豆知識
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葉の上のコム · 写真: Bình Giang / Public domain (Wikimedia Commons)

葉の上のコム · 写真: Bình Giang / Public domain (Wikimedia Commons)

ベトナムハノイ

コム(Cốm):ハノイの秋を蓮の葉に包んだ緑の若もち米

秋になると、ハノイの街角に蓮の葉で包んだ緑色の米の包みが現れます。未熟なもち米を炒ってつぶすコムは、ハノイの人々が秋の味として挙げる季節の食べ物です。作り方と食べ方、コムを使ったお菓子までまとめました。

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秋に現れる緑の米

コム(cốm)は、未熟なもち米を炒ってからつぶし、平たくした食べ物です。緑色は着色ではなく、まだ乳白色の汁が詰まった若い粒そのものの色。ほのかに甘く香ばしく、もちっとした食感が特徴です。 コムは紅河デルタ一帯で作られますが、とりわけハノイの人々にとっては秋の訪れを告げる食べ物です。現地紙は、ハノイの人々がコムを首都の秋を代表する味と考えていると伝えています。いちばん有名な産地はハノイ中心部から5〜6km離れたヴォン(Vòng)村で、今はカウザイ(Cầu Giấy)一帯として市街地に取り込まれています。作家タック・ラムも『ハノイ三十六通り』でヴォン村のコムを描いています。

炒って、つぶして、ふるう

北部式のコムは、粒にまだ乳白色の汁が残っているうち、熟しきる前に刈り取ったもち米で作ります。ハノイ市の資料によれば、熟しすぎず青すぎない時期を選んで刈り取るそうです。 刈り取った粒は弱火で30分ほど休まずかき混ぜながら炒ります。それを臼でつき、ふるいにかけて殻とぬかを取り除く作業を何度も繰り返します。平均7回ほどだそうです。ヴォン村では5回目あたりで手を止め、コムを品質ごとに分けるといいます。現地紙によれば、ヴォン村の人々は朝5時ごろ、露に濡れた稲を刈ることから一日を始めます。

二重の葉と稲わらのひも

コムの売り方も独特です。内側はサトイモに似た大きな葉ラーザイ(lá ráy)で包んで潤いと緑色を保ち、外側をさらに蓮の葉で包んでほのかな香りを移し、緑の稲わらのひもで結びます。蓮の葉の包みそのものが、ハノイの秋の象徴のように思われています。 旬はおおむね旧暦7月15日ごろから旧暦9月末までで、新暦ではだいたい9月下旬から11月初めにあたります。旧暦4〜5月に出る早いコムもありますが、ハノイの人々が待ちわびるのは秋のコムです。ハノイ市の資料は、最上のコムは秋の半ば、稲がいちばん良い時期に作られたものだと説明しています。

コムで作る料理とお菓子

コムはそのまま食べるほか、いろいろな料理の材料にもなります。いちばん有名なのは、コムの生地で緑豆あんを包んだ餅菓子バインコム(bánh cốm)で、ハノイでは婚約式(アンホイ)の贈り物に欠かせません。ハノイ市の資料も、バインコムをハノイの結婚の儀式に必須のお菓子と紹介しています。 ほかに、豚の赤身をコムと一緒についてまとめ、蒸してから揚げるチャーコム(chả cốm)、蒸したコムにつぶした蓮の実と砂糖を混ぜるソイコム(xôi cốm)、コムにでんぷんと砂糖を加え、ザボンの花の香り水で仕上げるデザートのチェーコム(chè cốm)もあります。ただしハノイの食を書いた作家ヴー・バンは、コムの繊細な味は肉に合わないとして、チャーコムをあまりよく思っていなかったそうです。

ハノイっ子流の食べ方

作りたてのコムは、指で少しずつつまんでそのまま食べるのが基本です。よく熟したバナナや熟柿と一緒に食べるのが伝統的な組み合わせで、バナナの甘さとコムの香ばしさがよく合います。ハノイ市の資料は、コムを涼しい日にゆっくり味わう食べ物として紹介しています。 秋のハノイでは、ヴォン村の女性たちが自分で作ったコムを売る姿が見られます。旧市街周辺の市場や屋台でも蓮の葉の包みは簡単に見つかります。ハノイ市の資料は、コムを心のこもった贈り物として紹介しています。ヴォン村のほか、メーチー(Mễ Trì)村などハノイ周辺のいくつもの村でコムが作られています。

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