豆知識
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緑豆のチェー(チェーダウサイン) · 写真: Hoangkid / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

緑豆のチェー(チェーダウサイン) · 写真: Hoangkid / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

ベトナム

チェー入門:豆とココナッツで作るベトナムデザートの世界

チェー(Chè)は一つのデザートではなく、豆、もち米、果物、ゼリー、ココナッツクリームで作る何十種類もの甘い食べ物の総称です。温かいおしるこのようなチェーから氷たっぷりのグラスのチェーまで、種類と食べ方、行事とのつながりをまとめました。

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チェーは一つのデザートではない

ベトナムの路上や市場で、グラスや器に豆やゼリー、ココナッツクリームを層にして盛ったデザートを見かけたら、それはたいていチェー(chè)です。チェーは特定のデザート一品の名前ではなく、甘い飲み物、プリン、デザートをまとめて指すとても広い言葉。だから日本のおしるこのようにとろりとしたものも、氷を入れて飲むものも、団子をシロップに浮かべたものも、すべてチェーと呼びます。 チェーは熱くても、温かくても、冷たくても食べます。器に盛ってスプーンですくうこともあれば、グラスに入れて氷と混ぜ、飲むように食べることも。ほとんどは豆やもち米を水で煮て砂糖で甘みをつけるのが基本で、南部ではココナッツクリームをたっぷりかけることが多いです。一杯の量が少なく値段も安いので、小腹がすいた午後のおやつにぴったりです。

何で作る?豆、もち米、南国の素材

チェーの基本の材料は豆です。皮をむいた緑豆、ササゲ(黒目豆)、インゲン豆、小豆などがよく使われ、そこにタピオカパール、寒天ゼリー、果物、ココナッツクリームが加わります。種類によってはハスの実、タロイモ、キャッサバ、パンダンの葉も入ります。パンダンはバニラに似た甘い香りを持つ南国の植物で、チェーにほのかな緑色と香りをつけるのに使われます。 もち米も大事な材料です。もち米を豆と一緒に煮て粥のようにしたり、もち米粉で作った団子をシロップに浮かべたりします。甘みは主に砂糖で、ショウガを入れて煮たシロップは温かいチェーによく使われます。南部のチェーは濃いココナッツクリームをのせ、まろやかでコクのある味が強めです。素材は素朴でも、組み合わせは無限です。

覚えておきたい代表的なチェー

いちばん目を引くのは「三色」という意味のチェーバーマウ(chè ba màu)。ふつうは緑の緑豆、白いササゲ、赤い小豆が層になり、氷とココナッツクリームをのせて食べます。緑豆だけを煮たチェーダウサイン(chè đậu xanh)は最も基本的なチェーで、いろいろな材料を一杯に集めたチェータップカム(chè thập cẩm)はベトナムで最も人気のあるチェーの一つとされます。 温かいチェーもたくさんあります。チェーチョイヌオック(chè trôi nước)は緑豆あん入りのもち米団子を温かいショウガシロップに浮かべたもの、チェーチュオイ(chè chuối)はバナナとタピオカをココナッツミルクで煮て、ふつう温かいまま出します。タロイモとキャッサバ、赤い皮のサツマイモを入れたチェーバーバー(chè bà ba)、ザボン(ポメロ)の皮の白い部分を刻んで入れるチェーブオイ(chè bưởi)もあります。

行事とチェー:寒食節のバインチョイとバインチャイ

チェーやもち米の団子は、ベトナムの行事の食べ物でもあります。旧暦3月3日は「冷たいものを食べる日」という意味のテト・ハン・トゥック(Tết Hàn thực、寒食節)で、北部を中心にこの日は各家庭でもち米団子のバインチョイ(bánh trôi)とバインチャイ(bánh chay)を作り、先祖の祭壇に供えます。バインチョイは黒砂糖のかたまりを入れた小さなもち米団子、バインチャイは緑豆あん入りの団子をシロップに浸して出すものです。 ベトナムのメディアは、この行事は中国由来だがベトナム独自の形で根づいたと紹介しています。18世紀の学者レー・クイ・ドンは「わが国の風俗はバインチョイを最も重んじ、毎年3月3日に作る」と記し、ある研究者はこの風習がレー朝期に伝わり16〜18世紀に広まったとみています。また北部では、もち米とショウガで作るチェーコンオン(chè con ong)を旧正月に先祖へ供える料理として作ります。

旅行者のためのチェーの楽しみ方

チェーは専門の屋台や市場のデザート店で手軽に食べられます。いろいろな材料を大きな器に盛って並べている店なら、欲しい材料を指さして一杯に混ぜてもらえば大丈夫。グラスのチェーは、スプーンで底までよくかき混ぜ、氷と豆とココナッツクリームを均一にしてから食べるのがおいしい食べ方です。 暑い昼には氷入りの冷たいチェーが、雨の日や北部の肌寒い冬にはショウガシロップの温かいチェーがよく合います。甘さはかなり強めなので、最初は小さなカップでいくつかを分けて味わうのもおすすめ。氷が気になるなら、温かいチェーを選ぶか、客が多く回転の速い店を選ぶと安心です。地域ごとにご当地のチェーがあるほど種類が多いので、街を移るたびに地元の人が好むチェーを聞いてみるのも旅の楽しみです。

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チェー入門:豆とココナッツで作るベトナムデザートの世界 | TastyLog