
神戸の味噌だれ餃子
神戸の味噌だれ餃子:しょうゆではなく味噌で食べる港町の餃子
神戸の餃子店のテーブルには、しょうゆや酢の横に味噌だれが置かれています。満州から引き揚げた人々が持ち帰った味という由来と、初めて食べるときのたれの合わせ方をまとめました。
テーブルの上の味噌だれ
日本で焼き餃子といえば、しょうゆと酢、ラー油を合わせたたれで食べるのが一般的です。ところが神戸ではもう一つ加わります。味噌で作ったたれ、「味噌だれ」です。農林水産省「うちの郷土料理」は兵庫県の項目に「味噌だれ餃子」を挙げ、神戸市で受け継がれてきた郷土料理として紹介しています。 農林水産省の資料によると、今も神戸のラーメン店や中華料理店のテーブルには味噌だれが置かれ、家庭向けに瓶入りの味噌だれも売られています。安くて気軽な「B級グルメ」としてメディアに取り上げられ、神戸の外でも知られるようになりました。2014年には兵庫県の地域産品認証「五つ星ひょうご」に、味噌だれ餃子が選ばれています。
満州から持ち帰った味
農林水産省はこの料理の由来を次のように説明しています。第二次世界大戦前、満州(現在の中国東北部)に暮らした日本人は、現地の人が食べる水餃子より焼き餃子を好み、故郷の味を懐かしんで味噌をつけて食べる家庭が多かったそうです。戦後、満州から引き揚げた人物が神戸・兵庫区の新開地に店を開き、焼き餃子を味噌だれで出したところ、引き揚げ者の間で評判になり、他の店も出すようになったといいます。 ただ、最初の店の開業年や場所は資料によって少しずつ異なります。農林水産省の資料は正確な年を記しておらず、いくつかのグルメ記事は1951年創業と紹介しています。戦後の神戸で、満州からの引き揚げ者の懐かしい味として始まったという大筋はどの資料も共通です。日本の餃子文化そのものが戦後の引き揚げ者を通じて広まったという話とも重なります。
味噌だれはどんな味?
味噌だれと聞くとどろっとした味噌を想像しがちですが、実際はつけやすいようにのばした、甘くて香ばしいたれです。農林水産省の資料によると、味噌にしょうゆ、酢、砂糖、ラー油を合わせるのが基本で、酒やにんにくしょうゆを加えることもあります。紹介されている家庭向けレシピも、味噌・しょうゆ・酢を同量ずつ合わせ、砂糖とラー油を少し加える作り方です。 配合は店ごとの秘伝で、赤味噌ベースの濃い味もあれば甘みが先に立つ味もあります。味噌の甘みとうま味が豚肉あんの脂をやさしく包み、しょうゆだれとは違うこってりした余韻が残ります。農林水産省の資料はあんの材料に豚肉や牛肉、白菜、キャベツ、にら、ねぎを挙げ、白菜がおいしい冬が特におすすめだと添えています。
どこで食べる?元町・南京町と街のあちこち
味噌だれ餃子を味わうなら、神戸の中華街・南京町とその隣の元町駅周辺がおすすめです。この一帯には老舗の餃子専門店がいくつもあり、小さな店のカウンターで餃子とビールだけを頼む客をよく見かけます。由来となった新開地周辺や三宮の繁華街の中華料理店、ラーメン店でも、テーブルに味噌だれの容器が置かれた店を簡単に見つけられます。 餃子専門店はメニューがシンプルなので、「餃子一人前」と飲み物を頼めば十分。気軽に二人前食べる人も多いです。行列ができる人気店もあるので、昼と夜のあいだの時間帯を狙うと楽です。南京町を歩きながら他の食べ歩きグルメと一緒に楽しむのにもぴったりのメニューです。
初めてのたれの合わせ方
味噌だれ餃子の店では、小皿に味噌だれを取ってそのままつけても、しょうゆや酢、ラー油を少しずつ混ぜて好みに調整してもかまいません。初めてなら、まず味噌だれだけで本来の味を確かめ、それから酢を少し足してさっぱりと、ラー油でピリッとと変えながら食べてみてください。同じ餃子がたれによってまったく違う味になります。 店によっては最初から小皿に味噌だれを入れて出すところもあれば、テーブルの容器から自分で取るところもあります。スプーンが差してあれば自分で取る方式です。家で再現したいなら、土産物店やスーパーで瓶入りの味噌だれが買えるので、神戸土産にもなります。しょうゆだれに慣れた旅行者にとっては、「餃子に味噌?」という驚きそのものが神戸らしい体験になるでしょう。