
バインダークアと添え野菜・調味料 · 写真: HoangTuanAnh / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
ハイフォンのバインダークア:赤い米麺と田ガニのスープ、港町の朝の一杯
ハイフォンの人に「ふるさとの味」を尋ねると、たいていバインダークアが真っ先に挙がります。赤みを帯びた幅広の米麺、田ガニをついて取ったスープ、野菜や具まで、この港町の麺料理の特徴と食べ方をまとめました。
ハイフォンを代表する麺
バインダークア(bánh đa cua)は、赤みを帯びた幅広の米麺バインダー(bánh đa)を田ガニのスープで食べるハイフォンの郷土料理です。ハイフォンの人々は、四角く包んで揚げるネム・クア・ベー(nem cua bể)と並んで、この麺を街を代表する料理に挙げます。 ハノイなど北部のほかの地域にもカニスープの麺はありますが、ハイフォンのバインダークアを区別するいちばんの違いは麺です。普通の米麺より幅が広く、米の香りが強くてもちもちしており、濃い茶色や赤みのある色をしています。現地紙はこの麺が夜明けから真夜中までいつでも食べられると紹介していますが、ハイフォンの人々は特に朝食や昼食によく食べます。
700年続く麺の村
ベトナムの報道によれば、ハイフォンではランコン(Lạng Côn)、ホー(Hỗ)、ズーハンケン(Dư Hàng Kênh)の三つの村が約700年にわたってこの麺を作ってきたといいます。なかでもズーハンケンは今ではハイフォン中心部に近い地域で、赤い米麺と春巻きを包むライスペーパーの主な産地として知られています。 麺を赤くする秘訣は地域ごと、家ごとに違うとされ、資料でも具体的な方法はあまり明かされていません。ハイフォンでは作りたての生麺を熱湯でさっとゆでてスープに入れますが、ほかの地域では乾麺を冷水に数分浸して使うことが多いそうです。ハイフォンの人々が「この麺は地元で食べてこそ」と言う理由のひとつです。
田ガニをついて取るスープ
スープの主役は、田んぼや水路にすむ小さな淡水ガニ、クア・ドン(cua đồng)です。殻ごと細かくついて水でのばし、こした汁でスープを作ります。そのためスープは少し濁り、ほのかに甘いのです。現地紙は、赤茶色の麺と黄金色のスープ、具の彩りが調和した見た目もこの麺の魅力だと書いています。 豚骨スープをベースに、干しエビやトマト、エビの塩辛、揚げエシャロットなどを加える店が多いです。最近はミキサーも使いますが、臼でつくほうがおいしいと信じる家庭もあります。スープには空心菜などの青菜を一緒に煮込むこともあります。
具と野菜
バインダークアには麺とカニスープのほかにもさまざまな具がのります。代表的なのは、ラーロット(lá lốt)の葉で豚肉を包んで焼いたチャー・ラーロット、豚肉団子のモック(mọc)、魚のすり身揚げチャーカー(chả cá)、豚足や豚耳のハムなどで、店ごとに組み合わせが違います。 野菜も欠かせません。ゆでた空芯菜(rau muống)とセリ(rau cần)、水に浮かんで育つマメ科の野菜ラウ・ルット(rau rút)を入れ、ハイフォン近郊ドーソン(Đồ Sơn)の空芯菜にこだわる店もあるそうです。最後に揚げエシャロットを散らして香りを添え、レタスやバナナの茎の千切り、キンゾイ(kinh giới)などの生ハーブともやしを添えて出します。
食べ方と注文のコツ
バインダークアは、店主が器に麺と具を入れ、煮えたぎるスープを注いで出してくれます。卓上の唐辛子ソースや酢漬け唐辛子、ライムやキンカン、エビの塩辛を好みで加えて味を調えましょう。最初にスープの味を確かめ、少しずつ足すのがおすすめです。揚げパンのクワイ(quẩy)を頼んでスープに浸して食べる人も多くいます。 最近の現地紙のハイフォン食べ歩き記事では、1杯5万ドン前後と紹介されていました。具を足すと値段が上がるので、メニューの組み合わせを見て選びましょう。見た目が似ているハノイのブン・リエウ(bún riêu)と違い、幅広の赤い麺を使うと覚えておけば、ハイフォンらしい一杯を選べます。