
大分の鶏めしおにぎり · 写真: Nissy-KITAQ / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
湯布院のある大分の鶏めし:鶏好きの県が受け継ぐごぼうと鶏の混ぜご飯
鶏肉をとりわけよく食べる大分には、ハレの日に欠かせない鶏めしがあります。鶏肉とごぼうを甘辛く煮てご飯に混ぜるこの料理の由来、二つのつくり方、旅先での買い方をまとめました。
鶏肉の国・大分
大分県は一世帯あたりの鶏肉の年間購入量が全国トップレベルの、鶏肉好きの土地です。別府のとり天や中津のからあげなど鶏料理が多い中、各家庭で受け継がれてきたご飯ものが鶏めしです。農林水産省「うちの郷土料理」にも大分の料理として載っています。 鶏めしは、細かく切った鶏肉とごぼうを醤油と砂糖で甘辛く煮て、ご飯に混ぜた料理です。材料はシンプルですが、鶏の脂とごぼうの香りがご飯一粒一粒にしみて、香ばしく深い味わいになります。冷めてもおいしいので、おにぎりにして食べることも多い料理です。
キジやハトから始まったもてなし料理
農林水産省の資料によると、鶏めしの起源は、猟師が客をもてなすためにキジやハトの肉でつくっていた料理だとされています。食糧が乏しかった時代、鶏は貴重なたんぱく源として各家庭で飼われており、獲った鳥の代わりに飼っていた鶏を使うようになって今の鶏めしになりました。 昔ながらの味を求める人は、卵を産まなくなった親鳥の肉を使います。飼育日数の長い鶏は身が硬いものの、かむほどにうま味が出るからです。若鶏と親鳥を合わせて食感や味に変化をつけることもあります。調理で余った内臓や骨、細かい肉は「鶏汁」に入れ、無駄なく使い切りました。
二通りのつくり方
鶏めしのつくり方は大きく二通りあります。一つは鶏肉とごぼうを醤油・砂糖・酒で別に煮ておき、炊き上がったご飯に混ぜ込む方法、もう一つは最初から具と米を一緒に炊く方法です。最も素朴なものは鶏肉とごぼうだけでつくります。 農林水産省が紹介するレシピでは、ごぼうをささがきにして水にさらし、水を替えないのがコツとされています。鶏肉を油か鶏脂で白くなるまで炒め、ごぼうを加えてしんなりしたら砂糖、続いて酒と醤油を入れ、汁気がなくなるまで煮詰めます。ご飯に色をつけたい場合は汁気を少し残します。炊き上がったご飯の上に具をのせて15分蒸らし、よく混ぜれば完成です。
ハレの日の味、一村一品で全国へ
鶏めしは、親戚が集まる日や祭りなど「ハレ」の日に欠かせない料理でした。大きな釜いっぱいに炊いて、大勢で分け合うごちそうだったのです。 この料理が全国に知られるきっかけになったのが、大分県が1979年から進めた「一村一品運動」です。村ごとに誇れる特産品を一つずつ育てようというこの運動のメニューに取り上げられ、名前が広く知られるようになりました。大分市吉野地区では「吉野鶏めし保存会」が結成され、つくり方や味を後世に残す活動が行われています。家庭でつくる機会は減りましたが、その分買って食べる鶏めしが増えています。
旅先での買い方
鶏めしや「鶏めしの素」は、大分のスーパーマーケットや直売所で手軽に買えます。農林水産省の資料によると生産者名が書かれた商品もあり、好みの生産者の味を選んで買う人もいるそうです。おにぎりや弁当の形で売られていることが多いので、湯布院へ向かう途中に買って車内や散歩の途中に食べるのにぴったりです。 湯布院や大分各地の道の駅、直売所に立ち寄れば、つくり手ごとに少しずつ違う鶏めしに出会えます。ごぼうの香りが強いもの、甘めのものなど違いがあるので、いくつか食べ比べてみてください。鶏めしの素は軽く、家でご飯に混ぜるだけなのでお土産としても人気です。