
葉を開いた蓮の葉ご飯 · 写真: Dr 방원장 / CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)
扶余の蓮の葉ご飯:百済の池・宮南池と蓮の香りのご飯
百済最後の都、忠清南道の扶余(プヨ)は、夏になると宮南池(クンナムジ)の蓮の花に彩られます。農村振興庁は扶余を「蓮の花と蓮根の主産地」と紹介しており、蓮の葉でもち米や木の実を包んで蒸した蓮の葉ご飯(ヨンニッパプ)の定食は、宮南池を訪ねる旅の記事によく登場する一食です。宮南池の話と蓮の葉ご飯の楽しみ方をまとめました。
百済の武王が造った池、宮南池
扶余の蓮の物語は宮南池から始まります。『三国史記』には、百済の武王35年(634年)に王宮の南に池を掘り、20里あまり離れた所から水を引き入れ、周りに柳を植え、池の中に島を造ったという記録が残っています。農村振興庁のウェブマガジンや多くの旅行記事は宮南池を韓国最初の人工池と紹介し、ここの造園技術が日本の庭園に影響を与えたという話も伝えています。 2014年のレディー京郷によると、宮南池の周りにもともと蓮があったわけではなく、薯童(ソドン)説話のヒロイン善花(ソンファ)姫の名に蓮の意味が込められていることから、蓮を大規模に植えたのだそうです。農村振興庁のウェブマガジンは、蓮が見ごろを迎える8月を扶余がいちばん美しい時期に挙げ、日が暮れると照明がともって昼とは違う景色になると紹介しています。
蓮の花と蓮根の里
扶余で蓮は、眺める花であると同時に食べる作物でもあります。農村振興庁のウェブマガジンは扶余を「蓮の花と蓮根の主産地」と紹介しています。蓮は花だけでなく、根の蓮根や広い葉まで余すところなく使える植物で、なかでも香りのよい葉は食べ物を包んで蒸すのにうってつけです。 宮南池一帯では毎年夏に「扶余薯童蓮花祭り」が開かれます。2024年の第22回は7月5日から3日間、薯童公園(宮南池)で開かれ、蓮の間を進むカヌー体験や、蓮の葉アイスもち作りなどの体験ブースが設けられました。薯童は百済の武王の幼名として知られ、新羅の善花姫との恋を歌った「薯童謡」の説話で有名です。日程は毎年少しずつ変わるので、扶余郡の案内を確認してください。
蓮の葉ご飯とはどんな料理?
蓮の葉ご飯は、その名のとおり蓮の葉でご飯を包んで蒸した料理です。ふつうはもち米に栗、ナツメ、銀杏などを混ぜ、広い蓮の葉で四角く包んで蒸し器で蒸し上げます。蒸している間に葉の香りがご飯に移り、葉を開くとほのかな青い香りが立ちのぼります。 農村振興庁のウェブマガジンは、蓮根をたっぷり使ったカルビの煮込みに、銀杏・蓮根・カボチャを包んだ蓮の葉ご飯を添えた扶余の食卓を紹介しています。このように家ごとに入れる具が少しずつ違い、蓮根を入れるとシャキッとした食感が加わって「蓮の里」らしい一品になります。もち米でもちもちと腹持ちがよく、油っ気が少ないので、肉料理やたくさんのおかずと並ぶ定食の主役にぴったりです。
扶余で味わう蓮の葉ご飯の定食
扶余では、蓮の葉ご飯は単品より「蓮の葉ご飯定食」として出てくることが多いです。2014年のレディー京郷は、扶余の蓮の葉ご飯定食にはおかずがたっぷり付いてくると紹介し、2026年7月のスポーツ京郷は、あるテレビ番組が宮南池の近くで10種類のおかずが並ぶ蓮の葉ご飯定食を味わう場面を伝えています。農村振興庁のウェブマガジンも、蓮の葉トッカルビ定食に蓮の葉ご飯と季節のおかずが並ぶ扶余の食堂を紹介しました。 特定の店より「扶余邑 蓮の葉ご飯定食」で探せば選択肢は豊富です。値段や内容は店ごとに違うので、訪れる前に確認しましょう。食べるときは箸で葉を開き、中のご飯だけを取り分けます。硬い葉はふつう食べません。最初に葉を開いたときに立ちのぼる香りをお見逃しなく。
百済の遺跡とともに過ごす一日
扶余は、538年から百済が滅びる660年まで、百済最後の都・泗沘(サビ)が置かれた場所です。2015年には公州・益山の遺跡とともに、扶余の官北里遺跡と扶蘇山城、定林寺址、陵山里古墳群、羅城が「百済歴史遺跡地区」としてユネスコ世界遺産に登録されました。 蓮の葉ご飯の食事は、こうした遺跡めぐりとよく合います。午前に定林寺址五重石塔と扶蘇山城を見て回り、昼は蓮の葉ご飯定食でおなかを満たし、夕暮れどきに宮南池へ行って蓮の花とライトアップを眺めるコースがおすすめです。農村振興庁のウェブマガジンは、緑の濃い扶蘇山城を、暑い8月でもゆっくり歩きやすい場所に挙げています。蓮の花がいちばん華やかなのは夏ですが、蓮の葉ご飯定食は季節を問わず出す店が多いです。