豆知識
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梅肉をのせた鱧の湯引き · 写真: Zheng Zhou / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

梅肉をのせた鱧の湯引き · 写真: Zheng Zhou / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

日本京都

京都の夏の魚・鱧:祇園祭と「骨切り」の妙

海から遠い京都で、夏に欠かせない魚が鱧です。小骨だらけの魚を食べられるようにした「骨切り」の包丁技、祇園祭との縁、梅肉で味わう湯引きまで、京都の夏の味の要点をまとめました。

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鱧とはどんな魚か

鱧(はも)はウナギ目ハモ科の海水魚で、体長1mほどのものが多く、大きいものは2mを超えます。鋭い歯をもつ肉食魚で、西太平洋やインド洋の暖かい海にすんでいます。 農林水産省の郷土料理の紹介では、ハモを「京料理に欠かせない魚」としています。京都市内の遺跡からハモの骨が出土したという報告もあり、古くから食べられてきたと考えられています。 知っておきたいことがひとつ。ハモの血には毒性のある成分が含まれますが、加熱すると失われるため、火を通して食べるのが基本です。京都の代表的なハモ料理に、湯引き・焼き物・お吸い物など火を通すものが多いのはこのためです。

なぜ海から遠い京都で?

京都は海から遠く離れた盆地の都市です。冷蔵技術がなかった時代、新鮮な魚を京都まで運ぶのは簡単ではありませんでした。農林水産省の資料は、京都でハモ料理が発達した理由として、生命力の強いハモなら遠方からでも生きたまま京都まで運べたからだといわれている、と紹介しています。 京都府北部の丹後の海でもハモは揚がりますが、年に数トンほど。京都で食べられているハモの多くは、瀬戸内や玄界灘などでとれたものだそうです。 つまり京都は、ハモを「とる」町というより「食べる」町として名高い都市です。遠くの海から生きたまま届く魚を大切に扱い、下ごしらえの技と料理法を磨いてきた結果が、今の京都のハモ料理です。

一寸に二十六筋:骨切りという技

ハモは体内に小骨がとても多く、そのままでは食べにくい魚です。これを解決したのが「骨切り」という包丁技です。開いたハモの皮を切らずに残したまま、身の側からごく細かく包丁を入れ、小骨を細かく断ち切ります。 目安としてよく言われるのが「一寸(約3cm)に26筋」。農林水産省の資料にも「京都の料理人は骨切りを覚えてから一人前」という言葉が紹介されるほど難しい技です。包丁が入るたびにシャリシャリと鳴る音も、夏の京都の風物詩です。 小骨を断ち切った身は、火を通すと花のように白く開きます。これが京都のハモ料理を象徴する姿になりました。

祇園祭と鱧:梅雨の水を飲んでおいしくなる

京都で鱧がいちばん注目されるのは7月です。八坂神社の祭礼・祇園祭は7月1日から31日まで一か月にわたって続き、鱧はちょうどこの頃に旬を迎えるため、祇園祭を代表する食べ物とされています。この時期に食べると精がつくとされ、ウナギと同じように夏に食べる風習もあります。 京都には、鱧は「梅雨の水を飲んでおいしくなる」という言葉が伝わっています。梅雨が明けて祇園祭の頃になると身に脂がのる、という意味で、鱧と祭りがいつもセットで語られる理由がうかがえます。 もっとも、これらは言い伝えに近い話で、鱧を食べることが祭りの公式行事というわけではありません。それでも7月の京都の店の品書きに鱧料理がずらりと並ぶ様子は、夏の京都を象徴する風景です。

どう食べる?湯引きに梅肉、そして注文のコツ

いちばん代表的な食べ方は「湯引き」、または「鱧の落とし」と呼ばれる料理です。骨切りしたハモを一口大に切って熱湯にさっとくぐらせ、冷水で締めると、身が白い花のように開きます。これを甘酸っぱい梅肉につけて食べるのが、京都の夏の定番です。 ほかに焼き物、お吸い物、天ぷら、しゃぶしゃぶなどでも出されます。夏の京都の会席料理にはハモがよく登場し、市場かいわいの魚屋では骨切り済みのハモや湯引きを売っていることもあります。 注文のコツ:ハモは手間がかかるぶん値が張りがちです。初めてなら湯引き一皿から。農林水産省の資料では初夏から秋にかけてが旬とされ、祇園祭のある7月は特にメニューで見つけやすい時期です。

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