
ハイフォンのバインミー・カイ
ハイフォンのバインミー・カイ:箸ほどの細いパンにパテと唐辛子ソースだけ
ハイフォンのバインミーは、指2本ほどの幅の細い棒状のパンに自家製パテだけを塗り、ピリ辛の唐辛子ソースを添えます。炭火で焼くこの素朴なおやつの特徴と由来、食べ方をまとめました。
箸より少し太いバインミー
バインミー・カイ(bánh mì cay)は名前のとおり「辛いバインミー」で、棒のように細長いことからバインミー・クエ(bánh mì que=棒のバインミー)とも呼ばれます。ハイフォンではとても愛されていて、「ハイフォンのバインミー」という名前で通ることもあります。 ベトナム語版ウィキペディアは長さ約20cm、太さは箸より少し太い程度と説明し、現地紙は指2本ほどの幅と紹介しています。肉や野菜をたっぷり挟むほかの地域のバインミーと違い、中身はパテだけで、唐辛子ソースを添えて食べます。ベトナムの英字紙は、数あるバインミーの中でいちばん素朴なものかもしれないと表現しました。1〜2本では足りず、何本かまとめて買うのが普通です。
炭火で焼いてカリッと
バインミー・カイのカリカリ感は焼き方から生まれます。現地紙によれば、細いパンに油を軽く塗り、炭火で焼いて表面を固くパリッと仕上げます。パンが細いので中まですぐに熱が通り、皮の割合が高いため、かじると音がするほど香ばしいのです。 現地紙は、熱々でパリッとしたパンに濃厚なパテを塗って出すと描写しています。熱々でパリッとしているうちに食べるのがいちばんなので、買ってすぐ食べる人が大勢います。ベトナムのメディアは、ハイフォンの冬の夜に体を温めてくれる軽食として、海鮮がゆと並んでこの辛い棒パンを挙げたこともあります。制服姿の学生が休み時間に買うおやつとしても有名です。
店で手作りするパテ
中身はパテだけなので、パテの味がそのまま店の腕前になります。現地紙が紹介した作り方では、ゆでて切った豚皮を豚の赤身、レバーと一緒にひき、油で炒めた干しタマネギとニンニクに塩、コショウ、砂糖少々を加えて一緒に炒めます。それから型の底に豚の脂を一層敷き、上に生地をのせて5時間ほど蒸します。 よくできたパテはなめらかでほんのりピンク色を帯び、白い脂の粒が混じり、レバーとニンニクの香りがするそうです。ほとんどの店がパテを手作りしているので、店ごとに少しずつ味が違います。店によっては豚肉でんぶ(ルオック)やバターを一緒に塗ることもあります。
チーチュオン、ハイフォンの唐辛子ソース
バインミー・カイの「カイ(辛い)」を担うのが、ハイフォン式の唐辛子ソースです。現地ではチーチュオン(chí chương)と呼ばれ、唐辛子にトマト、ニンニク、塩を加えて作るとろりとしたソースです。パンの中にかけてくれることも、別に添えて客が好きなだけつけられるようにすることもあります。現地紙の取材に、ある若い客は辛くてもソースが多いほどおいしいと話しています。 ベトナムの報道は、このソースをハイフォン生まれだと紹介しています。チーチュオンという名前はハイフォンに住んでいた中国系住民の言葉から来たという話も伝わっていますが、確かな記録はありません。ハイフォンの人々はバインミー・カイに限らず、いろいろな料理にこのソースを添えます。
由来ははっきりしない、そして食べ方
バインミー・カイがいつ生まれたのかは資料によって異なります。2017年のベトナムの報道は、レーロイ通りのある売り手が約20年前にこのレシピを考えたといわれると書き、2022年の記事では別の店の主人が祖母の代から40年近く売ってきたと話しています。ベトナム語版ウィキペディアは、ハンケン(Hàng Kênh)通りの路地を発祥の地としています。ひとりの考案者を特定することはできません。 安さも魅力です。2017年の記事では1本2千〜5千ドン、最近の記事では3千ドン前後と紹介され、3〜5本で一食になります。ハイフォンを訪れた旅行者が何十本も買って持ち帰る姿もよく見られます。市内のレーロイ(Lê Lợi)通りやハンケン一帯に屋台が多くあります。