歴史
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京の三大漬物のひとつ、すぐき · 写真: 農林水産省 (Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries) / CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)

京の三大漬物のひとつ、すぐき · 写真: 農林水産省 (Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries) / CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)

日本京都

京漬物の三大漬物:千枚漬け・しば漬け・すぐきに込められた京都の物語

海から遠い古都・京都では、野菜を長く保存して食べる漬物が大きく発達しました。御所の料理人が生んだかぶらの漬物、平家の悲運の女院の伝説が残るしそ漬け、社家の村で守られてきた発酵漬物まで、京の三大漬物の由来と味わい方をまとめました。

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なぜ京都は漬物の町になったのか

京漬物は、京都で育った野菜を使い京都で作られた漬物の総称で、京料理と並ぶ京都の食文化の象徴とされます。京都府漬物協同組合が「京漬物」を地域団体商標として登録しているほどです。 漬物が発達した理由はいくつかあります。海から遠い盆地で海産物が手に入りにくく、野菜の栽培と保存の技術が磨かれたこと。肉や魚を避ける寺院の精進料理も漬物文化を育てました。さらに冬の京都の底冷えと高い湿度は、雑菌の繁殖を抑えつつ発酵を保つため、漬物づくりに向いているといわれます。なかでも千枚漬け・しば漬け・すぐきが京の三大漬物と呼ばれます。

千枚漬け:御所の料理人が生んだ冬のかぶら漬け

千枚漬けは京都の冬を代表する漬物です。京野菜の大きな聖護院かぶを紙のように薄く切り、昆布や唐辛子とともに甘酢に漬けたもので、一樽に千枚以上入るほど薄く切ることから「千枚漬け」の名がついたと伝えられます。 由来は比較的はっきりしていて、京都御所に仕えた料理人・大黒屋藤三郎が1865年に考案したとされます。もとは薄切りのかぶらを乳酸発酵させた黄みがかったものでしたが、色が変わり匂いが出るため、今は昆布のうま味と酢で味をつける製法が主流です。かぶらの収穫に合わせ、おおむね11月から3月にかけてだけ作られ売られる季節限定の漬物です。

しば漬け:大原の赤じそと悲運の女院の伝説

しば漬けは、なすなどの野菜を赤じそとともに塩漬けし、乳酸発酵させた鮮やかな紫色の漬物です。もとは「紫葉漬け」と呼ばれ、京都の北の山里・大原は赤じその産地として知られていました。 この漬物にはこんな伝説が残ります。平安時代の末、平家が滅んだあと大原の寂光院に隠棲した建礼門院(平徳子)が、里人から贈られた漬物をたいへん気に入り、紫の葉にちなんで名づけたというものです。伝統的にはなすが主役でしたが、いま広く売られているのは、きゅうりを中心に生姜やみょうがなどを加えて調味酢に漬けた「調味しば漬け」が多くなっています。

すぐき:上賀茂の社家が守ってきた酸っぱい発酵漬物

すぐきは、カブの変種であるすぐき菜を塩漬けにして乳酸発酵させた漬物で、京都でしか作られていません。栽培は安土桃山時代ごろに始まったとされ、上賀茂神社の社家が広めたという説があります。1804年には種子の持ち出しが禁じられるほど大切に守られ、明治時代に深泥池周辺で売られ始めてから広く知られるようになりました。 長い木の棒の重みで樽を押す「天秤押し」で水気を抜き、温めた室で約8日間発酵させます。独特の酸味があるため好みは分かれますが、この過程で生まれる乳酸菌「ラブレ菌」が知られるようになり、健康食としても注目されました。

味わい方と買い方:錦市場と旬

京漬物は何よりも白いご飯のお供です。千枚漬けはそのまま箸休めに、すぐきはカブの部分を半月切りに、葉は細かく刻んで醤油を少しかけ、ご飯にのせたり茶漬けにしたりする食べ方が紹介されています。酒の肴にもよく合います。 いろいろ食べ比べたいなら、京都の中心部・錦市場界隈が便利です。木の樽に漬物を並べた店が多く、味見をして選べます。しば漬けのふるさとを訪ねたいなら、寂光院のある大原まで足をのばすのもいいでしょう。千枚漬けとすぐきは冬が旬なので、11月下旬以降なら漬けたてに出会える可能性が高くなります。最近は真空パックも多いものの、ほとんどは要冷蔵なので帰国の日程に合わせて買いましょう。

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