豆知識
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だし用の煮干し(いりこ) · 写真: Chihaya+ Sakura from OSAKA, Japan / CC BY-SA 2.0 (Wikimedia Commons)

だし用の煮干し(いりこ) · 写真: Chihaya+ Sakura from OSAKA, Japan / CC BY-SA 2.0 (Wikimedia Commons)

日本高松

いりこといりこ飯:讃岐うどんのだしの主役、伊吹島のいりこが30分で煮られる理由

香川で「いりこ」と呼ばれるカタクチイワシの煮干しは、讃岐うどんのだしと家庭料理の土台です。名産地・伊吹島の話と、西讃の家庭で炊かれるいりこ飯まで紹介します。

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いりことは

いりこは、カタクチイワシを煮て干したもので、東京などで「煮干し」と呼ばれるものと同じです。西日本、とくに香川では「いりこ」という呼び名のほうがなじみ深いでしょう。 香川でいりこが大切なのは、だしのためです。農林水産省の資料でも、香川ではいりこだしが讃岐うどんはもちろん家庭料理にまで幅広く使われていると説明されています。昆布やかつお節だけのだしに比べて魚の香りがはっきりしていて、うどんのだしの個性をつくる大切な素材とされています。讃岐うどんを食べて「このだしの味はどこから?」と思ったら、その答えの大きな部分がいりこです。

名産地・伊吹島

香川県西部、観音寺市の沖に浮かぶ小さな島・伊吹島は、いりこの名産地として知られています。瀬戸内海はカタクチイワシ漁が盛んな海で、伊吹島の周辺はその中でも指折りの漁場です。 この島のいりこが評価される理由としていつも挙げられるのが「速さ」です。カタクチイワシは鮮度が落ちるのがとても早いため、とってから約30分以内に島へ運んで煮るといいます。漁場の近くに加工場があるからこそできることです。漁期は例年6月ごろから9月ごろまでで、地元報道によると2026年は6月15日に解禁され、9月中旬まで行われる予定でした。伊吹漁協によれば、生産量は2022年が1681トン、2025年が1368トンだったそうです。夏の島はいりこを煮て干す作業でいちばん忙しくなります。

よいいりこができる条件

農林水産省の資料は、伊吹島のいりこの品質をいくつかの点で説明しています。一つ目は先に触れた鮮度。二つ目は、漁から加工までを同じ業者(網元)が一貫して担う体制で、時間のロスなく品質を管理できるといいます。三つ目は技術で、魚体を傷つけないよう網に入る量を加減するには熟練の技が必要だということです。水揚げから店頭に並ぶまでは1〜3日ほどだそうです。 海そのものも理由に挙げられます。穏やかな瀬戸内海で育ったカタクチイワシのいりこは、だしが濃く出ると言われています。だしをとる前に頭と腹を取る下ごしらえは、次に紹介するいりこ飯のレシピにも出てきます。

西讃の家庭の味、いりこ飯

いりこの産地である西讃地域には、いりこを炊き込む混ぜご飯「いりこ飯」があります。農林水産省の資料によると、今も一般家庭でよく作られる日常食で、季節を問いません。 作り方に無駄がありません。いりこは頭と腹わたを取って身を二つに割り、取った頭は水に浸してだしをとります。米にこのいりこだしと水を加え、細く切った油揚げ・にんじん・大根・里芋・こんにゃくをいりこの身と一緒にのせ、しょうゆで味をつけて炊きます。資料の基準量が米1升なのも面白いところで、たくさん炊いたほうがおいしくできるからだそうです。きのこやごぼうを入れることも多く、カルシウムが豊富なことから学校給食にも登場します。

旅行者のいりこの楽しみ方

香川でいりこを楽しむいちばん簡単な方法は、やはりうどんです。何軒かうどん店を回ると、だしの魚の香りが店ごとに少しずつ違うことに気づくかもしれません。温かいかけうどんを頼み、まずだしをひと口飲んでみると違いがよくわかります。 お土産には、だし用のいりこが軽くて日持ちもするのでおすすめです。スーパーの乾物コーナーや高松駅周辺のお土産店で手に入ります。家で使うときは頭と腹わたを取り、水に浸してから火にかければ大丈夫。観音寺方面へ行くなら、海の向こうの伊吹島を眺めながら、うどん一杯に込められた島の夏を思い浮かべるのも香川旅の楽しみです。

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