
ダナン・ナムオー漁村のかご舟 · 写真: Bánhmỳchảo / CC0 (Wikimedia Commons)
ナムオーのゴイカー:ダナンの漁村に伝わる生魚の和え物、その食べ方
ハイヴァン峠のふもとの漁村ナムオーでは、明け方に獲れた小魚を生のまま和え、山の野草と一緒にライスペーパーで巻いて食べます。乾いたゴイと汁気のあるゴイの違い、魚の汁で作るタレ、初めての人向けのコツをまとめました。
ハイヴァン峠のふもと、漁村ナムオー
ナムオー(Nam Ô)は、ダナン中心部から海沿いに北西へ進み、ハイヴァン(Hải Vân)峠の上り口に近いリエンチエウ(Liên Chiểu)地区の海辺にある古い漁村です。この村はまずヌクマム(魚醤)で有名で、ナムオーのヌクマム作りは2019年にベトナム文化スポーツ観光省から国の無形文化遺産に指定されました。 そしてこのヌクマムなしには語れない村の料理が、生魚をタレで和えて巻いて食べるゴイカー(gỏi cá)です。村の漁師たちは、何百年も前から伝わり、各家庭の味として受け継がれてきた料理だと話します。ダナンの人にとって「ナムオーのゴイカー」は、生魚を愛する海の人々の誇りが詰まった名前なのです。
明け方に獲れた指ほどの小魚
ナムオーのゴイカーの主役として最も有名なのはカーチック(cá trích)です。ニシンと訳されることが多いものの、実際は指2本ほどの小さな青魚で、味がやさしく食べやすいため一番よく使われます。ほかにイワシの仲間(cá mòi)、カタクチイワシ(cá cơm)、カートップ(cá tớp)などの小魚も使います。 大切なのは鮮度。魚は毎日獲って明け方に陸揚げし、頭と尾を落として骨を外し、小さく切ってすぐに下ごしらえします。生で食べる料理だけに、その日に獲れた魚を使うのが基本です。旅行者にとっても「今日入った魚」を使う店を選ぶことが、おいしさと安心のための第一歩です。
乾いたゴイと汁気のあるゴイ
ナムオーのゴイカーは同じ魚から二通りに作られます。乾いたゴイ(gỏi khô)は、魚の身を酢とライム汁に少し漬けて軽く火を通したような状態にし、ぎゅっと絞って水気を切ったあと、生姜・ガランガル・ニンニク・唐辛子で10分ほど味をなじませ、炒った米粉やトウモロコシ粉のティン(thính)と炒りごまをまぶして仕上げます。ほろほろとして香ばしいのが特徴です。 汁気のあるゴイ(gỏi ướt)は、刻んだ魚を生姜・ガランガル・ニンニクと和え、ヌクマムを使ったつけ汁に浸して出します。しっとりして酸味が立つタイプです。初めてなら生臭さが少なく食感がはっきりした乾いたゴイから始めるのが無難で、慣れたらタレがたっぷり染みた汁気のあるゴイも味わってみてください。材料の配合は資料によって少しずつ違います。
魚の汁で作るタレと、ハイヴァンの山の野草
ナムオーのゴイカーの味を決めるのはタレだとよく言われます。乾いたゴイには、魚をさばくときに出た汁を煮立て、ナムオーのヌクマム、唐辛子粉、ガランガルなどを加えてとろりとさせ、食べる直前に砕いたピーナッツとごまを振ったタレを添えます。汁気のあるゴイは、ナムオーのヌクマムにライム汁、酢、砂糖、刻んだ唐辛子とニンニクを合わせたタレを使います。 もう一つの個性は野菜です。もやしやレタス、薄切りの青マンゴーといった定番に加え、ハイヴァン峠周辺の山で摘んだ野草が出てくるのが村の流儀だと現地メディアは伝えています。マンゴーの若葉やディンラン(đinh lăng)の新芽など、ほろ苦く渋みのある葉が生魚の生臭さを抑えてくれます。酸っぱいスターフルーツや青バナナもおなじみの付け合わせです。
食べ方と初めての人へのコツ
食べ方はダナンのほかの巻き物料理と似ています。ライスペーパー(または薄いバインダーネム)を広げて野菜を何枚か敷き、ゴイカーをのせてくるりと巻き、乾いたゴイなら別添えのタレにつけて食べます。汁気のあるゴイも同じように巻いてタレにつけるか、現地の人のように魚と野菜、マンゴーを一つの器に入れてタレをかけ、そのまますくって食べることもあります。焼いたライスペーパーを割って添えるのもおすすめです。 ナムオー村やその周辺の海沿いの道にはゴイカーを出す食堂がいくつもあり、ダナン市内にも「ゴイカー・ナムオー」を看板に掲げる店があります。生魚なので衛生的に見える店、客が多く回転の速い店を選び、妊娠中やおなかが弱い人は無理をしないほうがよいでしょう。