
ホイアンのカオラウ · 写真: Dragfyre / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
カオラウ:ホイアンでしか本物が食べられないという灰汁麺の伝説と実際
「ホイアンの外では本物は食べられない」と言われる麺、カオラウ。木灰の灰汁で作るコシの強い麺、古井戸の水の伝説、ミークアンとの違い、正しい混ぜ方・食べ方までまとめました。
「高い楼閣」で食べた麺
カオラウ(Cao lầu)という名前は、漢字の「高」と「楼」にあたります。よく伝わる説明は、昔のホイアンの商人たちが店の2階に上がり、通りの景色を見下ろしながら食べた上等な料理だったからこの名が付いた、というものです。 ホイアンは16〜17世紀ごろ日本や中国の商人が行き交った国際貿易港で、1999年には旧市街全体がユネスコ世界遺産に登録されました。カオラウが登場したのも17世紀ごろと紹介されることが多いです。ただ起源については、中国商人が持ち込んだという説、日本人町の影響を受けたという説、さらに前のチャンパ時代に結びつける説などが並び、資料によって説明が異なります。確かなのは、多様な文化が混じり合った港町ホイアンが育てた麺だということです。
木灰の灰汁と古井戸の伝説
カオラウの要は麺です。米を木灰から作った灰汁(nước tro)に浸して作るため、麺はもっちりと弾力があり、灰色がかった茶色や黄色みを帯びます。麺は数時間浸してから洗い、ゆでて使います。 ここには有名な伝説があります。灰汁はホイアン沖のチャム島(Cù Lao Chàm)に生える特定の木の灰で作り、水はホイアンの古井戸バーレー(Bá Lễ)の井戸から汲まなければ本物のカオラウにならない、というもの。だから「ホイアンの外ではカオラウはほとんど見かけない」と言われるのです。 ただしベトナム観光総局も、今ではほとんどの店がこの昔ながらの方法をそのまま守ってはいないだろうと説明しています。伝説は伝説として楽しみつつ、灰汁麺ならではの食感こそがこの麺の個性だと覚えておけば十分です。
ミークアンと何が違う?
同じ旧クアンナム地域の麺なのでダナンのミークアンと混同されがちですが、両者はかなり違います。最大の違いは麺。ミークアンは米の生地を蒸して切った幅広で柔らかい麺を、クチナシやウコンで黄色くすることが多いのに対し、カオラウは灰汁で処理するためずっと硬くてコシが強く、色も灰色がかった茶色に近いのです。 具も違います。カオラウには五香粉・砂糖・醤油・ニンニクなどで味付けした豚肉を使い、中華風チャーシュー(xá xíu)に似た味わいです。そして生麺の一部を四角く切ってカリカリに揚げた「麺のクルトン」をのせるのがカオラウならではの特徴。スープは豚骨から取り、麺が湿る程度に少しだけかけます。
カオラウの正しい食べ方
カオラウの一杯は、ふつう次の順で盛られます。器の底にレタス、もやし、ミント、シソ、パクチーなどの生野菜とハーブを敷き、その上に麺、さらに薄切りか手で裂いた豚肉をのせます。そこへ少量のスープをかけて麺を湿らせ、カリカリの揚げ麺とハーブを最後にのせて完成です。 食べる前には必ず底から上下をよく混ぜてください。底の野菜がスープと味を吸って麺となじんでこそ本来の味になります。ライムを搾り、唐辛子やチリジャムを好みで加えましょう。カオラウは熱々で出す麺ではなく、たいていぬるめか常温に近い温度で出てくるので、冷めていても驚かなくて大丈夫。揚げ麺は湿気る前に先にいくつか味わうのがコツです。
どこで食べるかと注文のコツ
カオラウはホイアン旧市街のどこでも簡単に出会えます。トゥボン川近くの中央市場の内外にある食堂街、旧市街の路地の小さな食堂、川沿いのレストランまで、ほとんどの店のメニューにあります。市場側は地元流にさっと、川沿いは景色と一緒にゆっくり食べるのに向いています。 注文は「Cao lầu」の一言で十分で、豚肉の代わりにエビをのせたメニューがある店もあります。逆にダナンやホーチミンなどほかの都市ではカオラウを出す店は多くありません。ホイアン滞在中に一度は食べたいと言われるのも納得です。同じ日にミークアンも食べてみると二つの麺の違いがはっきり分かり、食べ比べの楽しさがあります。