
ねぎと肉みそ、山椒をのせた広島式汁なし担担麺 · 写真: Cork screw / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
広島の汁なし担担麺:花椒のしびれ、30回混ぜて完成する麺
広島の人がソウルフードに挙げる汁なし担担麺は、ごまではなく花椒のしびれる辛さが主役。2001年に広島で始まった由来、東京式との違い、混ぜ方、残ったたれにご飯を入れる締めまでまとめました。
広島が生んだ新しいソウルフード
日本でよく食べる担々麺は、ごまペーストを溶いたスープに麺が浸かった形です。これは1950年代に来日した四川出身の料理人が日本人向けに汁麺へ改良したもので、本場の四川では汁なしで混ぜて食べるのが一般的です。この本場式をもとに広島で独自の発展を遂げたのが「広島式汁なし担担麺」です。 広島県のサイト「ひろしまラボ」は、汁なし担担麺は広島発祥で今や全国ブームだと紹介しています。日本語版ウィキペディアによると、日本の汁なし担々麺はごまや干しエビの風味を加えた「東京式」、本場そのままの「成都式」、そして「広島式」の3タイプに分かれ、広島ではソウルフードと認知されるほど市内に専門店が多くあります。2018年ごろには県内の専門店が25店以上、提供店は200店以上ともいわれました。
2001年、つぶれかけたラーメン店から
日本語版ウィキペディアによると、広島式汁なし担担麺の元祖は2001年に広島市中区で創業した店です。もとは客が入らずつぶれかけていたラーメン店でしたが、店主が中国人留学生による汁なし担担麺の料理教室に参加し、そのおいしさに感銘を受けたといいます。その後店主は四川省へ渡って本場の担担麺を食べ歩いて研究し、ラーメン店を汁なし担担麺の店に転換しました。 2010年ごろには第二次ブームが起きます。旅行で広島を訪れてこの味にはまり移住してきた東京出身の店主が、具体的なレシピを公表したことで新規参入する店が相次ぎ、「汁なし担担麺の街・広島」が形作られたそうです。ウィキペディアは代表的な3店を「広島式汁なし担担麺御三家」と呼ぶと記しています。
主役はごまではなく花椒
一般的な汁ありの担々麺がごまの風味を主役にするのに対し、広島式は花椒のしびれる「麻(マー)」が主役です。ウィキペディアは、唐辛子の辛さに花椒のしびれを加えたのが特徴で、うなぎなどにかける和山椒とはまったく違う高い香りが鼻の奥に届くと説明しています。広島県のサイトも、ラー油や唐辛子の辛さに山椒のしびれが重なると紹介しています。ごまペーストを使わない店もあります。 店によって味は異なりますが、お好み焼きなど広島の料理で広く使われる広島特産の観音ねぎをたっぷりのせ、かん水少なめの中細麺に温泉卵をトッピングするのが一般的だそうです。花椒の量や辛さを客が選べる店が多く、卓上に花椒を置く店もあります。山椒のしびれが苦手な人もいるので、初めてなら普通から始めてみてください。
食べ方:とにかく30回混ぜる
汁なし担担麺が来たら、すぐに食べずにまず混ぜます。丼の底に辛いたれがたまり、上にはねぎや肉みそ、山椒がのっているので、そのまま食べると味がばらばらです。広島県のサイトも、届いたらすぐ底のたれと上の山椒が麺によく絡むようしっかり混ぜるよう案内しています。 ウィキペディアには、食べる前に20回、30回としつこいくらいに混ぜるのがルールで、出てきたときは未完成、客が混ぜることで完成する料理だという説明があります。底にたれが残らず、麺と具に行きわたるまで混ぜるのが目安です。麺が熱いうちに混ぜるとたれがよく絡むので、写真は混ぜる前に手早く撮りましょう。途中で温泉卵をくずして混ぜると辛さがまろやかになり、食べやすくなります。
締めは「担担ご飯」
麺を食べ終えると、丼の底にピリ辛のたれと肉みそが少し残ります。ここに白ご飯を入れて混ぜて食べるのが広島式の定番の締め、「担担ご飯」です。広島県のサイトは「担々ライス」と呼び、これを目当てに頼む人もいると紹介しています。ウィキペディアによると、この食べ方は店主の発案ではなく、客が自発的に始めたものだそうです。 そのため多くの店が小ライスを安く別売りし、麺とご飯のセットを用意している店もあります。最初の注文でご飯も一緒に頼んでおけば、最後までたれを残さず楽しめます。温泉卵を締めのご飯に入れる人も多いです。広島市中心部の中区一帯を中心に専門店が多いので、お好み焼き、牡蠣に続く広島の三つ目の味としてぜひ加えてみてください。