
ニャチャン風の魚の米麺(ブン・カー) · 写真: Harry Pham / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
ブン・カー・スア:クラゲがのったニャチャンの朝の魚米麺
澄んだ魚のスープに弾力のあるさつま揚げ、コリコリのクラゲをのせたニャチャンの朝の麺です。海辺の町ニャチャンがこの一杯に詰まっている理由、スープ・魚のすり身・クラゲの話、現地流の味の足し方をまとめました。
ニャチャンでこそ出会える一杯
ブン・カー(bún cá)、つまり魚をのせた米麺はベトナム各地で食べられますが、そこにクラゲ(sứa)を加えたブン・カー・スア(Bún cá sứa)はニャチャンを代表する名物とされます。ベトナム観光総局はこの麺をニャチャンで最も有名な料理の一つとして紹介し、町の外ではなかなか見つからないと説明しています。 ブン・カーは中部・中南部のほかの海辺の町でもよく食べられ、町ごとに作り方や材料が少しずつ違います。ニャチャン風は魚の頭と骨でとった澄んだスープに、さつま揚げや魚の身、トマトやパイナップルを入れた麺が基本で、そこにクラゲをのせたのがブン・カー・スアです。海を前にした町らしく、一杯の麺に魚と海の幸がまるごと詰まっています。
澄んで甘みのある魚のスープ
ブン・カー・スアのスープは肉や骨ではなく海の魚でとります。ベトナムの日刊紙VnExpressは、ニャチャン風のスープを「カーリエット(cá liệt)」という小魚で煮出すと紹介しています。指3本ほどの長さで、尾の部分がリボンのようにくびれた魚で、これでとったスープは澄んでさっぱりとしながら、ほのかな甘みがあります。そこに魚のすり身から出る旨みが加わり、スープに奥行きが出ます。 資料によってはサバ類やマグロ類などほかの海の魚でスープをとると説明するものもあり、店ごとに使う魚は少しずつ違うかもしれません。共通するのは脂が少なく透き通ったスープだということ。濃厚な肉スープの麺に慣れている人なら、この軽やかでさわやかな味がなぜ朝ごはんとして愛されるのか、すぐに納得できるはずです。
ぷりぷりのさつま揚げとコリコリのクラゲ
具の中心はチャー・カー(chả cá)、つまり魚のすり身です。サワラ類(cá thu)やカマス類(cá nhồng)などの海の魚の骨を外して細かくつぶし、弾力が出るまで練ってから小さく丸め、蒸すか揚げて作ります。蒸したものはスープを吸ってあっさり、揚げたものは香ばしさを添え、両方をのせてくれる店もあります。 そして名前の主役であるクラゲ。VnExpressによると、親指の先ほどの大きさの乳白色のクラゲで、漁師が沖の島のほうから採ってくるそうです。さっと湯通ししてコリコリの食感を生かしたクラゲが、柔らかいすり身や澄んだスープと好対照をなします。クラゲ独特の食感は最初は不思議に感じるかもしれませんが、まさにその食感が目当てでこの麺を頼むという人も少なくありません。
現地流の味の足し方
ブン・カー・スアには、レタスやもやし、ハーブなどの生野菜が添えられます。野菜をスープに浸して少ししんなりさせ、ライムを搾って生唐辛子を入れ、酸っぱく辛く味を調えるのが基本です。ベトナム観光総局はこの麺の味を「酸っぱくて、辛くて、少し磯の塩気がある」と表現しています。 好みで、エビを発酵させた塩辛マムルオック(mắm ruốc)を少し加えて食べる人もいます。最初は香りが強く感じられますが、スープに溶かすとまろやかになって旨みを足してくれます。初めてならスプーンの先に少しだけ入れて、様子を見ながら量を増やすのがおすすめ。店によっては甘みのあるヌクマムだれやラー油を置いているので、卓上の調味料を一つずつ試して好みの組み合わせを見つけてください。
いつ、どこで食べるか
ブン・カー・スアは何より朝の料理です。ニャチャンの人々は早朝に熱々の一杯で一日を始めるので、旅の日程に朝ごはんの一食をこの麺のために空けておくのがおすすめです。ビーチ沿いのホテル街より、市場の周りや住宅街の路地の小さな食堂のほうが地元の雰囲気を味わいやすいでしょう。 値段は1杯2万5千〜4万ドン前後と紹介されることが多いです。メニューに「bún cá」しかなければ、クラゲを入れてほしいと「コー・スア(có sứa)」と伝えてみてください。逆にクラゲが苦手なら、すり身だけのブン・チャー・カー(bún chả cá)を選べばOK。朝の海辺を散歩したあとの澄んだ魚の麺は、ニャチャン旅行のささやかな楽しみです。