2023年は9月1日に開幕し、その年いちばん良い唐辛子とクコを育てた農家を「唐辛子王」「クコ王」に選んで開幕式で表彰しました。日程は毎年変わるので、青陽郡の案内を確認してください。 食堂では唐辛子をたっぷり使ったチゲや炒め物に出会えますが、青陽唐辛子入りの料理は思った以上に辛いことがあります。辛いものに慣れていなければ「控えめに(トル・メプケ)」と頼むか、ご飯をそばに置いてゆっくり食べるのがコツです。 青陽は七甲山(チルガプサン)を抱く山あいの町でもあります。山や渓谷を巡ったあと、粉唐辛子と干しクコを一袋ずつ持ち帰れば、家でもしばらく青陽の味が楽しめます。

#青陽唐辛子#青陽クコ#青陽#韓国唐辛子#忠清南道の郷土料理
青陽唐辛子と青陽クコ:名前の論争から町の二つの特産まで | TastyLog