歴史
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野菜と肉を炒め合わせたパンシット · 写真: Obsidian Soul / CC0 (Wikimedia Commons)

野菜と肉を炒め合わせたパンシット · 写真: Obsidian Soul / CC0 (Wikimedia Commons)

フィリピン

パンシットの話:中国から渡りフィリピンの誕生日の食卓にのぼった麺

フィリピンでは麺料理を総称してパンシットと呼びます。名前は福建語に由来し、中国系移民とともに伝わって、今では誕生日やお祝いに欠かせない料理になりました。名前の由来、麺の種類ごとの違い、誕生日に麺を食べる習わし、カラマンシーを搾る食べ方までまとめました。

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麺はすべてパンシット

フィリピン語でパンシット(pancit、標準表記pansít)は麺料理全般を指す言葉です。焼きそばでも汁麺でも、米麺でも卵麺でもすべてパンシットで、後ろに麺の種類や地名を付けて区別します。メニューで「パンシット○○」を見かけたら、後ろの言葉が麺の種類やスタイルを表していると考えればOKです。 名前はフィリピンの中国系の人々が話す福建語(閩南語)に由来します。ワンタン麺を意味する「ピアンシッ(扁食)」から来たという説と、「手軽な食べ物」を意味する「ピアンエシッ(便的食)」から来たという説があり、資料によって説明が少し異なります。いずれにしても、麺が中国系移民とともにフィリピンに伝わったという点は同じ。今のフィリピンの人にとってパンシットは外国料理ではなく、すっかり自分たちの料理です。

中国から渡り、フィリピン料理になるまで

麺は中国系移民がフィリピンに持ち込んだ料理として知られています。その後パンシットはフィリピンの食材と好みに合わせて姿を変え、スペイン植民地時代にはスペイン料理の影響も一部受けました。その結果、地域ごとに土地の材料を使ったパンシットが生まれ、今では地方ごとに名前の付いたパンシットがあるほどです。 なかには麺を使わないパンシットまであります。細く切ったココナッツの果肉やパパイヤ、タケノコ、もやし、海藻を麺の代わりに使うことがあり、麺のように細長く切った材料をパンシットのように料理したという意味で、パンシットの名が付いています。中国系コミュニティが古くから根付く街のチャイナタウンでは、中国式に近い汁麺や焼きそばにも簡単に出会えます。

ビーフン、カントン、ソタンホン…麺の種類の見分け方

メニューでよく見かけるパンシットの名前は、麺の種類から来ています。パンシット・ビーフン(bihon)は細い米麺、パンシット・カントン(canton)は丸い卵麺、ソタンホン(sotanghon)は春雨のように透き通った緑豆麺。ビーフンとカントンを半々で炒める店も多くあります。ミキ(miki)はやわらかい黄色の卵麺、ロミ(lomi)は太い卵麺で、とろみのあるスープ麺にすることが多いです。 パラボック(palabok)は、コーンスターチで作る黄色い麺にエビ風味のオレンジ色のソースをかけ、ゆで卵やエビ、カリカリの豚皮などをのせたパンシットで、焼きそばとは見た目からして違います。名前に地名が付いたパンシットは、その土地生まれのご当地パンシットと考えればOK。初めてなら、いちばん無難なビーフンかカントンから始めてみましょう。

誕生日にはパンシット:長い麺に込めた長寿の願い

フィリピンの誕生日パーティーの食卓には、ほぼ必ずパンシットが並びます。麺の長さが長寿を象徴すると信じられているためで、中国系フィリピン人の習わしから始まりフィリピン全体に広まりました。そのため全国の中華料理店のメニューには「バースデー・ヌードル(birthday noodles)」という名前の料理がよく載っています。 誕生日だけでなく、さまざまなお祝いや集まりでもパンシットは大皿で登場します。大勢で取り分けやすいうえに長寿を願う意味まで込められていて、祝いの席にぴったりの料理なのです。フィリピンの友人の誕生会に招かれたら、パンシットをひと皿ぜひ味わい、お祝いの気持ちが込められた料理だということを覚えておきましょう。

カラマンシーを搾って味わう

パンシットの皿には、たいてい半分に切った小さな緑色の柑橘が添えられています。フィリピンの人がカラマンシー(calamansi、フィリピン語kalamansi)と呼ぶ果実で、直径2.5〜3.5cmほどの小さなライムのような見た目で、酸味がとても強いのが特徴です。食べる直前に麺の上で搾ると、醤油味の焼きそばがぐっとさわやかになります。 カラマンシーはパンシットだけでなく、フィリピン料理のあちこちで使われます。醤油に搾ったタレはトヨマンシー(toyomansi)、魚醤に搾ったものはパティスマンシー(patismansi)と呼ばれ、米のおかゆルガウにも添えられます。砂糖を入れてレモネードのように飲むカラマンシージュースもおなじみです。フィリピン料理を食べていると、塩気や脂っこさを酸味で整える習慣によく出会いますが、パンシットに添えられたカラマンシーはその代表例です。

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