歴史
フエ・ドンバ市場のブンボーフエ · 写真: Chainwit. / CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)

フエ・ドンバ市場のブンボーフエ · 写真: Chainwit. / CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)

ベトナムフエ

ブンボーフエ(Bún bò Huế):レモングラスと海老の塩辛が生んだ赤いスープ、国の無形遺産になるまで

フエの人は単に「ブンボー」と呼ぶこの麺は、太い米麺、赤いスープ、レモングラスの香りが特徴です。由来の説、本来の具、フエ流の食べ方、2025年の国の無形文化遺産指定までまとめました。

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フエではただの「ブンボー」

ブンボーフエ(Bún bò Huế)は、ベトナム中部の古都フエ(Huế)を代表する麺料理です。いまではベトナム全土や海外のベトナム人社会でもよく見かけますが、当のフエの人々はこの麺を単に「ブンボー(bún bò)」、もう少し正確には「ブンボー・ゾーヘオ(bún bò giò heo、牛肉と豚足の米麺)」と呼びます。 「フエ」という呼び名は他の地域で付けられたものです。ベトナム語版ウィキペディアは、フエの外で「ブンボーフエ」や「フエ発祥のブンボー」と呼ぶのは起源を示すためだと説明し、英語版ウィキペディアもサイゴン風・ハノイ風と区別するための名前だと記しています。 ですからフエの店のメニューに「ブンボー」とだけ書いてあれば、それがこの麺です。

宮廷の麺か、村の麺か

ブンボーフエがいつどのように生まれたかについて確かな記録はなく、いくつかの説が伝わっています。英語版ウィキペディアは、この料理がグエン氏の諸侯がフエを治めていた16世紀末〜17世紀初めに発達したと説明し、二つの話を紹介しています。 一つは宮廷料理説です。最初は王族や高官のために作られ、のちに屋台や家庭へ広まったというもの。もう一つは、麺で有名なヴァンクー(Vân Cù)村の伝説の女性「コーブン(Cô Bún)」が始めたという話です。 ヴァンクー村は400年以上米麺を作ってきた村として知られ、その麺は白く弾力があり、スープを吸っても形を保つと評価されています。どちらの説が正しいにせよ、都の繊細な食文化と村の麺職人の技が一緒にこの麺を生んだと考えられます。

赤いスープと太い麺、本来の具

ブンボーフエのスープは、牛骨とすね肉をレモングラスと一緒に煮出し、エビを発酵させた塩辛「マムルオック(mắm ruốc)」と砂糖で味を調え、煮る途中でラー油を加えて作ります。英語版ウィキペディアは、味の中心をレモングラスとエビの塩辛とし、辛味・酸味・甘味・塩味・うま味が一つにまとまると説明しています。 麺はフォー(phở)やブンリエウ(bún riêu)の麺より太く、断面が丸いのが特徴です。 具についてベトナム語版ウィキペディアは「本来のブンボーには生に近い牛肉、血の塊、チャールア(chả lụa、ベトナム風ハム)は入らず、豚足、牛すね肉、牛すじが入る」と記しています。ただ今は店によって血の塊やカニのつみれ(chả cua)を加えることが多く、英語版ウィキペディアも血の塊をよくある材料として挙げています。

フエ流の食べ方

ベトナム語版ウィキペディアによると、ブンボーフエには薄切りの小ねぎと玉ねぎ、ライム、唐辛子入りの魚醤、フエ風の唐辛子だれを添えます。面白いのは「昔のフエの人はブンボーを生野菜と一緒に食べなかった」という一節です。野菜を添えるとしても、細切りのバナナの花、少しのミント(húng lủi)、ラウラム(rau răm)程度だったそうです。 今はバジル、シソ、ンゴーガイ(ngò gai)、もやしまでたっぷり出す店も多いですが、フエらしい味を感じたいなら、バナナの花とライムだけを入れてまずスープを味わってみるのも一つの方法です。 食べる時間帯も違います。英語版ウィキペディアは、フエではブンボーは主に朝に食べるしっかりした食事だと説明しています。他の大都市では一日中いつでも食べますが、フエに行くなら朝ごはんとして味わうのがおすすめです。

商標から国の無形遺産へ

ブンボーフエは、名前と知識の両方が公式に保護されています。ベトナム語版ウィキペディアによると、2016年11月25日にベトナム知的財産局が「ブンボーフエ」の証明商標登録証を交付しました。 2025年にはさらに一歩進みました。ベトナム文化スポーツ観光大臣が決定第2203号に署名し、「ブンボーフエに関する民間の知識」を国の無形文化遺産リストの「民間知識」分野に加えたのです。決定は2025年6月27日に署名され、フエ市文化スポーツ局が7月5日に発表しました。報道は、材料選びから調理技術、食べ方まで何世代にもわたって受け継がれた知識であることを指定の理由に挙げました。 フエでブンボーを食べる場所を探すなら、ドンバ市場(Chợ Đông Ba)周辺のように地元の人が朝食をとる市場のあたりを歩いてみるとよいでしょう。

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