
マー油とキクラゲの熊本ラーメン · 写真: 皇翔 / CC0 (Wikimedia Commons)
熊本ラーメン:焦がしにんにくが香る、九州豚骨のもう一つの顔
同じ九州の豚骨ラーメンでも、熊本ラーメンは博多とはっきり違います。久留米・玉名を経て伝わった歩み、にんにくチップとマー油、太めの麺と鶏ガラを加えたスープの特徴をまとめました。
久留米から玉名を経て熊本へ
九州の豚骨ラーメンは福岡県久留米から広まったといわれます。日本語版ウィキペディアによると、熊本ラーメンは久留米から熊本県北部の玉名を経て伝わりました。1952年に国鉄高瀬駅(現・JR玉名駅)前で開業したラーメン店が人気を集め、その味に感銘を受けた人々が熊本市内でラーメン店を始めたそうです。 面白いのはそのきっかけです。もともと不動産業や中古車販売を営んでいた人たちが、1953年の白川大水害で事業が頓挫し、ラーメンで再出発したというのです。1953年から1955年ごろにかけて熊本市内に次々と店ができ、今の熊本ラーメンが形づくられました。その後、関東や中国にまで進出した店も現れました。
主役はにんにく
熊本ラーメンをひと口すすると、まず感じるのが香ばしいにんにくの香りです。薄切りにして揚げたにんにくチップやフライドガーリック、そしてにんにくを油で揚げて黒くした香味油「マー油」を入れるのが大きな特徴。スープに黒い油が浮かぶ姿は熊本ラーメンの象徴のように思われています。 日本語版ウィキペディアによると、ラーメンににんにくを入れる手法は、熊本の初期のラーメン店で調理を担当していた料理人が考案したとされています。にんにくの油でまろやかな味わいになり、豚骨のアクの強さが前に出る博多ラーメンとはかなり印象が違います。にんにく好きなら、熊本でぜひ一杯味わいたい理由です。
スープと麺の特徴
スープは豚骨をベースに、鶏ガラを加えてとる店も多くあります。そのため同じ白い豚骨スープでも、少しまろやかであっさりと感じられます。日本語版ウィキペディアには、スープはその日のうちに使い切り継ぎ足しをしないという説明もあります(店によって異なる場合があります)。 麺は低加水の中太ストレート麺を、やや硬めにゆでて出します。博多ラーメンの極細麺よりはっきり太く、にんにく油のなじんだスープをよく持ち上げます。一般的な具は、台湾風に味付けした煮卵、キクラゲ、チャーシュー、メンマ、刻みねぎ、もやし、海苔など。とくにコリコリしたキクラゲの細切りがよくのっています。
博多・久留米ラーメンとどう違う?
九州旅行で各地の豚骨ラーメンを食べ比べるのも楽しみの一つです。日本語版ウィキペディアの説明をまとめると、熊本ラーメンの違いは三つ。一つ目は、麺が博多ラーメンや玉名ラーメンより太いこと。二つ目は、スープに鶏ガラを加え、にんにくの香味油を入れるので味がまろやかなこと。三つ目は、久留米ラーメンや玉名ラーメンがスープを継ぎ足して濃くしていくのに対し、熊本ラーメンはその日のうちに使い切るほうだということです。 博多でおなじみの替え玉があるかどうかは店によって違うので、メニューを確かめるとよいでしょう。同じルーツから生まれ、地域ごとに自分の色をつけてきた九州ラーメンの流れを、熊本で感じられます。
熊本で楽しむコツ
熊本ラーメンは熊本市内のあちこちで食べられます。熊本駅周辺や市中心部の繁華街一帯に店が多く、熊本城観光の前後に立ち寄りやすいのも魅力。マー油たっぷりの黒いスープを看板にする店もあれば、にんにくチップをたっぷりのせる店もあり、店ごとに個性が違います。 にんにくの香りが強めなので、このあとの予定が気になるなら昼より夜に楽しむのも手です。日本語版ウィキペディアには、店によって角煮やキャベツ、高菜、紅しょうが、生にんにくなどが加わることもあると紹介されています。卓上の高菜やにんにくを少しずつ加えて、味の変化を楽しんでみてください。馬刺しや辛子れんこんなど熊本名物と合わせれば、熊本の食の旅がより豊かになります。