
ハノイの路上食堂の麺と香草かご、クワイ · 写真: Christophe95 / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
ベトナムの食堂の使い方:低い椅子、香草のかご、おしぼり、お会計まで
歩道のプラスチック椅子に腰かけて麺をすするのは、ベトナム旅行を象徴する光景です。路上食堂の仕組み、卓上の香草やタレの使い方、おしぼりやお茶の料金、チップまで、初めてでも戸惑わないコツをまとめました。
歩道が食堂になる、低いプラスチック椅子
ベトナムの街を歩くと、歩道に膝の高さほどのプラスチック椅子と小さなテーブルを並べ、麺やご飯を出す店が次々と現れます。現地ではこうした小さな食堂をクアン(quán)と呼び、一軒が一、二品だけを扱うことも珍しくありません。 ベトナムのメディアVietceteraによると、地面にござを敷いて低く座る習慣はもともとありましたが、今のプラスチック椅子が広まったのは1986年のドイモイ(刷新政策)後にプラスチック生産が伸びた1990年代初めのこと。軽くて水に強く、重ねられるので、バイク一台に何十脚も積んで数分で店を開け閉めできるのです。知らない人と相席になるのも普通なので、空いた席があれば会釈して座りましょう。
卓上の香草かごと調味料の使い方
麺を頼むと、レタスやミント、パクチーなどの生野菜やハーブをかごや皿に別盛りで出す店が多くあります。生野菜はベトナム語でザウソン(rau sống)、香りのある葉物はザウトム(rau thơm)と呼ばれ、決まった量ではなく好きなだけちぎって入れるのが基本です。 テーブルにはたいていライム、生唐辛子やチリソース、魚醤、酢漬けのニンニクなどが置かれています。まず何も入れずにスープをひと口味わい、それからライムや唐辛子で自分好みに整えるのが現地流。ハノイでは細長い揚げパンのクワイ(quẩy)を添えてスープに浸して食べることもあり、別料金の店もあります。パクチーが苦手なら注文時に「コン・ザウ(không rau)」「コン・ゴー(không ngò)」と伝えてみましょう。
おしぼりとアイスティー、無料か有料か
席に着くと、袋入りのおしぼりや冷たいタオルが置いてあったり、頼んでいないのに冷たいお茶(チャーダー、trà đá)が出てきたりします。Vietceteraは、こうした「無料に見える」サービスはベトナムの飲食店でよくあるものの、どれも無料とは限らないと指摘しています。実際におしぼり代を取る店もあり、ホーチミン市でアイスティーが会計に別途計上されて驚いたという外国人のレビューも紹介されています。 金額はたいてい小さいものですが、気になるなら袋入りのおしぼりは開けなければよく、お茶を飲む前に有料かどうか尋ねても失礼にはなりません。海鮮店やビアホールで最初から置かれるピーナッツなども有料の店があるかもしれないので、同じ考え方で。手を付けなかったものは会計から外してもらえるよう伝えられます。
注文と会計:食べ終わってからまとめて
路上食堂ではメニューが壁に貼ってあるか、まったくないこともよくあります。看板や壁に書かれた料理名がその店の看板メニューなので、指をさしたり、ほかの客の器を見て同じものを頼んだりすれば十分通じます。フォーのように肉の部位を選ぶ料理は、部位名が書かれた欄を指させばOKです。 会計は食べ終わってからという店が多いです。席を立つ前に店主や店員に合図すると、食べた器や飲み物、クワイやおしぼりなどの追加分を数えて金額を教えてくれます。小さな店は現金がいちばん楽なので、小額紙幣を多めに用意しておきましょう。値段の書かれていない店では、注文前に聞いておくと安心です。
チップは必須ではない、そして小さなマナー
ベトナムでチップは義務ではありません。トゥオイチェー英語版に載った外国人のコラムは、ご飯やフォー、ブンボーのような日常食を出すクアンではチップは習慣ではないと書いています。ただし高級店やホテルのレストランでは、会計にサービス料(phí phục vụ)と付加価値税が加算されることがあるので金額を確認しましょう。親切な対応にお礼をしたいなら、お釣りの小銭を残す程度で十分です。 食事のマナーは日本とそう変わりません。箸をご飯に突き立てるのは祭壇の線香を連想させるとして嫌われるといわれるので、休めるときは器の上に横に渡しておきます。麺を食べるときにレンゲと箸を一緒に使うのもごく自然です。何より、混み合う昼どきの路上食堂では、食べ終わったら長居しないのが歓迎される客のコツです。