
大分の郷土料理りゅうきゅう · 写真: 大分帰省中 / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
大分の「りゅうきゅう」:琉球の名を持つ漁師のづけ
別府や大分の居酒屋で「りゅうきゅう」の文字を見つけたら、それは沖縄料理ではなく大分の郷土料理。醤油・しょうが・ごまのタレに漬けた刺身の名前の由来、漁師飯から丼になるまで、おいしい食べ方をまとめました。
りゅうきゅうとは
りゅうきゅうは、ブリ・アジ・サバなど旬の魚の刺身を、醤油・酒・みりん・しょうが・ごまなどを合わせたタレに漬けた大分県の郷土料理です。農林水産省「うちの郷土料理」にも大分の代表的な料理として載っています。使う魚は季節によって変わるので一年中食べられ、ブリの代わりにアジやハマチ、タイなどでもつくれます。 大分県は瀬戸内海や豊後水道に面した魚介の豊富な土地です。別府も別府湾に面しており、居酒屋や食事処でりゅうきゅうをよく見かけます。名前だけ見ると沖縄料理のようで、旅行者が戸惑いやすいメニューでもあります。
なぜ「りゅうきゅう」?二つの説
名前の由来ははっきりせず、大きく二つの説があります。一つは、大分の漁師が沖縄、つまり昔の琉球の漁師からつくり方を教わり、地元に持ち帰ったからという説。海を行き来する漁師の間で料理法が伝わったという話です。 もう一つは、ごま和えを「利休和え」と呼ぶことから派生したという説です。茶の湯を大成した千利休の名にちなむ言い方で、ごまを使う料理によく付けられます。りゅうきゅうのタレにもごまがたっぷり入るため、「りきゅう」が「りゅうきゅう」になったというわけです。農林水産省の資料も両説を並べて紹介しており、どちらが正しいかは決まっていません。
漁師のまかないと保存食
りゅうきゅうはもともと漁師が船の上や家で食べるまかない飯であり、とれた魚を日持ちさせるための保存食でした。農林水産省の資料によると、南部の沿岸地域から県全域に広まりました。タレに漬けておけば魚が傷みにくく、余った刺身も捨てずに次の食事で食べられます。 そのため今も家庭では、刺身の切れ端や食べ残した刺身でりゅうきゅうをつくることがよくあります。一方、飲食店ではわざわざ新鮮な魚を用意して出す店が多くあります。山間部では魚を酢でしめてから食べる家庭もあったそうで、海から遠い土地まで魚を運んで食べてきた知恵が詰まった料理といえます。
食べ方:ご飯にのせて、お茶漬けにして
一番の基本は、炊きたての熱々のご飯にのせて食べることです。観光地の飲食店では、ご飯にりゅうきゅうをたっぷり盛った「りゅうきゅう丼」として出すことが多く、魚の種類や薬味に店ごとの工夫があります。みょうが、しそ、わさびを添えることもあります。 もう一つの楽しみがお茶漬け。半分ほど食べたら熱いお茶やだしをかけると、タレが溶け出し刺身にほんのり火が通って、最初とは違う味わいになります。酒の肴としてそのまま食べてもおいしい一品です。まれに魚に似た食感のこんにゃくを入れてかさ増しすることもあり、家庭ごとに少しずつ味が違う料理です。
別府で味わうコツ
りゅうきゅうは別府駅周辺や市内の商店街の居酒屋、定食屋でよく出会えます。昼はりゅうきゅう丼や定食で、夜は酒の肴の一皿として頼むのが一般的です。メニューには「琉球」ではなくひらがなで「りゅうきゅう」と書かれていることが多いので、覚えておくと探しやすくなります。 どの魚を使うかはその日の仕入れ次第なので、店の人に聞いてみましょう。ブリやサバは濃厚、アジはさっぱりした味わいです。お茶漬けにしたいなら、お茶やだしを別に出してもらえるか先に聞いておくと安心です。大分市もりゅうきゅうを地域の味として積極的に発信しており、大分市内でも簡単に見つかります。