
バインカンを焼く土の型とふた · 写真: VinhNguyen.1257 / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
ニャチャンのバインカン:土の型で一つずつ焼く海鮮ミニ米粉焼き
小さな土の型に米の生地を流し、うずらの卵やエビ、イカをのせて炭火で一つずつ焼き上げるバインカン。夕暮れのニャチャンの路地を彩るこの軽食の焼き方、ニャチャン流の海鮮トッピング、タレと付け合わせ、注文のコツをまとめました。
バインカンとはどんな料理?
バインカン(Bánh căn)は、米粉の生地を小さな丸い土の型に一つずつ流して焼く、手のひらより小さな米粉焼きです。丸い形なので、初めて見るとミニパンケーキやたこ焼き器で焼いたものを思い浮かべる旅行者も多いでしょう。何個かを皿に盛り、タレに浸して食べる軽食兼食事です。 バインカンはベトナム中南部の各地で食べられていますが、ベトナム観光総局はニャチャンのバインカンを特に取り上げ、ここのものは独特だと紹介しています。観光総局が特に挙げるのはトッピングの幅広さで、うずらの卵に加え、エビやイカなどの海鮮から干し肉・生の肉までそろいます。とくに海鮮をのせるのは海辺の町らしいアレンジです。
炭火の上の土の型で一つずつ
バインカンの屋台の前に立つと、まず目に入るのが炭火のコンロの上に並んだ小さな土の型とふたです。生地を一つひとつの型にお玉で流し、ふたをして焼くので、一つずつ焼くぶん時間がかかります。注文して少し待つあいだ、焼いている様子を眺めるのもこの料理の楽しみです。 よく焼けたバインカンは、縁がカリッとして、真ん中は柔らかく少しもっちり。土の型は熱をゆっくり均一に伝え、底はこんがり、上はしっとりと焼き上げます。だからバインカンは受け取ったらすぐ、温かいうちに食べるのがいちばんおいしいのです。
うずらの卵からイカまで、ニャチャン流トッピング
生地が固まり始めたら具をのせます。ニャチャンで特に人気なのがうずらの卵(trứng cút)。小さな焼き物の上に小さなうずらの卵がぴったり収まる姿がかわいらしく、ベトナム観光総局も、小さな卵が小さな焼き物によく合うと紹介しているほどです。 そこにニャチャンらしい海鮮が加わります。エビとイカが代表格で、ベトナムの旅行資料によると、店によっては子ダコやシジミ(hến)をのせるところもあるそうです。牛肉やひき肉、干し肉などの肉系トッピングもあります。屋台では具ごとに値段が分かれていることが多いので、初めてならうずらの卵と海鮮を混ぜて何個かずつ頼み、食べ比べるのがおすすめ。
タレに浸して食べる:タレと付け合わせ
バインカンはそのまま食べるより、タレにたっぷり浸して食べる料理です。ニャチャンで最も一般的なのは甘酸っぱく割ったヌクマムだれで、ニンニクと唐辛子でピリ辛にする店もあります。店によってはカタクチイワシの魚醤だれマムネムや、魚でとった温かいスープをタレのように添えることもあります。何個かをタレの器に沈めておき、染みたものから引き上げて食べるのが現地流です。 付け合わせも一緒に出てきます。ベトナム観光総局は、豚肉団子、揚げた豚皮、刻みねぎ、千切りの青マンゴーをタレで和えた付け合わせを紹介しています。シャキッと酸っぱい青マンゴーと香り高いハーブが油っぽさを和らげ、何個食べても飽きません。
いつ、どこで食べるか
バインカンは主に夕方から夜にかけて売られる料理です。日が傾くころに炭火をおこす屋台が一つ二つと増えていくので、昼より夕方の散歩がてら探すのがおすすめ。ニャチャン市内では、ソムモイ(Xóm Mới)市場一帯や、グエンティミンカイ(Nguyễn Thị Minh Khai)通り、ホアンホアタム(Hoàng Hoa Thám)通りの周辺がバインカンの店の多い場所として紹介されています。ベトナム観光総局は市内のあちこちで簡単に見つかるとも説明しています。 値段は屋台で一皿1万2千〜2万5千ドン、座って食べる店では3万〜6万ドンほどと資料によって差があります。注文するときは具の名前と個数を伝えればOK。うずらの卵は「チュン・クット(trứng cút)」、エビは「トム(tôm)」、イカは「ムック(mực)」です。まず味見して、気に入った具をさらに何個か追加するのがバインカンを楽しむコツです。