歴史
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焼酎を温める黒ぢょか · 写真: DryPot / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)

焼酎を温める黒ぢょか · 写真: DryPot / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)

日本鹿児島

薩摩焼酎:1559年の落書きからお湯割りまで、鹿児島の「だれやめ」

鹿児島で「酒」といえば、たいてい芋焼酎のこと。日本で「焼酎」の文字が初めて記された神社の落書き、地理的表示「薩摩」の条件、造り方、地元流のお湯割りと「だれやめ」の文化までまとめました。

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薩摩焼酎とは:地理的表示「薩摩」

焼酎は日本の蒸留酒で、一回だけ蒸留して原料の香りを生かしたものを「本格焼酎」と呼びます。鹿児島県の西半分はかつての「薩摩国」で、さつまいもの名が付くほどの芋どころ。そのさつまいもで造るのが薩摩焼酎です。 「薩摩」は2005年に国税庁が指定した地理的表示(GI)です。国税庁の基準では、鹿児島県(奄美市と大島郡を除く)で収穫したさつまいものみを使い、こうじは米か鹿児島県産さつまいもでつくり、水も県内で採水したものに限られます。発酵と単式蒸留、貯蔵、容器詰めまですべて県内で行ってはじめて「薩摩」を名乗れます。奄美地域は黒糖焼酎の産地のため、この範囲から外れています。

1559年の落書き:「焼酎」の文字の最古の記録

鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社の本殿は国指定の重要文化財です。1954年の解体修理の際、ここから大工が墨で書き残した木片が見つかり、日付は永禄2年、つまり1559年でした。施主である寺の座主がけちで、一度も焼酎を振る舞ってくれなかったという恨み節が書かれていたのです。この木片は鹿児島県指定文化財で、保護のため一般公開はされていません。 この落書きは日本で「焼酎」という文字が記された最古の記録とされ、16世紀にはすでにこの地方で焼酎が飲まれていたことを示しています。ただし当時の焼酎の原料はさつまいもではありませんでした。国税庁の資料によると、さつまいもは17世紀に琉球から伝わり、薩摩で初めて栽培されたことから「さつまいも」と呼ばれるようになりました。1705年には山川(現在の指宿市)の船乗り・前田利右衛門が琉球から芋を持ち帰り、薩摩各地に広まるきっかけになったと伝えられています。

芋が焼酎になるまで

鹿児島はシラス台地が広く分布し、水はけがよく地下水位が低い土地が多いため、米づくりよりさつまいもの栽培に向いています。国税庁の資料は、江戸時代以降さつまいもが広く栽培され、今では日本最大の産地だと説明しています。 政府の広報誌に載った蔵元の説明によると、まず蒸した米に種麹を混ぜ、約2日かけて麹をつくります。そこに水と酵母を加えて約6日発酵させる「一次仕込み」を行い、蒸して砕いたさつまいもと水を加えて約2週間発酵させる「二次仕込み」へ。このもろみを一回だけ蒸留すると、芋の香りが生きた本格焼酎になります。原料の芋は鮮度が風味を左右するため、芋畑に囲まれた場所に蒸溜所を構える蔵もあります。製造技術は、今の南さつま市の黒瀬杜氏・阿多杜氏によって確立され受け継がれてきました。

地元流の飲み方:お湯割り、黒ぢょか、だれやめ

鹿児島には、一日の疲れを焼酎で癒す「だれやめ」という晩酌の習慣があります。鹿児島の方言で「だれ(疲れ)」を「やめる(取る)」という意味です。蔵元がいちばんにすすめる飲み方はお湯割りで、先にお湯をグラスに入れてから焼酎を注ぐと、香りと甘みがよく引き立ちます。 焼酎を温める黒い土瓶「黒ぢょか」も鹿児島の象徴です。また焼酎と水をあらかじめ合わせて数日から1週間ほど寝かせる「前割り」は味がまろやかになじみ、これを黒ぢょかで温めて出す居酒屋もあります。冷たく飲みたいなら、水割りやロックもおすすめです。

どこで飲む?どこで買う?100を超える蔵元

鹿児島県には100を超える焼酎蔵があるといわれます。市内の居酒屋には数十種類の芋焼酎をそろえる店も多いので、メニューを見て迷ったら「おすすめの芋焼酎」を頼んでみましょう。豚の角煮やさつま揚げなどの郷土料理とは特によく合います。見学や試飲を受け付ける蔵元もあり、英語の案内を用意しているところもあります。 焼酎の度数は20〜25度が多く日本酒より高いので、ゆっくり味わってください。2024年12月には、こうじ菌を使って日本酒・焼酎・泡盛などを造る「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。お土産に買うときは、ラベルに「薩摩焼酎」の表示があるか確かめれば、鹿児島県産のさつまいもで県内で造られた焼酎だとわかります。

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