歴史
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生野菜と甘酸っぱいタレを添えたカントーのバインコン · 写真: Vietcuongdao / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

生野菜と甘酸っぱいタレを添えたカントーのバインコン · 写真: Vietcuongdao / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

ベトナムカントー

バインコン:クメール人のエビ揚げ餅がカントーの屋台名物になるまで

小さなおたま形の型に生地を流し、エビをのせてこんがり揚げるバインコンは、カントーを代表する屋台料理です。メコンデルタのクメール人社会から始まった由来、作り方、からし菜で包む地元流の食べ方をまとめました。

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おたま形の型から生まれる揚げ物

バインコン(Bánh cống)は、米粉の生地に緑豆と豚ひき肉を入れ、上に殻をむいたエビをのせて油でたっぷり揚げた餅です。外はこんがりカリッと、中はやわらかく香ばしい味わい。手のひらより少し小さい円筒形で、独特の形なのでひと目で分かります。 この形はバインコンを作る道具から生まれます。長い柄の付いた小さな円筒形の金属の型に生地と具を入れ、型ごと煮立った油に入れて揚げるからです。ベトナムの観光案内は、「コン(cống)」という名前もこの円筒形の型から来たと説明しています。ベトナム・ニュースはバインコンをカントーの食の象徴の一つとして紹介し、今では旅行者に最も人気のある屋台料理の一つだと伝えています。

クメール・クロム社会から来た料理

バインコンのルーツは、メコンデルタに古くから暮らすクメール系住民、いわゆるクメール・クロム(Khmer Krom)の人々にあると言われています。クメール語では「ノム・カポン(nom kapong)」と呼びます。 どこで始まったかは資料によって異なります。英語版ウィキペディアはカントーの南、ソクチャン(Sóc Trăng)省のミースエン(Mỹ Xuyên)を発祥地とし、その後メコンデルタ全体に広まったと説明しています。一方ベトナム・ニュースは、カントーの古老ファム・ラム・キエウ(Phạm Lam Kiều)さんの話として、20世紀初めに南部のクメール人社会が身近な材料で作り始めた料理だと紹介しています。いずれにしても、米と緑豆、川エビというメコンデルタのありふれた材料から生まれた料理であることは同じです。

作り方:カリッと感の秘密

ベトナム・ニュースが紹介するカントー式の作り方はこうです。まずうるち米ともち米をぬるま湯にひと晩浸してから細かくひき、揚げたときによりカリッとするよう小麦粉を少し混ぜて生地を作ります。 具は2種類が基本。蒸してつぶした緑豆と、青ねぎ・エシャロット・にんにく・塩・砂糖・ヌックマム・こしょうで炒めた豚ひき肉です。型に生地を薄く敷いて具を詰め、さらに生地をかぶせ、いちばん上に尾を残して殻をむいたエビをのせます。尾を残すのは、揚げたあとの見た目をよくするためだそうです。 こうして詰めた型を煮立った油に入れ、表面が黄金色にカリッとなるまで揚げます。外はカリッと、中はやわらかいのが上手に揚がったバインコンです。

地元流の食べ方:からし菜で包んで

バインコンはそのままつまむより、野菜で包んでタレに付けて食べる料理です。皿にはふつう、からし菜(cải bẹ xanh)とレタス、独特の香りのドクダミ(rau diếp cá)やバジルなどの香草が山盛りで添えられます。 食べ方は簡単。からし菜かレタスを1枚広げ、バインコンを半分に割ってのせ、香草と細切りのマンゴー、きゅうりを重ねてくるりと巻きます。これを、ライム果汁か酢、砂糖、刻みにんにく、塩、唐辛子で作った甘酸っぱいタレに付けて食べます。タレに大根とにんじんの細切りの甘酢漬けを浮かべる店も多くあります。ほろ苦いからし菜と油の香ばしさ、甘酸っぱいタレが合わさり、いくつ食べても重くなりません。 バインコンはもともと大きな宴や祭りに出す料理だったので、今も家族や地域の大切な集まりによく登場します。

カントーのどこで食べるか

ベトナム・ニュースは、バインコンを味わえる場所としてカントー中心部のアンビン(An Bình)市場とスアンカイン(Xuân Khánh)市場の周辺、そして老舗が集まるリートゥチョン(Lý Tự Trọng)通り周辺を挙げています。アンビン市場のあたりはカイラン水上マーケットへの通り道でもあるので、早朝に水上マーケットを見たあとに立ち寄るのにぴったりです。 バインコンは揚げたてがいちばん。あらかじめ揚げて積んである店より、注文を受けてから型を油に入れる店を選ぶと、カリッと感がまるで違います。一人2〜3個で軽い食事になり、大勢ならおやつ感覚で分け合うのもいいでしょう。 今ではメコンデルタの各地やホーチミンでも見かけますが、からし菜と香草をたっぷり添えたカントー式のひと皿は、やはり現地で味わうのがいちばんです。

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