
サムパプ用の包み野菜 · 写真: Junho Jung (Flickr) / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
慶州・大陵苑のサムパプ通り:新羅の古墳の隣で葉野菜にご飯を包んで食べる膳
新羅の古墳が集まる慶州・大陵苑の周辺には、サムパプ(包みご飯)の店が並ぶ通りがあります。サンチュでご飯を包んで食べてきた韓国の包み文化の古い記録、大陵苑のサムパプ定食の内容、きれいに包むコツ、周辺の散策ルートまでまとめました。
古墳の隣のサムパプ通り
慶州・皇南洞の大陵苑は、新羅の王や王妃、貴族の墓23基が集まる古墳群です。芝に覆われた大きな墳丘がラクダの背中のように連なり、そのうち天馬塚は内部が公開されていて、金冠と天馬図が出土した墓の中を見学できます。瞻星台や鶏林へも歩いて行けるため、慶州旅行の出発点とされる場所です。 この大陵苑の周りにはサムパプを出す食堂が集まっていて、「慶州サムパプ通り」と呼ばれています。観光案内や旅行記事でも、大陵苑の東側の路地一帯にサムパプの店が集まっていると紹介されています。古墳を見て回った後、昼食にサムパプの膳を囲むのが、慶州を訪れる旅行者の定番コースのようになっています。
サンチュでご飯を包んだ古い記録
葉野菜にご飯とおかずを包んで食べる「サム」は、韓国の人々が昔から親しんできた食べ方です。元の詩人・楊允孚は高麗のサンチュの香りをたたえる詩を残したと伝えられ、朝鮮後期の文献『海東繹史』には、サンチュがとても貴重で「千金菜」というあだ名がついたという話が載っています。 18世紀の実学者・李瀷は『星湖僿説』で、大きな葉で包んで食べ、なかでもサンチュ包みが一番だと記しました。19世紀の料理書『是議全書』は、サンチュのほかにもコムチ、エゴマの葉、カボチャの葉、白菜の葉など、葉の大きいものはすべてサムになると書いています。ただし、サムを「サムパプ」という名の食堂メニューとして出すスタイルは、2000年代のウェルビーイングブームとともに広まったといわれます。
サムパプの膳はこう出てくる
大陵苑周辺のサムパプ店の内容はだいたい似ています。観光案内や旅行記事によると、いろいろな包み野菜にサムジャン(味噌ベースのつけだれ)などのたれ、魚と肉、テンジャンチゲ(味噌チゲ)、そしてたっぷりのおかずが一緒に出てくるのが基本です。店ごとに手作りの味噌やサムジャンの味が違うので、食べ比べる楽しみもあります。 包み野菜には、サンチュや白菜、カボチャの葉など、形も味も違う葉が一緒に出てくることもあります。おかずの多い定食形式なので、一人なら1人前から注文できるか先に聞いておくと安心です。野菜が足りなくなったら、追加できるか聞いてみましょう。
包み方のコツ
包み方は、手のひらに葉を1〜2枚重ねてのせ、ご飯をひとさじ置き、肉や魚、サムジャンを少し加えて包みます。葉を2枚使うなら、柔らかいサンチュの上に香りの強いエゴマの葉を重ねるなど、味を組み合わせてみましょう。ニンニクや青唐辛子を添えると辛みが加わります。 包み方の作法にも古い話があります。朝鮮時代の礼儀書『士小節』は、ご飯をすくって形を整えてから上から包むようにと説き、大きく包みすぎて頬がふくらむのは失礼だとしています。今でも一口で入る大きさに包むのが、きれいに食べるコツです。サムジャンは塩気が強めなので、少しずつのせるのがおすすめです。
大陵苑と合わせて歩くルート
サムパプ通りは大陵苑のすぐ近くにあるので、古墳の散策と組み合わせやすい立地です。午前中に大陵苑の林の道を天馬塚まで巡り、昼にサムパプを食べたら、瞻星台や鶏林のほうへ歩くか、韓屋の路地にカフェや店が集まる皇理団通りへ向かうルートが無難です。日が暮れたら東宮と月池の夜景を見に行く旅行者も多くいます。 週末や観光シーズンの昼どきは行列ができる店が多いので、少し早めか遅めに行くとゆっくりできます。サムパプは野菜が中心なので、脂っこい料理が重く感じる日にもぴったりです。慶州は新羅千年の都の遺跡が市内のあちこちに点在していてよく歩くので、ボリュームのあるサムパプの膳がいい燃料になります。