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南楊州モッコルペ · 写真: karendotcom127 / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)

南楊州モッコルペ · 写真: karendotcom127 / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)

韓国京畿道 · 南楊州

南楊州モッコルペ:ソウルの「モッコル」で名を得て、京畿の畑で受け継がれた梨

「モッコルペ(墨谷梨)」という名前は、もともとソウル中浪区墨洞一帯の古い地名から来ています。都市開発でソウルの梨畑が減った後、その名を受け継いだのが南楊州です。献上梨の言い伝え、名前をめぐる争い、山に囲まれた別内の畑の梨、良い梨の選び方までまとめました。

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「モッコル」はソウルの古い地名

モッコルペは今では南楊州を代表する果物ですが、名前のふるさとはソウルです。ソウル新聞の報道によると、今の中浪区一帯は朝鮮王朝末期に「墨洞里」と呼ばれ、ここで採れた梨を皇室に献上したという話が、区に梨畑が多い理由として語られています。その後、墨洞里に墨や筆をつくる所が増えて「モッコル(墨の村)」という地名が使われ、「モッコルペ」という名前が大いに流行したそうです。 地下鉄7号線に「モッコル駅」があるのも、この地名が残っている証です。ただし墨洞という地名の由来には「朝鮮時代に墨をつくっていた所」という説や「地名に墨を入れると学問が栄える」という説などがあり、一つに断定するのは難しいところです。

端宗の臣下が植えたという梨の木の言い伝え

モッコルペには朝鮮王朝初期にさかのぼる言い伝えもあります。2012年のソウル新聞の記事によると、叔父の世祖に王位を奪われて流刑地へ向かった幼い端宗(1441〜1457)に付き従った一人の臣下が、漢陽に戻って官職を辞し、梨の木を育てて悲しみを慰めたといいます。その梨の木が四方に広まり、墨谷の「ムッコルペ」の名声が生まれたという話です。記事に臣下の名前は出てこず、あくまで伝承として受け取るのがよいでしょう。 献上品だったという話は南楊州側の資料にも登場します。1997年のソウル新聞は、南楊州のモッコルペを「朝鮮時代の宮中献上品」と紹介しました。王様に差し上げた梨というイメージが、名前の価値を高めてきたわけです。

ソウルの梨畑が減り、名前は京畿へ

ソウルが大きくなるにつれ、墨洞一帯の梨畑は少しずつ減っていきました。2012年の記事は、開発で栽培面積が減ったソウルに代わって京畿道側がモッコルペの名声を受け継ぎ、今では九里と南楊州が代表的な産地になったと伝えています。 名前が有名になると問題も起きました。2015年のソウル新聞によると、京畿・江原など各地で「モッコルペ」という名前が使われたため、かえって商品価値が下がり、この名前をめぐって自治体の間で争いもありました。裁判所がこの名称は商標権として守る価値がないと判断すると、ソウル中浪区は「モッコルペ」に代わる別の名前のブランドをつくったそうです。そのため今の「モッコルペ」は、特定の自治体の商標というより、ソウル北東部から南楊州・九里へと続く梨栽培の伝統を指す言葉に近いのです。

山に囲まれた別内の畑

南楊州モッコルペの主産地としては別内一帯が挙げられます。1997年のソウル新聞は、別内面光田里の南楊州〜議政府間の国道43号線沿いを主産地として紹介し、別内面・榛接邑・真乾面を中心に栽培面積が463haに達すると書きました。当時は約500戸の農家が年間8,892tを収穫していたというので、かなりの規模でした。今は別内にニュータウンができるなど、風景が大きく変わったことも知っておくとよいでしょう。 同じ記事は、おいしさの秘密として地形を挙げています。四方を山に囲まれて風が少なく寒暖差が大きいため、果肉が締まり、果汁と甘みに優れるという説明です。春に花が咲くと人の手で花粉を付け、実に袋をかけて秋まで育てるそうです。

良い梨の選び方と食べ方

1997年の記事が紹介した「一等品」の基準は、今も参考になります。皮が鮮やかな黄褐色で、形が丸く、表面がなめらかでつやがあるもの。かじったときにざらつきが少なく、すっきりしていれば良い梨だそうです。 京畿道の広報誌は、梨の旬を9月から11月と紹介しています。秋夕の贈り物や祭祀膳の果物として人気が高いのもそのためです。皮をむいてそのまま食べるのが基本ですが、梨ジュースや梨茶にしたり、梨を切ってニラと唐辛子粉のヤンニョムで和える「ペソバギ」のようにおかずにしたりもします。南楊州市は収穫期にモッコルペの直売市を開いたこともあります(2022年11月にはソウルの蚕室駅で開催)。秋に南楊州方面を通るなら、産地の梨を味わう機会を探してみてください。行事の日程は年によって変わるので、市の告知を確認すると安心です。

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