歴史
ししとうとレタスを添えた甲府鳥もつ煮 · 写真: Gizmo355 / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)

ししとうとレタスを添えた甲府鳥もつ煮 · 写真: Gizmo355 / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)

日本河口湖

甲府鳥もつ煮:捨てられていた鶏のもつがB-1グランプリの頂点に立つまで

甲府の蕎麦屋で生まれた鳥もつ煮は、鶏のレバー・砂肝・ハツを甘辛い醤油ダレで照りよく煮からめた料理です。誕生の経緯や使う部位、全国区にした市職員有志の活躍、甲府で味わうコツをまとめました。

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「もったいない」から生まれた料理

鳥もつ煮は山梨県の県庁所在地、甲府で生まれた料理です。山梨県の観光サイトによると、昭和25年(1950年)ごろに甲府市内の蕎麦屋で生まれ、その後甲府近郊へ広まりました。地元のPR資料では、鶏のもつが捨てられて「もったいない」という声から考案されたと紹介されています。 そのため鳥もつ煮は、もともと蕎麦屋のメニューでした。山梨県は、甲府の蕎麦屋やほうとう屋の定番メニューになったと説明しています。蕎麦を待つ間に一杯やりながらつまむ肴として、またご飯のおかずとして親しまれ、今では「甲府鳥もつ煮」の名で山梨を代表する郷土食になりました。

どんな部位を使うのか

山梨県が紹介する基本の材料は、鶏のレバー、砂肝、ハツ、そしてキンカンとヒモです。キンカンは殻ができる前の、雌鶏のお腹の中にある黄身のような卵のことで、写真の丸く黄色い粒がそれです。ヒモはその卵が通る管の部分で、3cmほどに切って使います。 下ごしらえも丁寧です。レバーは赤いハート型の部分を使い、砂肝は白い筋を取り、ハツは縦半分に切って血のかたまりを除きます。そのあと薄めの食塩水でよく洗って臭みを取り、水気を切ります。やわらかいレバー、コリコリの砂肝、とろりと濃厚なキンカンと、一皿でいくつもの食感を楽しめるのが魅力です。

強火で一気に、照りよく煮からめる

名前に「煮」とついていますが、鳥もつ煮は汁がたっぷり残る煮物とは違います。山梨県が紹介する作り方では、まずフライパンにしょうゆと砂糖を入れて強火で煮立てます。たれが濃すぎるときは酒か水でのばします。 たれから泡が出てきたらもつを入れ、軽く混ぜてふたをします。焦げ付かないよう時々かき混ぜ、フライパンのふちにたれがこびりつくくらいになれば完成です。短時間でたれを煮詰めて表面にからめるため、仕上がりは写真のように赤黒い照りが出ます。甘辛い味が濃いので、レタスや火を通したししとうを添えるのが定番です。

市職員有志の「とりもつ隊」

長く甲府の人だけが知っていたこの料理が全国に知られたのには、ユニークな背景があります。山梨県の資料によると、2008年6月、甲府市役所の若手職員有志が「みなさまの縁をとりもつ隊」を結成しました。合言葉は「鳥もつ煮で甲府を元気に!」。「とりもつ」には人と人の縁を取り持つという意味もあり、鶏のもつと掛けた名前です。 隊は2010年に神奈川県厚木市で開かれた第5回「B-1グランプリ」で最高賞のゴールドグランプリを獲得し、2011年の関東大会(行田)、2013年の関東・甲信越大会(勝浦)でもゴールドグランプリに輝きました。これを機に、甲府鳥もつ煮は旅行者がわざわざ食べに訪れる料理になりました。

甲府で味わうコツ

鳥もつ煮を味わうなら、まずは甲府駅周辺です。農林水産省も甲府駅周辺の飲食店で提供される郷土料理として紹介しています。蕎麦屋生まれの料理なので、今も蕎麦屋やほうとう屋の一品料理として出すところが多く、居酒屋のつまみとしてもおなじみです。河口湖など富士五湖方面へ甲府経由で向かうなら、駅の近くで一皿立ち寄るのもおすすめです。 注文のコツをいくつか。蕎麦と一緒に頼むと、甘辛い鳥もつ煮とさっぱりした蕎麦がお互いを引き立てます。味が濃いのでご飯やビール、地元のワインとも好相性です。もつ特有の風味が心配なら、コリコリの砂肝やまろやかなキンカンから試してみてください。しょうゆと砂糖の加減や煮詰め具合は店ごとに違うので、食べ比べも楽しめます。

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