
ほうれん草と海苔をのせた家系ラーメン · 写真: Hykw-a4 (Japanese Wikipedia) / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
横浜家系ラーメン:麺の硬さ・味の濃さ・油の量を選ぶ豚骨醤油の一杯
濃厚な豚骨醤油スープに太めの麺、ほうれん草と大きな海苔が3枚。1974年に横浜で生まれ、今や全国に広がった家系ラーメンの由来と注文の仕方、ライスと一緒に食べるコツをまとめました。
1974年、横浜・新杉田で生まれた一杯
家系ラーメンの源流は、1974年9月に横浜市磯子区新杉田で開業した一軒のラーメン店とされています。九州の豚骨スープに東京の醤油味を合わせたのが特徴で、豚骨と鶏ガラのスープに濃い醤油ダレを合わせ、鶏油(チーユ)を浮かべた、いわゆる「豚骨醤油」のラーメンでした。 このラーメンは工場で働く人やトラック運転手の間で人気を集め、広まっていったといいます。しっかりお腹を満たしたい客が多かったこともあり、今も多くの家系の店ではラーメンと一緒にライスを出しています。横浜市の公式観光サイトでも、家系ラーメンはナポリタンやサンマーメンと並ぶ「横浜発祥グルメ」として紹介されています。
なぜ「家系」と呼ぶのか
このラーメンを学んで独立した店の多くが、屋号の末尾に「〇〇家」と付けました。そこから「〇〇家の系列」という意味で「家系」というあだ名が生まれました。 ファンの間では系譜を語る文化もあります。源流の店が正式に認めた店は「直系」と呼ばれ、最初の直系店の認定は1999年でした。一方、2010年代半ばからは大手外食企業が運営するチェーンが急増しました。源流と直接の関係がなく、セントラルキッチンで作ったスープを使う店が多いため「資本系」と区別して呼ばれます。開店・閉店が多く正確な数はつかみにくいものの、今では全国で2,000店近く、神奈川県だけでも数百店にのぼるという推計もあります。
見た目:太麺、ほうれん草、海苔3枚
家系ラーメンはひと目でわかります。スープは茶色がかった濃厚な豚骨醤油で、表面には鶏油が光ります。麺は中太のストレート麺で、一般的な中華麺より硬めでコシが強めです。 具は刻みねぎ、ゆでたほうれん草などの青菜、チャーシュー、そして丼の縁に立てかけた大きな四角い海苔3枚が基本です。とくにほうれん草と海苔は家系の象徴で、「ほうれん草がのったラーメン」と聞くと家系を思い浮かべる人も多いでしょう。 スープが濃く油も多いので、初めての人にはしょっぱく感じることもあります。だからこそ、次に紹介する「好みの指定」が大切です。
注文の仕方:麺の硬さ・味の濃さ・油の量
家系の多くの店では、客が三つを選べます。麺の硬さは「硬め・普通・柔らかめ」、味の濃さは「濃いめ・普通・薄め」、油の量は「多め・普通・少なめ」です。 注文するときは「硬め、濃いめ、多め」のように順に伝えるか、全部普通なら「全部普通」で通じます。初めてなら全部普通で食べてみて、しょっぱく感じたら次は味を薄めに、油を少なめにと調整してみましょう。 三つとも強めにする「硬め・濃いめ・多め」は常連の間で有名な組み合わせですが、かなり塩辛く脂っこくなるので、初来店にはおすすめしません。
海苔でライスを巻いて食べる、横浜で味わうなら
家系の代表的な食べ方が、ライスと一緒に食べることです。海苔をスープに浸してライスを巻き、ひと口で頬張ると、濃いスープがご飯にしみてラーメンとはまた違う味わいになります。この食べ方は初期の常連客の間で始まり、ほかの店にも広がったと伝えられています。店によってはおろしにんにくや豆板醤などの調味料が卓上にあり、味を変えながら楽しめます。 横浜では、横浜駅西側の西区や神奈川区一帯が家系の店の多いエリアとして知られています。今では全国で食べられますが、発祥の地・横浜で一杯味わえば、きっと「横浜の味」リストに加えたくなるはずです。