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ひともじのぐるぐる

ひともじのぐるぐる

日本熊本

ひともじのぐるぐる:倹約令から生まれた熊本のねぎ巻き酒肴

ゆでたねぎを白い根元にぐるぐる巻いて酢味噌で食べる、ひともじのぐるぐる。江戸時代の熊本藩の倹約令から生まれたという話や名前の意味、作り方、春を告げる旬をまとめました。

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ねぎをぐるぐる巻いた一皿

ひともじのぐるぐる(一文字のぐるぐる)は熊本県の郷土料理で、さっとゆでたねぎの緑の葉を白い根元にぐるぐる巻き付け、酢味噌で食べる素朴な酒の肴です。一つずつ巻かれた姿がかわいらしく、初めて見る人もつい目を留めてしまう一品です。 農林水産省「うちの郷土料理」によると、「一文字(ひともじ)」はわけぎの別名です。わけぎはねぎに似ていますが、より細くやわらかい野菜で、ゆでると甘みが出ます。熊本ではこの料理を家庭で作るだけでなく、和食店や居酒屋でも突き出しや酒の肴として出しています。派手さはないものの、熊本の人々の暮らしに長く根づいてきた味です。

藩の財政が苦しかった時代に

この料理には、江戸時代の熊本(肥後藩)の台所事情にまつわる話が残っています。農林水産省の資料によると、肥後藩の6代藩主・細川重賢の時代、藩の財政がひっ迫して倹約令が出されました。そのとき「安くて美味しい酒のつまみ」として考え出されたのが、ひともじのぐるぐるだと伝えられています。 細川重賢は18世紀半ばに藩政改革に取り組んだ藩主として知られています。ぜいたくを控えなければならない時代でも人々は酒席の楽しみをあきらめず、畑で手に入りやすいねぎを丁寧に巻いて一皿の料理に仕立てました。高価な材料に頼らず、手間とアイデアで味を出す庶民の知恵が詰まった料理といえます。

「ひともじ」と「ぐるぐる」名前の意味

名前の前半「ひともじ(一文字)」には二つの説があります。農林水産省の資料によると、一つは畑に植えたわけぎの形が漢字の「人」のように見えるからという説。もう一つは、昔の御所の女官たちがねぎを「一文字草」と呼んでいたことに由来するという説です。 後半の「ぐるぐる」は、緑の葉を白い根元に巻き付ける形から付いた名前です。つまり「ひともじのぐるぐる」は「わけぎをぐるぐる巻いたもの」というほどの意味。料理の姿をそのまま名前にした親しみやすい呼び名で、メニューで見かければすぐに覚えてしまいます。

作り方:ゆでて、しぼって、巻く

農林水産省のレシピを見ると、作り方はシンプルですが手間がかかります。わけぎの根を切りそろえて洗い、塩を入れた熱湯に根元から入れて、少し歯ごたえが残る程度にさっとゆでます。冷水で冷まして水気をしっかりしぼったら、根元の白い部分を芯にして緑の葉をぐるぐる巻き付け、最後にわけぎから出るぬめりで巻き終わりを留めます。 大きさをそろえて巻くのがきれいに仕上げるコツだと資料はすすめています。添える酢味噌は白味噌に砂糖、酢、そしてみりんか熊本の伝統的なお酒・赤酒を合わせて作ります。甘酸っぱい味噌がねぎの甘みとほのかな香りを引き立て、あっさりしながらもお酒が進む味になります。

春を告げる味、どこで食べる?

わけぎは寒い冬を越えて甘みが増す早春が旬です。農林水産省の資料によると、かつては3月のひな祭りの膳に、こんにゃくの刺身や貝の煮物と一緒にひともじのぐるぐるが並び、今もこの料理を見ると春の訪れを感じるという人が多いそうです。 最近は生産者が品種を改良し栽培時期を調整して、わけぎが一年中出荷されるようになったため、季節を問わず味わえます。熊本市内の郷土料理を出す和食店や居酒屋のメニューで探してみてください。馬刺しや辛子れんこんといった存在感のある名物の合間に、口をさっぱりさせてくれる名脇役です。熊本の旅で地酒と一緒に味わえば、地元の人々の飾らない酒席の雰囲気を感じられます。

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