歴史
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フーコックのヌックマム工房に並ぶ木の発酵樽 · 写真: Frank Fox / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

フーコックのヌックマム工房に並ぶ木の発酵樽 · 写真: Frank Fox / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

ベトナムフーコック

フーコックのヌックマム:船上で塩をして木樽で1年、島の名を冠した魚醤

フーコックはベトナムで最も名高いヌックマムの産地です。獲れたその場で船上で塩をするカタクチイワシ、巨大な木樽での1年以上の発酵、島の名を守る原産地保護まで。島のヌックマムの物語と工房見学、持ち帰りのコツをまとめました。

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島の名がそのまま品質の証

ベトナム南西部のタイランド湾に浮かぶフーコック(Phú Quốc)島は、今ではリゾートとして有名ですが、ベトナムの人々にとっては昔から「ヌックマムの島」でした。現地紙は、この島のヌックマム作りには200年を超える歴史があると伝えています。1945年ごろまではほとんどが手作業で自然発酵させる小規模な方式で、その後生産が大きく伸びました。 今も島のヌックマム工房、ベトナム語で「ニャートゥン(nhà thùng・樽の家)」は、島の西側の中心地ズオンドン(Dương Đông)と南の港アントイ(An Thới)周辺に集まっています。2025年7月のニャンザン紙の記事によると、フーコック・ヌックマム生産者協会には樽を持つ生産者50軒が加盟し、島全体で7千を超える木の発酵樽があり、年に2千万〜3千万リットルが造られています。島は2025年7月の行政改革で、アンザン(An Giang)省の特別区(đặc khu)になりました。

獲れたらすぐ船上で塩をする

フーコックのヌックマムの原料はたった二つ、カタクチイワシ(cá cơm)と塩です。島の周りの海ではカタクチイワシが一年中獲れ、なかでも黒っぽい「カーコム・タン(cá cơm than)」、赤みを帯びた「カーコム・ドー(cá cơm đỏ)」、縞模様のある「カーコム・ソックティエウ(cá cơm sọc tiêu)」などが良い原料とされます。 最大の特徴は塩をするタイミングです。フーコックでは港に持ち帰ってから漬けるのではなく、網を引き上げたらすぐ船の上で洗って塩と混ぜます。熱帯の海で魚が傷む前に、鮮度をそのまま閉じ込めるためです。塩は島では採れないため、ベトナム中部の海岸から運んだものを使います。こうして船上で塩漬けにされたイワシは港に揚がるとすぐ工房に運ばれ、樽に詰められます。

ボイロイの木樽で1年以上

工房に入ると、大人の背丈をはるかに超える巨大な木樽がずらりと並んでいます。樽は主に「ボイロイ(bời lời)」という木で作られ、太いたがでしっかり締められています。ニャンザン紙によれば、樽一つにカタクチイワシ12〜15トンが入ります。 塩漬けのイワシを樽に詰め、12〜15か月(資料によっては10〜15か月)自然発酵させます。その間に魚のたんぱく質がゆっくり分解され、澄んだ琥珀色の液体がたまります。樽の下から最初に取り出すのが、最も濃い原液「ヌックマム・コット(nước mắm cốt)」です。 ベトナムのヌックマムは「ドー・ダム(độ đạm・たんぱく度)」という数字で濃さを表します。フーコックの原液はふつう30度台半ば、高いものは40度を超えると紹介され、数字が大きいほどうま味が濃く、値段も高くなります。

島の名を守る原産地保護

「フーコック」という名前そのものが品質の象徴になったため、名前を守ることも大切になりました。2001年、フーコックのヌックマムはベトナムで地理的表示の保護を受け、2012年10月には欧州委員会規則(No 928/2012)によってEUの原産地呼称保護(PDO)に登録され、EUで保護されたベトナム初の製品になりました。登録証は2013年にブリュッセルで手渡されたため、この年を保護の年とする資料もあります。 2021年にはベトナム文化スポーツ観光省が「フーコックのヌックマム作り」を民間知識の分野で国家無形文化遺産に指定しました。それでも島の外で造った製品に無断で「フーコック」の名を付けた偽物が後を絶たないと現地メディアは指摘しています。本物が欲しいなら、島内の工房か認証マークのある製品を選ぶのが安心です。

工房見学と飛行機での持ち帰り方

ズオンドンとアントイの周辺には、旅行者が入って木樽や作業の様子を見学できる工房がいくつもあります。発酵の強い香りが立ちこめていますが、樽の間を歩きながらたんぱく度の違うヌックマムを試飲し、その場で買うことができます。 一番の注意点は飛行機です。ヌックマムのようなにおいの強い液体は、航空会社ごとに機内持ち込みや受託手荷物の規定(量・容器・梱包方法)が決まっており、規定はよく変わります。買う前に、そして搭乗前に、利用する航空会社の最新の規定を必ず確認してください。 一般的には、割れやすいガラス瓶よりふたをテープでしっかり巻いたプラスチックボトルが安心で、漏れないよう発泡スチロール箱などで丁寧に梱包するのがおすすめです。旅行者向けに梱包してくれる工房もあります。他社便に乗り継ぐ場合はにおいのある荷物を受け付けない会社もあるので、区間ごとに確認を。

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