豆知識
1 / 2
採れたての松茸 · 写真: Stegano / Public domain (Wikimedia Commons)

採れたての松茸 · 写真: Stegano / Public domain (Wikimedia Commons)

韓国江原道 · 襄陽

襄陽のソンイ(松茸):秋のひととき、松林がくれる香り

秋になると、江原道襄陽の山林組合の共販場には朝から松茸が集まります。なぜ畑で育てられないのか、一等品はどう選ばれるのか、地理的表示林産物第1号になった経緯、香りを生かす食べ方までまとめました。

6分で読める3

秋になると襄陽に集まるキノコ

ソンイ(松茸)は韓国で最も貴重なキノコとされています。韓国メディアは、医書『東医宝鑑』に「松の精気がしみ込み、味は甘く香りが良く、キノコの中で第一」とあると紹介しています。国内の主産地は、アカマツの多い襄陽と慶尚北道の奉化一帯です。 中でも襄陽は松茸取引の一大拠点でもあります。2001年の京郷新聞は、襄陽が国内最大の集散地で、全国生産量の80%が襄陽で取引されると報じました。今も秋になると、襄陽束草山林組合の共販場で山から採ったばかりの松茸を買い取り、公開競争入札で値を決めます。その年の初競りや一等品の落札価格が毎年ニュースになるほど、襄陽の松茸は江原道の秋を告げる存在です。

畑では育てられないキノコ

松茸が高価な最大の理由は、人の思い通りに育てられないことです。韓国の国立山林科学院によると、松茸は生きた松の根と共生するキノコなので、シイタケのように培地や原木で栽培するのが難しいのです。松の根の周りにできる「シロ(菌環)」と呼ばれる共生構造が発生のカギになります。 山林科学院は、松茸が出る場所に若い松を植えて菌を感染させ、別の森へ移植する「感染苗」方式を研究し、2017年には移植した苗から松茸が出て、世界初の人工栽培成功と報じられました。とはいえ、市場に出回る松茸のほとんどは今も山で人が探して採る天然ものです。その年の雨や気温によって収穫量が大きく変わるのもそのためです。

一等品はどう決まるのか

共販場に持ち込まれた松茸は、大きさや形、傘の開き具合で等級が分けられます。報道によると、一等品は長さ8cm以上で傘が開いていない正常な形のもの。傘の開きが3分の1以内か、長さ6〜8cmなら二等品です。傘が3分の1以上開いたもの、成長が止まったもの、壊れたり虫食いがあったりするものは別に扱われます。傘が閉じて締まったものほど香りが強く長持ちすると考えられているからです。 価格は年によって大きく違います。2017年の初競りでは一等品が1kgあたり約40万ウォンでしたが、2025年10月には1kgあたり161万1200ウォン、2026年9月30日には162万3700ウォンと、相次いで過去最高値を更新したと報じられています。

地理的表示林産物第1号になった理由

襄陽の松茸は2006年、山林庁の地理的表示林産物第1号に登録されました。背景には長年の悩みがありました。2005年の京郷新聞によると、襄陽産の名声が高いため、他地域産や中国産を襄陽産と偽って売る例が多く、混ざって売られることで品質をめぐる問題が起き、正当な値が付かないことも多かったのです。 そこで襄陽郡は登録推進協議会をつくり、住民説明会を経て生産者団体の襄陽松茸営農組合法人を設立し、登録を申請しました。地理的表示は産地を明らかにして消費者の混乱を減らし、品質を保証する制度です。今も初競りは営農組合法人と襄陽束草山林組合が共同で開き、等級を付けた松茸に産地を示して出荷しています。

香りを生かす食べ方と楽しめる場所

松茸は香りを味わうキノコなので、料理はシンプルなほど良いと言われます。韓国メディアが紹介する下処理は、水に浸けず、流水の下で小さなナイフで土だけをそっと削り取ること。それから繊維に沿って裂き、生のままゆっくり味わうか、フライパンでさっと火を通してごま油と塩につけて食べる方法がよく勧められます。牛肉と串に刺して焼くソンイサンジョク、松茸焼き、松茸ご飯も代表的な料理です。 松茸の季節はおおむね9月中旬から10月まで。襄陽郡は毎年10月ごろに祭りを開き、2026年は南大川のサケ祭りと合わせ、10月16〜18日に「松茸・サケ統合祭り」として開かれました。シーズンが過ぎると市内の食堂でも松茸料理は貴重になるので、秋に合わせて訪れるのがおすすめです。

#襄陽ソンイ#松茸#襄陽#江原道の特産#秋の味覚
襄陽のソンイ(松茸):秋のひととき、松林がくれる香り | TastyLog