
鉄原オデ米
鉄原オデ米:全国で一番早く新米がとれる平野
休戦ラインのすぐ南にある鉄原平野は、毎年全国で一番早く稲刈りをします。冷害に強く育成されたオデ稲、昼夜の大きな寒暖差、ツルと分け合う田んぼまで、鉄原の米が「ご飯がおいしい米」の代名詞になった話をまとめました。
休戦ラインの下に広がる鉄原平野
江原道は山の多い道として知られていますが、北西の端の鉄原には珍しく広い平野が広がっています。漢灘江が流れる鉄原平野です。非武装地帯(DMZ)に接し、一部は民間人出入統制線の内側にあり、朝鮮戦争では激戦地でした。今では毎年秋になると、果てしなく続く黄金色の田んぼがこの土地を代表する風景です。 クッキーニュースによると、鉄原の稲の作付面積は9,412ha、年平均約7万2千トンの米がとれます。鉄原の米はよく「鉄原オデ米」の名で売られていますが、「オデ」はこの地に根付いた稲の品種「オデ稲(五台稲)」に由来します。毎日新聞は、鉄原オデ米が「ご飯がおいしい米」の代名詞になったと表現しています。
冷害に負けない稲、オデ稲
鉄原は冬が長く寒いことで知られる土地で、稲作には不利な条件です。毎日新聞によると、農村振興庁は品質が良く、冷害に強く倒れにくい稲を目標に1974年から品種研究を続け、その成果であるオデ稲が1982年に鉄原で地域適応試験を経て、鉄原の代表品種として定着しました。 オデ稲は生育期間が比較的短く、夏の短い北の平野によく合いました。今の鉄原の田んぼにはオデ稲のほかに「鉄騎50」のような早生種など複数の品種が植えられていますが、鉄原の米の呼び名には今も「オデ」が付いています。寒さに耐えるために生まれた品種が、かえってその土地の名札になったわけです。
昼に育ち、夜に蓄える寒暖差
鉄原の米がおいしい理由として最もよく挙げられるのは気候です。毎日新聞とクッキーニュースは、8月中旬から9月中旬にかけて鉄原の昼夜の気温差が10度前後に達すると伝えています。昼は日差しを受けて米粒が大きくなり、涼しい夜には昼に作った養分が米粒に蓄えられるという説明です。肥沃な黄土と溶岩台地の火山性土壌、澄んだ水と空気も挙げられています。 寒さは別の面でも役立ちます。冬が長く寒いため病害虫が生き残りにくく、他の地域より農薬の使用が少ないそうです。こうして育った鉄原の米は粒が大きく粘りがあり、冷めても固くなりにくいので冷やご飯でもおいしいと評価されています。
全国で一番早く稲刈りをする場所
鉄原平野は毎年、全国で最も早く稲刈りを始める場所として知られています。クッキーニュースによると、2024年は早生種の鉄騎50を皮切りに8月20日に最初の稲刈りが行われました。4月25日ごろに田植えをして、約4か月で収穫する計算です。その後9月中旬には平野全体が黄金色に染まり、10月中旬まで収穫が続きます。 一番早く収穫するため、鉄原の新米の買い取り価格と販売価格が最初に決まり、それがその年の全国の米価の流れにも影響すると毎日新聞は伝えています。8月下旬になると全国のコンバインが鉄原に集まり、作業を終えると中部地方を経て南へ下りながら収穫を手伝うという話も興味深いところです。秋の入口に出る鉄原の新米は、その年最初の新米として注目されます。
ツルと分け合う田んぼ、鉄原の米の楽しみ方
鉄原の田んぼには冬のお客さんがいます。クッキーニュースによると、鉄原の農家は収穫後の稲わらや落ち穂を飼料として売らず、そのまま田んぼに残して、冬を越しに来るツルなどの渡り鳥のえさにしています。冬の鉄原旅行で田んぼにツルの群れを見るのは、この平野ならではの風景です。 鉄原の米を味わう一番簡単な方法は、市内の韓国料理店で炊きたての釜飯やご飯の定食を食べてみることです。おかずなしでご飯だけを何さじか食べると、粘りと甘みがよくわかります。秋の新米の時期に行けば、地元の農協の売り場などでその年の新米を買って帰れます。2021年からはオーストラリアやアメリカへの輸出も始まったそうで、海外で「鉄原」の名に出会う日も遠くないかもしれません。