歴史
1 / 2
道後の旅館で出されたじゃこ天 · 写真: Koppepan / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)

道後の旅館で出されたじゃこ天 · 写真: Koppepan / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)

日本松山

じゃこ天:骨ごとすり潰して揚げる愛媛の魚のてんぷらと、仙台から来た職人の話

小魚を骨や皮ごとすり潰して平たく揚げたじゃこ天は、愛媛南部の海辺の特産品です。名前の意味、宇和島藩とのつながり、ジャリッとした食感の秘密、地元流の食べ方を紹介します。

5分で読める8

じゃこ天とは

じゃこ天は、愛媛県南予地方の海岸部で作られる特産品であり郷土料理です。近海で獲れた小魚をすり身にして油で揚げた魚肉練り製品で、分類上は揚げかまぼこにあたります。地元では「じゃこてんぷら」「皮てんぷら」とも呼ばれます。 長さ7〜8cm、幅5cmほどの平たい四角形に整えて揚げるのが一般的で、表面はきつね色、中は灰色がかっています。白くなめらかなかまぼことは違い、素朴で魚の味が濃いのが特徴。初めて見ると練り物というより魚のパティに近い印象かもしれません。

名前の由来:雑魚からきた「じゃこ」

「じゃこ」の由来には二つの説があります。原料の雑多な小魚、つまり雑魚(ざこ)からきたという説と、主原料のホタルジャコ(南予ではハランボと呼ぶ)からきたという説です。ただしホタルジャコの「ジャコ」も雑魚が語源とされるので、根っこは同じといえます。 もう一つ紛らわしいのが「天ぷら」という言葉。宇和島などでは魚のすり身を揚げたものを天ぷらと呼ぶため、じゃこ天は衣を付けて揚げる天ぷらではありません。地元の老舗によれば、「じゃこ天」という呼び名が広まったのは比較的最近のことだそうです。

400年前、仙台から来た蒲鉾職人

愛媛県史に紹介されている一説によると、じゃこ天の始まりは江戸時代初期の1615年(元和元年)頃にさかのぼります。仙台藩主・伊達政宗の長男、伊達秀宗が宇和島藩主として入る際に仙台から蒲鉾職人を連れてきて、蒲鉾に使えない余った魚を利用して作られるようになったのがじゃこ天だというのです。 良い魚で白く上品な蒲鉾を作り、それに向かない小魚は骨ごとすり潰して揚げ、庶民のおかずにしたわけです。こうして宇和島・八幡浜を中心とする南予の海辺に根付いたじゃこ天は、2005年頃から宇和島地域でブランド化による地域おこしの取り組みが続いています。

ジャリッとした食感の秘密

じゃこ天に最も適した原料とされるのがホタルジャコです。頭と内臓だけを取り、骨や皮はそのままにしてすり潰すため、噛むと細かく砕けた骨がジャリジャリと感じられる独特の食感になります。この食感と濃いうま味が、一般的なかまぼことの一番の違いです。 ホタルジャコのほかにヒメジ、アジ、カナガシラ、タチウオなども使われ、氷やでんぷんを練り合わせる店もあります。店ごとに原料や製法が違い味や食感が少しずつ異なるため、地元にはひいきの店を決めてその店のじゃこ天だけを買う人も多くいます。形は四角が多いものの、ハート形にする店もあります。

地元流の食べ方とどこで買うか

揚げたてをそのまま食べるのが基本で、軽くあぶって生姜醤油で食べることもあります。酒の肴としても人気で、松山の居酒屋や道後温泉のビアホールでは地ビールと一緒に出されることがよくあります。ほかにもおでんの具、うどんのトッピング、八幡浜ちゃんぽんの具に使われ、肉の代わりにじゃこ天を入れた「天ぷらカレー」は産地の家庭料理として定着しています。パン粉を付けて揚げた「じゃこ天カツ」もあります。 本場は南予の宇和島と八幡浜ですが、松山でも道後温泉の商店街や中心部の商店街、駅や空港のみやげ物店で手軽に買えます。店頭で揚げたてを1枚から買える店もあり、食べ歩きにぴったり。真空パックの商品はおみやげとしても定番です。

#じゃこ天#練り物#宇和島#八幡浜#愛媛名物
じゃこ天:骨ごとすり潰して揚げる愛媛の魚のてんぷらと、仙台から来た職人の話 | TastyLog