
ハロンのチャームック(イカのさつま揚げ) · 写真: Hoangkid (Đặng Thái Hoàng) / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
ハロンのチャームック:石臼で手づきして揚げるイカのさつま揚げ
ハロン湾の旅でいちばん多く買って帰る食べ物が、イカのさつま揚げチャームックです。なぜ機械でなく手でつくのか、どんなイカを使うのか、ホンガイからハロンへ名前が変わったいきさつ、おこわやバインクオンと食べる方法までまとめました。
ハロンを代表するイカのさつま揚げ
チャームック(chả mực)は、イカの身をついて味をつけ、平たく丸めて油で揚げた食べ物で、クアンニン(Quảng Ninh)省ハロン(Hạ Long)を代表する特産品です。外はこんがり、中はぷりぷりで、イカの香りが濃く広がります。 ハロン湾の世界遺産管理機関が運営するサイトは、チャームックをハロンの食のブランドでありクアンニンを代表する味と紹介し、ベトナムの記録機関が選んだ国内の有名特産品50選に入ったと伝えています。ハロン土産の食べ物としても有名です。
なぜ手でつくのか
ハロンのチャームックの最大の特徴は、機械でひかず石臼で手づきすることです。2018年のベトナムの新聞記事によれば、なめらかになるまで練りすぎず、小さなかたまりが少し残るようにつくことで、揚げたときにカリッとして歯ごたえが生まれるそうです。機械で細かくひくとかまぼこのようにつるりとしますが、手でついたチャームックはイカの繊維が感じられます。 ついたイカはコショウと上質な魚醤で味をつけ、薄く丸めてきつね色になるまで揚げます。管理機関のサイトも手づきこそ味を守る要だと強調しています。手でついたチャームックがハロンの本場の味とされるのはそのためです。
どんなイカを使うか
良いチャームックは材料で決まります。2018年のベトナムの報道は、沖から戻った船から買い付けた身の厚いイカを使い、ハロン沖のイカはバターのようになめらかでもちもちし、香りがよく、ベトナム中部や南部のイカより塩気が少ないと紹介しました。 ハロン湾の管理機関のサイトは、夏をコウイカ(mực mai)とヤリイカ類(mực ống)の質が一年でいちばん良い季節に挙げ、湾でとれたいちばん新鮮なイカを使うと強調しています。夏にハロンを訪れれば作りたてのチャームックに出会える可能性が高いでしょう。
ホンガイからハロンへ
チャームックがいつ生まれたのかは資料によって違います。ハロン湾の管理機関のサイトは、暮らしが苦しかった20世紀初めから地元の人々が作り始めたものの、正確な始まりは誰も知らないとしています。一方、2018年のベトナムの新聞記事は、1940年代にホンガイ(Hòn Gai)でイカの揚げ物を売っていたある食堂の夫婦が、商売が苦しくなってイカのさつま揚げを考案し、1946年にレシピを完成させたという一家の話を伝えています。 名前にもいきさつがあります。同じ記事によれば、1993年にホンガイの町がハロン市になってから、この料理は「チャームック・ハロン」と呼ばれるようになりました。観光情報は、今もホンガイ側のハロン1市場(chợ Hạ Long I)などでチャームックを買えると案内しています。
おこわやバインクオンと一緒に
ハロンの人々は、チャームックをそのまま食べるより、ご飯や麺と一緒に食べます。いちばん多い組み合わせは、おこわと食べるソイ・チャームック(xôi chả mực)と、薄く蒸した米の皮バインクオン(bánh cuốn)に添えるバインクオン・チャームックで、クアンニン式の魚醤や唐辛子ソースにつけて食べます。ハノイではバインクオンにシナモン風味の豚ハムを添えますが、ハロンではチャームックがその役を担います。 現地メディアは、早朝に店を開けて午後1時ごろには売り切れるバインクオン・チャームックの屋台を紹介しています。もとは手作業だけで作っていましたが、需要が増えて今は機械も一部使うそうです。2018年の記事は、昔はチャームックをまず先祖に供えてから家族が食べたとも紹介しています。