歴史
ラ・ロマのレチョン · 写真: Ralff Nestor Nacor / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

ラ・ロマのレチョン · 写真: Ralff Nestor Nacor / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

フィリピンケソンシティ

ラ・ロマ「フィリピンのレチョンの都」:レバーソースで食べるマニラ式豚の丸焼き

ケソン市のラ・ロマには1949年から豚の丸焼きレチョンの店が集まり、「フィリピンのレチョンの都」と呼ばれています。セブ式と違うマニラ式レチョンの特徴、レバーソースの正体、衣装を着た豚が練り歩く5月の祭りまでまとめました。

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闘鶏場の客から始まったレチョン通り

ケソン市南西部のラ・ロマは、豚の丸焼きレチョンの店が軒を連ねる地区です。ケソン市の公式サイトによると、ここでのレチョン商売は1949年、最初のレチョン職人が近くの闘鶏場から出てくる客を相手に店を開いたのが始まり。その後店が一軒また一軒と増え、今では数十年続くレチョン店が同じ通りに集まっています。 レチョン店があまりに多いことから、フェリシアノ・ベルモンテ・ジュニア元市長がここを「フィリピンのレチョンの都」と宣言し、2020年には市条例で観光地区にも指定されました。レチョンは誕生日や町の祭り(フィエスタ)、クリスマスイブのごちそうノチェ・ブエナに欠かせない祝いの料理です。

マニラ式レチョンはセブ式と何が違う?

フィリピンのレチョンは大きくルソン(マニラ)式とビサヤ(セブ)式に分かれます。ざっくり言えば、ビサヤ式は豚のお腹にレモングラスなどの香味野菜を詰めて肉そのものに味をしみ込ませ、塩と酢くらいで食べます。 一方ラ・ロマに代表されるルソン式は、詰め物をほとんどしないか塩とこしょうだけで、ふつう薪火で焼きます。肉は淡泊な分、皮をパリッと焼き上げることに力を注ぎ、味の主役は別に添えるソースが担います。同じ丸焼きでも「肉に味が入ったセブ式」「ソースをつけて食べるマニラ式」と覚えると分かりやすいでしょう。

マニラ式の要、レバーソース

マニラ式レチョンを特徴づけるのは、ふつう「レチョンソース」と呼ばれるレバーソースです。酢、黒糖、豚レバーやレバーペースト、パン粉、にんにく、玉ねぎを煮詰めたとろりとした茶色のソースで、甘酸っぱさの中にレバーならではの濃いコクがあります。淡泊に焼いた肉と脂ののった皮をこのソースにたっぷりつけて食べるのがルソン式の基本。ラ・ロマの老舗の中には、自家製レバーソースで知られる店もあります。 このソースは残ったレチョンを料理し直すときにも使われます。宴のあとに残った頭や足は酢で煮込むレチョン・パクシウにすることが多く、ルソン式のパクシウではレバーソースが欠かせない材料です。ビサヤ式のパクシウにはレバーソースを入れない点も、両地域の違いです。

衣装を着た豚が練り歩く5月の祭り

ラ・ロマ・レチョン祭りは毎年5月の第3日曜日に開かれます。2000年、当時のラ・ロマのレチョン商組合の会長が「レチョン・パレード(パラダ・ング・マガ・レチョン)」を始めました。焼き上げた豚に衣装や小道具を着せ、山車に載せて通りを練り歩くのが見どころです。2002年からは市が本格的に支援しています。 祭りは地区の守護聖人「救いの聖母(ヌエストラ・セニョーラ・デ・サルバシオン)」の祝日と合わせて行われ、バナナの葉の上に料理を長く並べて皆で手で食べるブードルファイトも催されます。コロナ禍で3年間休止したあと、2023年に復活しました。2025年11月にはアフリカ豚熱(ASF)で店が2週間ほど閉まりましたが、同月末に市が清浄化を宣言し、2026年5月17日の祭りも予定どおり開かれました。

ラ・ロマでのレチョンの買い方

レチョン店はケソン市パアン・ブンドック地区の、N.S.アモラント通り(旧レティロ通り)とカラビテ通りが交わるあたりに集まっています。店先のショーケースに丸焼きの豚がそのまま並んでいるので、遠くからでもすぐ分かります。 フィリピンのレチョンは本来宴会用なので丸ごと注文することが多く、祭りや年末のシーズンには予約が必要とされています。旅行者なら、店によっては量り売りもあるので、少しだけ買って味見するのも手です。パリパリの皮は時間がたつとしんなりするので買ってすぐ食べるのが一番おいしく、レバーソースは多めにもらうとよいでしょう。フィリピンのレチョンはふつう乳飲み子豚ではなく離乳した豚で作る点も、スペインのコチニーリョとの違いです。

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