歴史
昌寧のタマネギ · 写真: Robert at Picasa / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)

昌寧のタマネギ · 写真: Robert at Picasa / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)

韓国慶尚南道 · 昌寧

昌寧のタマネギ:韓国で初めてタマネギを育てた町の話

今ではどの食卓にも並ぶタマネギですが、韓国で初めて畑に根付いたのは慶尚南道の昌寧だと言われています。ある一族の古い家に残る記録、種を採って全国に広めた話、今の昌寧タマネギの収穫期、あわせて味わいたい市場の料理までまとめました。

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タマネギの「発祥地」と呼ばれる町

慶尚南道の昌寧郡は、郡庁や地元メディアが自らを「タマネギの始培地」、つまり韓国で初めてタマネギを栽培した場所だと紹介しています。その根拠としてよく挙がるのが、昌寧郡大池面石里にある昌寧成氏の古宅です。 文化財の解説によると、成圭鎬という人物が1850年代に石里へ移り住んだ後に昌寧成氏の集落ができ、その息子の成燦永が1909年に全国で初めてタマネギの栽培に成功したといいます。この家は「昌寧地域に初めてタマネギを広めた成氏一門の古宅」とも紹介されています。ただ「全国初」という表現は主にこの解説と地元資料によるものなので、韓国のタマネギ栽培の出発点として「知られる場所」と受け止めるのがよいでしょう。

種を採って全国へ

タマネギを育てることと、種を自分で採ることは別の話です。同じ解説は、1950年代後半に成燦永の子孫である成在慶がタマネギの採種、つまり種の生産に成功し、全国に広めたと伝えています。韓国語の解説と系図では孫、英語の解説ではひ孫と書かれていて、資料によって少し違います。 この古宅は1929年に建てられた韓屋で、2004年に慶尚南道の文化財資料に指定されました。もとは数十棟に及ぶ大邸宅でしたが、朝鮮戦争でほとんどが焼け、2000年代に入って何棟かが建て直されたそうです。タマネギ畑の中に残るこの家は、一つの家の農業の試みが一国の食卓を変えた跡といえます。

今の昌寧タマネギ

昌寧タマネギは国立農産物品質管理院の地理的表示農産物に認められており、報道では果汁と糖分が多く、身が締まっていることが特徴とされます。栽培規模は年によって、また集計の基準によって大きく違います。2021年の報道は栽培面積約1,000ha・生産量約8万トン、2024年の報道はその年の栽培面積を563haと伝えました。 昌寧では遅く収穫する中晩生種が85%ほどを占めるそうです。中晩生種は普通10月末ごろに苗を植え替えて冬を越し、翌年6月初めから本格的に収穫します。2024年の報道は、異常気象による被害が心配されるなかでも、昌寧はほかの市・郡より被害が少なく作柄もよいと見込んでいました。6月初めに昌寧の畑を通ると、赤い網袋に詰めたタマネギの山が見られます。

タマネギをもっとおいしく食べるには

韓国の食卓でタマネギは主役というより頼れる脇役です。焼肉店では生のタマネギを薄く切って醤油ベースのたれに浸して出し、クッパ店ではタマネギの醤油漬けが基本のおかずとして出ることがよくあります。昌寧の市場にあるクッパ店の紹介にも、基本のおかずとしてタマネギの漬物が登場します。 収穫したばかりの新タマネギは水分が多く辛みが少ないので、生で食べるのに向いています。辛みが気になるなら、切ってから冷水にしばらくさらすのがよくある方法です。逆にじっくり炒めると甘みが濃くなり、カレーや炒め物に深い味を加えてくれます。 6月ごろに昌寧を通るなら、農協の販売所や市場で網袋単位で売られる新タマネギが見られます。重いですが、持ち帰ればしばらく料理が楽しくなります。

昌寧の市場であわせて味わいたいもの

昌寧邑の在来市場では、毎月3と8のつく日に五日市が立ちます。この市場の周辺の味として旅行情報サイトが紹介しているのがスグレクッパです。 スグレは牛の皮の内側からはがした歯ごたえのある部位で、手に入りにくい特殊部位とされます。辛いスープにスグレとソンジ(牛の血を固めたもの)、豆もやし、長ネギを入れて煮込みます。コリコリした食感は好き嫌いが分かれるので、初めてならソンジクッパと一緒に頼んで分け合うのも手です。 市場を見たら、車ですぐの牛浦沼(ウポヌプ)にも寄ってみてください。韓国最大級の内陸湿地として知られる場所で、タマネギ畑と湿地と市場のクッパを半日でつなげば、昌寧らしい一日になります。

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